4-12.アキ救出大作戦!
本日は同窓会で加賀温泉に日帰りでカニを食べに行きました。
番外編で出た『真・ツバガニ王国』ことカニ王国には今年は行きませんでしたね。
ボクがウェル帝王との尋問を受けてた頃、ハルたちは寮に軟禁されていた。
教授たちと話をした直後に憲兵がやって来て、『魔法行使罪で拘束する』と言ってきたみたいだ。
ボクたちのように城に連行しないのは結託して脱獄されないように、って事らしいよ。教授たちが抗議したけど追い返されてしまったようだ。
「ばーちゃん?あさめしはたべれるのか?」
「···モンド、とりあえず保存食でガマン」
「じーじ、だいじょぶかなぁ〜?」
「···フー、だいじょぶ。···アキは強いから」
「外にはずっと憲兵が立ってるな。窓の外にもいるぞ。これは脱出は難しいかなぁ〜?」
「···だいじょぶ、レオ。···私にかかればこの程度は朝飯前」
「でも下手に動くとアキの立場が悪くなるかもね。もうちょっと様子みましょ」
「ナナマーマ?じーじのことはいいの?」
「ルメ、アイツはなんとでもするわよ。なんたって、かつて世界を救った整調者だったんだから」
「でもそのわりにはじーちゃんはそうみえないんだよなぁ〜」
「アトラ、それはアイツが整調者だって知られてチヤホヤされたくないからよ。···あれが素なんでしょうけど。まぁ、やる時はやるわよ」
そうして、昼も夜も食事は提供されなかった。アキはこれよりも酷い仕打ちを受けてそうだね。早く助けに行きたいけど、これはアキとの約束だ。怒りを抑えつつ、私はひたすら時を待った。
そして日付が変わった深夜。···時は来た!
グロー歴523年8月28日 晴れ
「···じゃ、アキを迎えに行ってくるね。···みんなはここにいて。···潜入は私だけの方が好都合」
「わかったぜ。こっちは何かあればオレがなんとかしておく」
「···ん。···ナナ、『パターンS』(スピード特化)で」
「はいな〜。気をつけてね、ハル!」
私は完全ステルス状態になった。ナナにスピード特化のバフをかけてもらったから、これでもう誰も私に気づかないよ。
部屋の扉を音もなく少し開けた。深夜のせいか、見張りは一人。しかも眠そうな顔をしてるね。
扉のわずかな隙間から私は魔法を放った。土魔法で作った小石を廊下に飛ばしたのだ。
コンコンッ!
「ん···?なんの音だ?」
見張りが扉から離れた。そのスキに扉から廊下に出た。
「気のせいか···。ちょっと疲れが出たのかもなぁ〜」
見張りは元の位置で立哨を再開したね。気づかれてはいない。
次に私は寮の通用口へ向かった。この時間に通用口から帰るシフトの人が一人いるのは昨日の夜に気づいたからね。その人にくっついて外に出る作戦だ。
「あっ、お疲れ様です」
「業務お疲れ様でした。すいませんね。物々しくて···」
「いえいえ···。それでは失礼しますね」
「気をつけてお帰りくださいね」
軽くあいさつを交わしているスキに私は抜け出した。
さて、お城に向かおう。ナナのバフのおかげであっという間に到着だ。
もちろん、全ての門は閉まってる。塀には侵入者防止用に結界が上方へ展開されてるね。魔法禁止の割には自分たちは堂々と使ってるなんて滑稽だ。これぐらいはナツでも簡単にすり抜けられるよ。
お城の中へ侵入成功。あとはアキがいる場所へ直行だ。巡回兵はほぼいないね。夜間警備を甘く見ている証拠だよ。外周が鉄壁ほど警戒を怠るいい例だよ。
城内に入った。巡回兵はここもほぼいないね。カギはもちろんアキが教えてくれた魔法で開けて閉めた。アキの世界の『げえむ』である魔法らしいけど、非常に便利だね。ナツも使ってるらしい。
そして、アキが閉じ込められてる地下へ続く階段の扉に着いた。ここには警備が立哨してるね。周囲には誰もいないか···。じゃ、ちょっと眠ってもらおうか。
「ふわぁ〜···。最近夜勤がキツイなぁ〜。この時間は給料がいいからやってるけど···。(トスッ!)ん?なんだ···?何か···、あれ···?ふわぁ···」
ドサッ!
ん。眠り矢が効いた。これもアキの世界の『かくれんぼげえむ』でよく使われるって聞いたからやってみたけど、効果は抜群だね。もちろん矢は抜いた。跡が残らない特別製だよ。
私は地下へ降りた。アキは真ん中あたり、リオは一番奥だね。まずはアキだ!
「(···アキ?···迎えに来た)」
「(ハル!待ってたよ!)」
「(···『待たせたな』って言うんだっけ?)」
「(『遅かったじゃないか···』。ごめんね。ちょっとこういう場で言ってみたかったセリフなんだ)」
「(···元気そうで良かった。···すぐに開けるね)」
「(ハル···、ホントにありがとね!)」
「(···これぐらいは当たり前。···開いたよ。···リオはこの奥だね?)」
「(うん。その前にこのリストバンドを切って。魔法封じなんだ)」
「(···ん。···これで)」
「(よし!でもボクはステルスできないんだよなぁ〜)」
「(···だいじょぶ。···この先にいる囚人は全員寝てる。···静かにしてればいいから)」
「(わかったよ!)」
「(···そうそう、教授が脱出先は研究所にしてって言ってた。···トラックで城門を抜けるって)」
「(そう···。迷惑かけちゃったなぁ〜)」
ハルは時間通りに迎えに来てくれた!さすがだよ〜!ハル、かっこいいよ!
おっと!?奥さんにデレる前にやる事やっちゃおう!リオを助けないとね!
ボクの牢屋を出る前にちょっとした偽装工作をしておいた。
それは、ボクの等身大ぬいぐるみだ。フユとナツがプレゼントしてくれたぬいぐるみじゃないんだ。
あのあとでボクが追加発注しておいたものなんだ。ハル用にスペアがあったらいいなぁ〜って思ってたのが、こんなところで役に立ったよ!さすがにコピーアキはまずいしね!
『当たり前や!ボクを身代わりなんてとんでもない使い方したらアカンに決まっとるやろ!一生呪うで!!』
···あぁ~。あんまり寝てないからコピーアキの文句が聞こえてきたわ。いや、雑念を振り切って今はやるべきことをやらないと!
そして奥に行くとリオは···、寝ていた。この時間にハルが来るって言ってるのに!
ハルがカギを開けて、ボクは防音魔法をかけてからリオを叩き起こすことにした!
ドゴォッ!!
ボクは思いっきりリオを蹴っ飛ばした!
「いってーーー!?な、なにするだーー!?」
「リオ!脱出するよ!」
「アキー!?もうちょっと優しい起こし方があるだろー!?」
「この時間に助けるって言ったのに寝てるからだよ!緊急事態なんだから仕方ないでしょ!今すぐ変身して寮に転移してから国外へ逃亡するよ!」
「わ、わかったぞー!せーの!」
「「インテグレーション!!」」
ボクとリオで合体変身してモフモフの白銀竜の着ぐるみの格好になった!
そしてここにもリオの等身大ぬいぐるみを偽装工作として寝かしておいたよ。牢屋のカギも閉めたから、これで発見を遅らせられるね!
そして、ボクは転移で寮の部屋に戻った。すぐに静かにするように言ってから全員で研究所に転移した!
「うわっ!?び、びっくりしたぁ〜。これが転移魔法か···。便利なものだなぁ〜」
「教授、申し訳ありません。ご迷惑おかけしました」
「いや、気にしなくても···、って!?ドラゴンの着ぐるみ!?キミは誰だい!?」
「あっ!?すいません!すぐに変身解きますから!」
そういや変身しっぱなしだったね!ここで解除してボクとリオが元の姿に戻ると、これも驚かれちゃったよ···。
「ま、魔法ってすごいのだな···。合体変身なんてのまであるのか···」
「いえ、これはボクとリオだけしか使えないので···」
「なるほど···。創作魔法とは奥深いな。いや、話はあとだ!すぐにトラックの荷台に乗ってくれ!すぐに出発するぞ!」
こうしてボクたちは教授が運転するトラックに乗せてもらってマクス帝国を抜け出そうとした。出発の時にはジャミンさんたちが見送りに来てくれてたよ。
そして城門にたどり着いた。
ハルちゃんにとっては潜入なんて朝飯前でしたね〜!フーちゃんもできますが、いかんせん経験が少ないし、この時点ではナツちゃんに認められてません。番外編のお話はこの旅行から帰った後の話ですのでね。
ハルちゃんが使った鍵開け魔法は番外編でナツちゃんが使った『ドラゴンクエスト3』の『アバカム』ですね!このあとフーちゃんも習得しちゃいますね。
アキくんがゲームの話をした際にハルちゃんが開発しちゃったんですよ。
さらにコピーアキくんが文句を言ってきました(笑)!正月のSS以降、作者の耳元で蚊のようにささやくんですよ···。そのためにちょっとだけ登場してしまいました。この部分、加筆させられてるんですよ···。
さて次回予告ですが、教授のおかげで密出国に成功したアキくんたち。ここで教授にいろいろ話を聞くと、驚くべき事が判明します!
それではお楽しみに〜!




