3-14.リオ、操り人形にされてしまう!?
本日で第3章は完結ですので、朝に投稿しています。
グロー歴523年8月21日 曇
おはよう〜!さて、今日は出国するよ。3泊して目ぼしいものはこれぐらいかな?
農業大国だけあって食材が豊富だったし、ナツもやって来て大量に仕入れて満足していたし、今後ともいいお付き合いをしたい国だったよ。
農業もやり方も教わったし、これについては帰ったらヨウくんとエイルさんにも伝えよう。まさか軍事施設扱いとは思ってなかったから、不用意に入ってたら大変な事になってたよ。
農機具についてはあの納屋で憲兵さんと話をしていた際にチラチラと見るぐらいだった。まぁ、元の世界と似たようなものがあったね。それを知れたのも良かったよ。あんまり聞くわけにはいかなかったから、見るだけだったけど、それもいい情報だったよ。
さて、今日のリオはどうかな?ちゃんと本気出して起きてるかなぁ〜?
ボクがリオたちの部屋の扉をノックすると、今日はアトラちゃんが出てきた。
「アキじーちゃん、おはよう!」
「おはよう、アトラちゃん。リオは起きた?」
「···あれって、おきたっていえるのかなぁ〜?」
ん?どういう事?よくわかんないけど、とりあえず部屋の中に入ると、そこには···!?
「あら、アキ。おはよう!こんな魔法が『ピコーン!』って閃めいたわ!」
「あの〜、ナナ?それって···?」
「魔法の糸でリオを操り人形にしてみたのよ!昨日、ちょっとした操作でリオを動かせたから、もしかして!?って思ったら閃いちゃったわ!」
そう、リオには多数の魔法の糸がつけられて、ナナに操り人形にさせられていた!リオ本人はまだぐっすり寝てるけど、ちゃんと立ってたわ···。
これって某皇帝VS山手線の7人の英雄のゲームのうちの1人の技でしょ?しかも『ピコーン!』って···。そのゲームのように頭の上に電球が点灯して閃いちゃったか···。
「もういちいち起こすのも面倒だったし、この魔法ならイライラせずに済むわ!これはいい魔法を思いついたわ〜!」
「あの〜、ナナさん?その魔法ってリオを無理やり戦わせたりできないよね?」
「今日初めてやったからできるか分からないけど、そういう使い方もできそうね〜。なんなら魔法も使わせられるかも!?まぁ、ムーオの側近のアドがやってたのに近いから、できそうね〜!」
しまった!余計な事言っちゃった!某ゲームの技のように使えるのか気になって聞いちゃったよ···。まぁ、起きたらさすがに操れないだろうから大丈夫···、なのかなぁ〜?
若干ルメちゃんとアトラちゃんが引いちゃってるけど、とりあえずレストランに行って朝食を食べようか!
最初は大振りな動きで、ぎこちない動きだったマリオネット状態のリオだったけど、レストランに着く頃には普通に歩かされてたよ···。どうやらナナがコツを掴んでしまったみたいだね···。
レストランの人も『···え?目閉じてるのにどうやって歩いてるの!?』って目でジロジロ見られちゃった···。話しかけられなかったから、何食わぬ顔で通り過ぎようっと!
そうして席に着いて朝食が運ばれた。リオの隣にナナが座ってリオを操作してるよ。隣に座ってるから2人羽織の感じではないけどね。
ナナはまず、リオの口を開けさせてから昨日と同様にアツアツのスープを···、リオ自身の右手でカップを持たせてから口に流し込ませた!!
「···あっ!?アヅーーー!?ギャーーー!?」
すぐにボクは防音結界を張った!最初のリオの叫び声で周囲から何事!?って見られちゃったから、慌てて防音結界を張ったよ···。
「ふー!ふー···!って!?あれー!?ここはどこだー!?」
「おはよう、リオ。今日はナナが閃いた魔法でリオが寝ている間にここまで運んだんだよ」
「···はー!?なんだってー!?」
「フフフ!これでアンタは安心して寝坊助していいわよ〜!アタシが操り人形で介護してあげるわ!これで起こす手間が省けるわ〜!」
「操り人形だってー!?また物騒な魔法を作ったなー!」
「だったらちゃんと起きなさいよ!結局一昨日の決意も口だけだったから、こうして強硬手段に出たのよ!?まぁ、もういいわ。あたしはこの魔法を極めて、アンタを好きに操ってあげるわ!」
「うわー···、寝坊したオレが悪いのはわかってるけど、まさかこんな事になるなんてなー。どうしてこうなったー!?」
「リオがお寝坊するからだよ···」
「うっ···。わかったぞー。明日からはちゃんと起きるぞー!」
「それ、一昨日も言ったでしょ?」
「わ、わかってるぞー!明日はちゃんとするぞー!」
はぁ···。まぁ、とりあえずナナに任せるか。まさかリオのお寝坊でナナが新規魔法を開発するとは思わなかったわ。これも愛の成せる技なのかなぁ〜?いや『技』じゃなくて『業』なのかも···?
そうして朝食を終えて、ホテルをチェックアウトした。入国した門とは反対方向の門から出国するよ〜!
出国しようとしたら門番さんから声をかけられたよ。
「おっ!?アンタらがうちに来てた旅人さんだな?結構大暴れしたって聞いたぞ?」
「大暴れ···、ですか?そんな覚えないんですけど?人違いじゃないです?」
「いいや、アンタらだろ?ここらじゃ見かけない変わったドラゴン族引き連れてるし、市場で業者じゃないアンタらが大量に購入したり、畑を見に行ってヨサクのジジイから色々と話を聞き出してたってな!普通の旅人が畑に入って生きて帰ったヤツなんていなかったからウワサになってるぞ!」
···情報伝達速度が速いなぁ〜。まぁ、農地が軍事施設扱いって事だったし、情報の速さが軍隊には必要だからかなぁ〜?ボクたちの行動がここまで筒抜けだったって事は、入国した時からずっとマークされてたか···。危なかったわ···。
「はぁ···、そうでしたか。昨日の話がもうウワサになってるんですね···」
「旅人なんて珍しいから、注目の的になってたしな!ここから出ていくって事は、次はマクス帝国へ行くのかい?」
半分本当で半分ウソだね。常時マークしてたなんて言えないからカモフラージュの理由だろうね。やっぱり見られたくないものがあったのかもしれないね。
「はい。ボルタニア大陸から来たので、時間が許す限りいろいろ回ってみたいんですよ」
「そうか···。ココだけの話だがな?最近マクス帝国はあんまりいい話がないんだよ。行商人は不安を感じてるしな。最近は入国許可が出なくて、城門で品物の受渡しをしてるって聞くからな。アンタらも入れないかもしれないから、そのつもりにしとくんだな」
「そうなんですか?情報ありがとうございました。入れそうになかったら別の国に行ってみようと思います」
「おう!気を付けてな〜!」
こうしてボクたちは出国した。門も見えなくなったので、ボクはハルにちょっと聞いてみた。
「ハル?さっき門番さんがボクたちの様子を見てたように言ってたけど、もしかして尾行とかに気づいていた?」
「···もち」
「そうだったんだ···。言わなかったのは理由があったの?」
「···動向を探ってただけだったし、下手に気づいてたら余計に怪しまれると思った」
「なるほどね。やっぱハルはすごいなぁ〜」
「···ま、何かあったら返り討ちにしたけどね」
そうならなくて良かったよ···。
さて、次はマクス帝国だね。あんまりいい情報しかないけど、果たして何が待ち受けてることか···。
第3章 完
ハァハァ···。フーたんは無事出国したな!怪しい輩がボクチン同様に尾行していたが、フーたん目当てでなかったから安心したぞ!
市場で品定めするフーたんの目は良かった!あの鑑定眼だと、いつかボクチンの正体も見破られそうではあるな!その時は正体を明かしてののしってもらうぞ!ハァハァ···。
『テスラ共和国は農業国として、このあとボルタニア大陸でも有名になって、ケンの特急便を使った輸出も始めるんだよね。そのきっかけがナツのお店だったなんて、この時は誰も気づいてなかったんだよね』
ついにナナちゃんが禁断のマリオネット魔法を『ピコーン!』と閃いてしまいました···。かなり凶悪な魔法ですが、ナナちゃんは悪用しないでしょう。たぶん···(笑)。
そしてこれにて第3章は完結しました。だいぶ書き直し前のシナリオとは異なる展開になってるのですが、いい展開になりました。書き直し前はここからドロドロとしてしまったので···。
それでは本日夜にネタバレ集を投稿いたします。お楽しみに〜!




