4-1.魔獣の襲撃を受けた宿場町
本日より第4章全14話をお届けしますよ〜。
ちょっとシリアスな展開になります。
テスラ共和国を出国したボクたちは一路西に向かう街道を歩いていた。
まぁ、訓練目的で身体強化しながらの徒歩だから40km/hぐらい出てるかな?周りから驚きの目で見られるけど、この視線はボルタニア大陸でもあったから気にしてないよ。
ただ、視線の意味合いがボルタニア大陸とは一味違うんだ。ボルタニア大陸では身体強化魔法使ってるんだって思われるんだけど、ここウェーバー大陸では初めてみたって視線だ。あんまり身体強化魔法って知られてないのかな?
そうして歩き続けること2時間。荒涼と広がる岩砂漠の中の道端で軽く昼食をとり、午後も引き続き同様のペースで歩いていった。
ここウェーバー大陸は広大な平原が多いので、あんまり起伏がないから歩きやすいんだよ。だから思いのほか進む距離はかなり稼げたよ。
「アキじーじ!あたし、疲れちゃった〜!」
「アキじーちゃん···。ペースはやすぎるぜ···」
ルメちゃんとアトラちゃんにはキツかったかなぁ〜?5時間で200kmぐらい来ちゃったからなぁ〜。
一方のモンドくんとフーちゃんは多少キツそうな顔をしてるけど、余裕はありそうだ。
「じゃあ、ちょっと休憩してから、次の宿場町で1泊しようか。今日は結構ハイペースだったけど、よく頑張ったね」
「えへへ。だいぶしんたいきょうかになれてきたからかなぁ〜?」
「あたいも!ながくあくとたたかうなら、たいりょくはつけておかないとな!」
さて、もうちょっと行ったところに宿場町が見えてきたので、今日はそこで宿泊しようか。
そう思って宿場町に向かうと、黒い煙が立ち上り始めた。···なんだ?生活用の煙の色合いじゃないね。何かあったのかな?
「アキ。宿場町で何かあったようだぞ?」
「リオ、もしかして魔獣かな?ちょっと調べてみるね···。うわっ!?魔獣の群れが入り込んでるよ!?」
「それじゃあ急ぐぞ!ルメ、アトラ!飛べそうなら飛んで行くぞ!」
「わかったわ!」
「わかったぜ!あくとたたかうときがきたぞー!」
「ボクたちも急ごう!モンドくんとフーちゃんもいい?」
「いいぜ!そろそろあるくだけじゃなくてからだをおもいっきりうごかしたかったぜ!」
「フーもいつでもいいよ〜!」
「よし!ハルとレオも先に行って!ボクはリオに乗って向かうよ!」
「···了解」
「任せとけ!」
魔獣レーダーには結構な数の魔獣が、今も入り込もうとしていた!門は突破されてるようだから急がないとね!
リオも緊急モードになって話してるから、かなりマズい状況だろうね。間に合うかな!?
ものの数分でボクたちは宿場町に着いた。リオが飛ばしたからね!
上空から見る限り、空を飛ぶ魔獣はいないね。人より大きなサイズのイノシシっぽい魔獣の群れが所構わず突っ込んでいる状況で、外には兵士がわずかにいるだけで他の人は家屋に逃げ込んでるようだ。
「リオ!群れの先頭に降りよう!一網打尽にするよ!」
「おうよ!」
リオが降り立つと同時に人型に戻り、体術で足払いをかけて先頭のイノシシを転ばせ、後続が止まりきれずにドミノ倒し的に転倒していった。中には踏みつけられて絶命した魔獣もいそうだね。
すぐにハルたちも到着した。町中なのでトランスはなしだ。それでも戦力としては問題ない。
「···ナナ、『パターンL』(雷属性付与、スピード強化)で」
「はいな〜!これも久しぶりね!」
ナナにバフをかけてもらったハルは無敵だ!『パターンL』は雷属性を付与して、攻撃にも雷属性を付与しつつ、副作用で素早さまで上昇するハルお気に入りのバフだよ!
「おらぁーー!パパりゅうそうじゅつ、せんぷうじん!!」
「フーもいくよ〜!じーじりゅうひぎ!げんげつざん!!」
「はあっ!とおっ!アキ!こっちは任せろ!」
「レオ!モンドくんたちをよろしくね!」
ハルとレオにモンドくんとフーちゃんを任せ、ボクはルメちゃんとアトラちゃんをリオと一緒に見てあげた。もちろん、ボクは雷魔法を纏っているから、触れたら感電するよ?防御は万全だ!
「アトラ!れんけいわざやるわよ!」
「おう!ねるまえにはなしたアレだな!いつでもいいぞ!」
「じゃあいくわよ!じゃんぷだいレッド!」
ルメちゃんが、設置型魔法でジャンプ台を作った。そこを踏んだイノシシ魔獣は『バコン!!』っと宙を舞った!
赤ジャンプ台なのでそこまで高くは飛ばないけど落下地点にはアトラちゃんが構えていた!
「よし!いっくぜーー!ひゃくれつきーっく!!あーたたたた!!」
宙を舞って落下してきたイノシシ魔獣はアトラちゃんの猛烈なキックを受けて町の外へ吹っ飛んでいったよ。
撃ち漏らした魔獣はリオが受け持った。魔法じゃなくて体術で捌いたよ。町中じゃあ、あんまり威力のある魔法は使えないからね。
戦闘は15分ほどで終了した。一応死体はボクの無限収納カバンに入れておいた。今日もまた自動解体が猛烈な勢いで素材や食材に分けてくれるよ。
あらかた片付けも済んだところで、この宿場町の人たちが恐る恐る外に出てきたよ。
「あ、あんたら強いんだな···。見たことのないドラゴン族までいるし···。いったい何者なんだ···?」
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。ボクたちは旅をしてるんですよ。ここにはたまたま通りがかっただけです」
「そ、そうなのか···?」
「はい。これからマクス帝国へ行くつもりなんですよ」
「そ、そうか···。あぁ、遅くなって済まない。助けてくれてありがとう。私はここの町長なのだが、どうお返ししたらいいか···」
「気にしないでください。困ってる人を助けるのは当たり前ですから」
「そうだぜ、おっちゃん!あたいたちはせいぎのひーろーなんだ!」
「ひ、ひーろー···、ですか?」
「あ〜、アトラちゃん?興奮してるのはわかるけど、ちょっとゴメンね」
「あっ、ごめん!アキじーちゃん!」
「ふぅ~。ところで、今日みたいな事はよくあるんですか?ここまで旅してきて、襲撃されてるのは初めて見たんですけど」
「いや、ここができて初めてだな···。まれに襲撃はあったが、ここまでじゃなかったぞ」
「それじゃあ、たまたまか···」
「とにかくお礼と言ってはなんですが、今日はここで泊まって下さい。宿も多少壊れましたが、部屋を用意させていただきますよ」
「それじゃあお言葉に甘えて」
まぁ、ここで泊まる予定だったからちょうど良かったね。
ウェーバー大陸では魔獣はボルタニア大陸ほど出没はしませんが、それでも何かの拍子で襲撃を受けることがあります。
国内ならまだしも、その管轄外の宿場町はそれなりに防備が整備されているので、余程のことがない限り持ちこたえれますが、それにも限度があります。
今回はアキくんたちがたまたま近くにいたので助かりましたね。
さて次回予告ですが、マクス帝国へ向かう街道でなんとトラックが走っていました!さらには宿場町ではバイクまで!?どうもマクス帝国は他の国と違う文明が発達してるようでした。
宿場町に着くと、バイク乗りの人たちにアトラちゃんが声をかけますよ〜!
それではお楽しみに〜!




