年末すぺしゃるSS-1.エーレタニアでの年末年始の過ごし方 前編
本日から1/6までは8話連続でSSを投稿いたします。
今日は12月34日、もう年末だね~。エーレタニアでは1月が35日あって12か月で420日が1年なんだよ。だから元の世界で言えば大晦日前日って事だね。
ちなみにエーレタニアでは年末年始はあんまり関係ないんだ。まぁ、33日から1月4日まで1週間お休みになる程度かな?
エーレタニアでは神様を信仰することがほとんどないから、初詣っぽいのもないんだ。教会も集会所みたいな感じだしね。まぁ、あのエレさんが神様だったから信用されてなかったってのがあるようだけどね。
うちとリオの一家は年末年始は全員集まることになっているんだ。今日から2日までの4日間はうちで温泉に入りつつ、のんびり過ごすんだよ~。まぁ、孫たちが元気だから賑やかだけどね!
「じーじ~!フーがきたよ~!」
「じーちゃん!モンドもきたぞー!」
おっと!?さっそく帰ってきたようだね~!玄関からフーちゃんとモンドくんの元気な声が聞こえてきたよ。
「いらっしゃい、フーちゃん!ヨウくんもナツも道中お疲れ様!」
「アキさん、今年も世話になるぜ」
「···道中って、お兄ちゃんたちと一緒に転移だけどね」
「ナツ、これはあいさつみたいなものだから例え話だからね」
「パパ、ただいま!」
「今年もお世話になります」
「フユもユキちゃんもお疲れ様!さあ、あがってあがって~!」
ははは!一気に6人も増えると賑やかになったよ!そうそう、ハルはナナと一緒にちょっと狩り物に出かけてるんだよ。買い物じゃないんだよ。昼過ぎには戻るって言ってたよ。
みんなリビングに入ってもらってくつろいでるよ。ボクはお茶を用意してるよ。
「は~い、お茶飲んでゆっくりしていってね~!」
「じーじ、ありがとー!」
「じーちゃん!ありがとな!うん、このおかしがたのしみだったんだぞ~!」
「ははは!そうそうナツ?今日の昼はボクが用意したらいいのかな?」
「···ん。···久しぶりにパパの手料理が食べたい」
「おれもパパの料理が楽しみだったんだ~」
「アキさんの手料理っておいしいもんね。···私ももうちょっと料理の勉強しないとなぁ~」
「ユキにはユキの料理の良さがあると思うけど?」
「フユぐらいよ?そんなこと言ってくれるのは···」
「ははは!みんなからありがたいオーダーいただきました。夜はナツが?」
「···もち。···もうたっくさん仕込んできてる」
「リオたちの食欲はすごいからなぁ~。今ハルもナナと一緒に狩り物に出かけてるからね」
「···どんな大物か、期待してる」
「かいたいしょーはフーにまかせろ~!」
「おれもことしはてつだうぜ!」
「フーちゃんとモンドくんも今年は解体手伝ってくれるんだ?じゃあ、ちゃんとハルとナツの言うことを聞くんだよ?」
「「はーーい!!」」
さ~て、それじゃあ今日のお昼ご飯を作るぞ~!今日のメニューは最近ここアクロにもナワバリを広げてきた『猛進!イノシシ』という野生動物と魔獣のハイブリッドの肉を使った『カツ丼』と『異世界みそ汁』だ。
お米はこの前行ったウェーバー大陸のテスラ共和国で仕入れたお米、みそ汁の具はサバール王国の港湾都市ビオの漁港で仕入れたアサリ?っぽい貝とワカメ?っぽい海藻だよ。
ちなみにこのみそ、実はボクがリフォームした世界からの献上品だったりするんだ···。以前エレさんからもらったレシピでみそを作ってみたことがあったんだけど、やっぱり環境が元の世界と違うせいかなかなかうまくいかなかったんだよね。発酵食品だから、環境に影響を受けやすいんだろうね。
そんな時、レオから『献上品が来てる』って言われて、その中にはみそがあったんだよね~。これがおいしかったので、大切に使わせてもらってるんだ。···なんだか元の世界のふるさと納税の返礼品みたいなかんじがしたよ。
9人分を一気に作るから、これが一番楽だしおいしいからね~!
「は~い!みんな、お待たせ~!」
「わ~い!じーじのりょうり~!」
「すっげーうまそうだな~!」
「できたてがおいしいから、待たずにもう食べちゃってね~!」
「「いっただっきま~す!」」
ははは!やっぱり食欲旺盛だね~!しっかり食べて元気に強く···、まぁ、もう世界最強クラスの強さだけどね!
引き続き調理していると、レオが戻ってきたよ。
「遅くなっちまったぜ···。おっ!?フユとナツたちはもう帰ってきたんだな?」
「ご無沙汰してます、レオさん」
「···お先にいただいてるよ」
「元気そうでよかったぜ!こうやって子孫が幸せそうにしてるのを見るのは、オレとしても嬉しいしな!おっ!今日はカツドンってやつだな!オレもお気に入りなんだ!」
「レオのお気に入りだし、これって結構短時間でいっぱい作れるからね~!はい!レオの分だよ~!」
「ありがとよ、アキ!それじゃあオレもいただくぜ~!」
ちなみにうちではおはしを使って食べるのが普通だ。もちろんフォークやナイフも使うけどね。このエーレタニアでおはしを使うのってうちとエレさんぐらいなんだよ。
ただ、ナツのお店でもおはしを使って食べる事もできるんだ。『大人気の飲食店の食べ方』ってことで、最近王都ではおはしで食べるのが流行し始めてるらしいよ。···なんか文化侵食してるような気がしないでもないけど、元神様のエレさんも使ってるんだし、キニシナイ!
そしてボク以外全員にカツ丼を提供したところでハルも帰ってきたよ~!
「···ただいま。···ちょっと遅くなった」
「お帰り~、ハル!ちょうどよかったよ~。すぐにハルの分を作るね~!」
「···ん。···そのために頑張って狩ってきた。···あとで解体するね」
「ばーば!フーもてつだう~!」
「ばーちゃん!おれもてつだうぜ!」
「···じゃ、フーとモンドにも手伝ってもらうね」
そして昼食後、庭ではハルが今日獲れたての魔獣を出していた。デスアリゲーターだったわ···。しかも30匹も···。
まぁ、アクロで最も凶暴な魔獣だからね。アクロ周辺はハルがよく狩るから、魔獣は街道沿いにはほぼ見かけなくなったんだけど、こんなにまだいたんだなぁ~。
「···解体もできないと一人前とは言えない。···じゃ、やってみようか?」
「「は~~い!!」」
さすがに量が多かったので、フユとナツも解体を手伝い始めたよ。もちろん、モンドくんとフーちゃんと一緒に捌き方を見せながらだけどね。
そうしていると、向かいのリオの家が賑やかになってきた!ケンたちも帰ってきたみたいだね~!リナ一家も帰ってきたみたいだよ!
さあ!本格的ににぎやかなのはこれからだよ~!
今回のお話は続編でウェーバー大陸を旅をして帰ってきたその年の年末のお話なので、続編の時系列で言えば第5章完結後になりますね。
エーレタニアでは1週間休みになる程度の年末年始ですが、フユくんたちは実家に毎年帰省していますよ〜。
ハルちゃんは食材を狩ってきました(笑)!神狼族は狩りが得意ですからね。魔獣退治で町への危険も減らせるので一石二鳥なんですよ。
さて次回予告ですが、リナちゃんとケンくんたちも帰ってきました!リナちゃんのところは7人もお子さんがいるのでめっちゃ賑やかですよ〜。
明日は作者が年越しフェリー乗船しますので、投稿は出航後の18時過ぎあたりを予定しております。
それでは年内最後の投稿、お楽しみに〜!