4-3.なんで開発中のコードネームを知ってるのかしら?
宿場町の宿屋でエーレタニアでは見かけないバイク乗りの3人の女性がいた。特撮ものによく出てくるバイクに似ていたのでアトラちゃんが興奮しちゃって、いろいろ話しかけていたね。
チェックインを済ませ、軽く昼寝をしてから酒場で夕食にしたんだ。すると、さっきのジャミンさんたちが隣に座ってきたよ。
「こんばんは~。横いいかしら?」
「いいですよ。先ほどはうちのアトラが悪いことしましたね」
「気にしなくていいわよ!むしろ好意を持ってもらえるだけでも嬉しいわよ。ところであなたたちは旅をしてるのかしら?行商人には見えないわね?」
「そうですよ。申し遅れました。ボクはアキと言います。ボルタニア大陸から家族と知り合いで観光に来ているんですよ」
「ボルタニア大陸ですって!?それはすごいわね~!よっぽどお金持ちなのね~!?」
「いえいえ、こっちのドラゴン族のリオとナナに乗せてもらって来たんですよ。ですからお金持ちではないですよ?(本当はお金持ちではあるけどね)」
「いいわね~!空を飛んで移動なんて優雅ね!サバール王国から来たみたいだけど、目的地はマクス帝国なの?」
「そうですね。観光に向いてないそうなんですけど、ボクたちはこの大陸のことはあまり知らないので興味あるんですよ」
「あたしたちはマクス帝国にある技術研究開発機関『ガウス』に所属しているのよ。アトラちゃんが興味を示したあの機械も研究の一つなのよ」
「そうなんですね?ボクたちがここに来る途中でトラックにもすれ違いましたよ。あれも試作品なんですね?」
「トラック···?なんであなたが開発中のあの機械のコードネームを知ってるのかしら?」
···あっ!?ま、まずい!!技術研究開発期間って事は機密の塊だよね!?そのコードネームがよそに出てるわけないから当然怪しまれるわ!これはポカやらかしたわ~!ど、どうやってごまかそうかな!?
「そ、そうなんですか!?ごめんなさい!ボルタニア大陸にあるピムエム皇国というところに行った際に見かけた魔導車っていう魔石で動くクルマがそう呼ばれていたのでつい···」
「あら!?ボルタニア大陸にはそんなものがあるのね!これは知らなかったわ···。しかも名前が同じなんて偶然ね···」
「ははは···、そうですね···」
パスさん、ごめんね!まぁ、開発して名付けたのボクだからいいでしょ!?まだ開発段階で実用化できてないんだけどね。
「と、ところで!あの機械も魔石で動くものなんですか?」
「いいえ、油を燃やしているのよ。なんで燃やして走るのか?なんて思うでしょ~?機密だから教えられないんだけどね」
「そうですか。まぁ深くは聞かないんですが、その油には興味ありますね。揚げ物用の油なんですか?」
「違うわよ。地面を掘ったら水じゃなくて真っ黒な油が出てくる場所があってね。そこでいろいろやることで走る専用の油を作ってるのよ」
これで確定したね。マクス帝国では石油が出るんだ。だから工業国になってるんだね。しかも精製技術まであるときた。これは間違いなく外の理の者が関与しているね。ここまで高度な科学技術がこのエーレタニアにあるなんて、技術水準から考えてありえないからね。まぁ、ピムエム皇国はボクが噛んでるんだけど。
これはなんとしても情報を探ってみないといけないね!入国できないって話だけど、どうやったら中に入れるのかな?さすがにリオたちに飛んでもらって上空から覗くってのは領空侵犯って事にされそうだからなぁ~。
グロー歴523年8月23日 晴れ
おはよう!今日も暑くなりそうだなぁ~。
昨日はファミリータイプの部屋だったから、家族一緒に寝ることができたよ。
さて、リオは今日も起きてるかな?
リオの部屋に行ってみると···、
「おー!おはよー、アキ!」
「おはよう、リオ。今日も早起きだね?」
「オレだってやる時はやるんだぞー!昨日は何もなかっただろー?ふらぐってやつじゃないからなー!」
「そうだね。ちょっと身構え過ぎちゃったかな?ごめんね、リオ」
「わかってくれればいいぞー!じゃー、朝飯食いに行くぞー!」
···確かに身構え過ぎたと思うけど、まだ油断はできないよ。まぁ、起きなかったらナナに操り人形にされちゃうだけだろうね。
さて、朝食を食べに酒場へ向かうと、フロントで昨日の3人に出会った。もうツナギ服着てるから、チェックアウト終わってこれから出るようだね。さっそくアトラちゃんが反応した。
「おはよー!もうしゅっぱつか〜!?」
「あら!おはよう、アトラちゃん。そうよ、今から試験走行よ〜」
「せっかくだからうごかすところをみせてくれ!それぐらいはいいだろ〜?」
「ええ、いいわよ〜」
アトラちゃんはバイクが動くところを見たいようだから、みんなで見ることにしたよ。ボクもマクス帝国製のバイクがどういった挙動するのか気になるしね。
ジャミンさんたちがバイクに跨り、スターターを思いっきり蹴ってエンジンが回りだした!
ドゥルンドゥルン!!
「おーー!?カッコいいおとだぜーー!!」
「あはは!アトラちゃんは変わってるわね?みんなやかましい!って言って不評なのにね〜」
「まちなかだったらそうだろうな!でも、たましいがゆさぶられるかんじがする!!」
「アトラちゃんは小さいのによくそんな言葉が出るわね···。気に入ったわ!これを渡しておくわ」
「これってなんだ?」
「招待状よ。もし時間あったら技術研究開発機関『ガウス』にいらっしゃい。マクスはここ最近外国人は入国できないんだけど、この招待状を入国審査官に見せたら、制限はあるものの入国できるわよ。もしあたしたちがいたらもっと面白いものを見せてあげるわ!」
「やったーー!ジャミンさん!ありがとなー!」
「うふふ!それじゃあ、また会いましょうね〜!」
そう言って3人は走っていったよ。完全に元の世界のバイクと一緒だよ。パーツは大きさが元の世界よりも大きいからムダにごっついサイズだけどね。
しかし!アトラちゃんのおかげで鎖国中のマクス帝国に入国できる目途が立ったよ!アトラちゃん、グッジョブ!!
さて、朝食を終えたら出発だよ〜!
とっさに機転を聞かせて回答したアキくんでした。
そしてアトラちゃんがバイクに強い興味を示したことで、鎖国中のマクス帝国に入国できるめどがたちました。科学技術が発達した国のようですが、どんな国なんでしょうね?
さて次回予告ですが、次の宿場町は温泉がありました!しかし、この温泉はかなり特殊なもので、『必死の洞窟』というところから出ているというのです。ものすごく物騒な名前ですが、アキくんには理由がわかってしまいました。その後理由で『必死』とついてるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




