3-13.農地の秘密
本日は執筆開始1周年なんです!去年の12/28にアキくんたちのお話は誕生し、本編序章第1話と2話を書きました。Happy Birthday to Aki!(なぜに英語?)
あっという間の1年でしたね~。皆さまの応援、評価をいただきまして作者が考えもしなかったこんな大長編になりました。ありがとうございました。
引き続きいけるところまで執筆していきますので、よろしくお願いいたします。
「···何か隠してるのかもね。···もしくは見られたらいけないものがある」
ハルの勘は結構当たるんだ。かなり怪しいけど、ボクたちはそれを探すために来たんじゃない。だからこの先に踏み込むことはせず、来た道を引き返してさっきの納屋に戻り、そこから飛んで戻ることにしたよ。
ここであいさつしてリオに乗って帰ったところを見られれば、不審には思われないでしょ。明らかにボクたちの行動は、向こうからすれば怪しさ満点だろうしね。
「すいませ〜ん!畑を見せていただいてありがとうございました〜!」
「おっ···?なんだ···。こっちに戻ってきたのか?」
「ええ。ここに来る時はリオに空を飛んでもらってここまで来たので、歩きだと道に迷いそうだったものですから···」
「賢明な判断だな。下手に畑とか農地に入ったら逮捕されてしまうからな」
「えっ!?た、逮捕ですか!?」
ただ農地に入っただけで逮捕って···。いったいどういうことなんだろう?
「入国した時に注意されなかったか?この国では農地は『軍事施設扱い』なのさ。ここは昔から土地が肥えてて作物ができやすくてな。だから周囲から盗賊団とかに狙われまくって、あげくの果てには戦争のネタにされちまったのさ」
なるほど···。元の世界でも似たような理由で戦争になった事もあったよ。だから農地を守るために『軍事施設扱い』として関係者以外を締め出してるって事か。
「そういう事情でしたか···。ありがとうございました。それだとボクたちがこうしてやって来たら迷惑でしょうね」
「まあな。ただ、こうして顔出して誠実に対応してるからここでは問題にならんよ。ワシがこの地区の管理者であり、憲兵だからな」
「そうだったんですか!?」
「ああ。まぁ、関係者以外に名乗るのは禁じられてるので名前は聞かんでくれ。顔と名前がバレると狙われやすくなるのでな」
「分かりました。対応していただき、ありがとうございました」
「まぁいいさ。そういえばさっき見学と言ったな?あんたらも農業をやっとるのか?」
「ええ。娘の旦那が大規模農地を街の外でやってましてね」
「フーのパパがやってるの〜!」
「ほう?ここではめったに魔獣はいないが、それでも出ると被害が大きいぞ。どうしてるんだ?」
「普通に退治して肥やしにしてるそうですよ」
「パパはつよいんだよ〜!なかまといっしょにたいじするよ〜!」
「そうか···。そんな凄腕だから可能なのだな。魔獣の肥料は興味あるが、ここでは手に入らんだろうなぁ〜」
「パパののうえんでつくったおやさいはまりょくたっぷりでおおきいの〜!あじは···、びみょ〜かなぁ〜?」
「なるほどな···。それは魔力が豊富過ぎてるな。過剰過ぎると野菜が魔獣化するかもしれんぞ?普通の肥料やってないんじゃないか?」
「あ〜、多分やってないかと···。魔獣の肥料に適した種類を植えてるみたいですけどね」
「ほう?そんな種類があるのだな。普通の肥料をやってから種を植え、芽が出たら促成栽培用の魔法をかけるといい感じになると思うぞ?」
「促成栽培用魔法···、ですか?どういったものなんです?」
「一応機密事項なんで見せられんが、植物の成長を促して豊作にできるぞ。スピードは変わらんが、その分栄養が良くなるんだ。ただ、あんまりやり過ぎると土地が一気に痩せるからな」
「すいません。機密事項なのに教えていただいて···。そのヒントだけでも十分ですよ」
「そうかい?参考にしてくれ。ところで、うちの畑を見てどうだった?」
「そうですね···。きれいに整地されてますし、道も用水路も至るところに張り巡らせているので、水汲みも搬入搬出も楽ですよね」
「そうだな。広大な平原なので、こういったやり方が可能だ。近くに大きな川が流れているので、水の確保も容易だ。いい条件が揃ってるからこその方法ではあるな。だからよそでうちの方法を採用するのはかなり厳しいと思うぞ?」
「確かに。でも、こういう方法があると分かれば、あとは工夫次第かな?とボクは思いますよ」
「はっはっは!そうかそうか!そういう意味では大いに参考になったようだな」
「ええ、ありがとうございました。···あっ!?これも軍事施設の情報だから軍事機密って事じゃないですよね···?」
「まぁ厳密な意味では言うとおりだが、立入禁止なのは農地であって道ではないから、そこから得た情報は···、まぁ問題なかろう。情報を伝えたのもワシの裁量でやったことだから問題ないぞ」
「失礼しました。ボクたちはこの近隣から来たわけではなくて海を越えた先にある大陸から来ましたから、よその国には情報は行きませんから」
「海···?なんだそれは?」
「···あぁ〜、内陸なのでご存知ないんですね。塩辛い巨大な湖みたいなものですよ」
「ほう?世界は広いのだな···」
「ええ。ボクもそう思いますよ。今日はありがとうございました!」
「道中気を付けてな。農地には気をつけろよ」
こうしてボクたちは畑の見学を終えて、リオに乗せてもらって首都に戻ってきた。
思った以上に情報が得れたね!農地についてはある程度元の世界に似たようなやり方だったよ。魔法がない分、どうしても似てくるんだろうなぁ〜。
でも、魔法で促成栽培かぁ〜。これはヨウくんとエイルさんと一緒に研究してみるのもアリかな?成長速度が速くならないなら時間かかりそうだけどね。
ホテルに戻ってから夕食にした。ここの食事は本当においしいんだよ!みんなたらふく食べたよ。孫たちは育ち盛りだから、量は本当に多い。フユたちの時より食べてるんじゃないかな?
でも、みんな太ってないんだよね〜。多分魔力に大半が変換されているからだろうけどね。えっ、ボク?最近は食べる量が少し減ったような気がするんだよね。基礎代謝が年取って少なくなってきたのかなぁ〜?
もうボクも31歳、このエーレタニアでは1年が420日あるから、元の世界だと35歳···。
確かにこっちに来る直前は中年のおっさんだったからわかるけど、食べる量が減ってもおなか周りは成長しちゃったんだよね···。この世界でも太っちゃったら···、ハルに怒られちゃうかもしれない···。
「···アキ?···どしたの?」
「···えっ!?ごめん、ボクどうかしてた?」
「···なんか顔が青ざめて考え込んでたけど?」
「あはは···。ちょっと気になったことがあってね。もう大丈夫だよ」
「···ホントに?」
「うん。実はね?最近食べちゃうと太ってこないかな?って考えちゃってね」
「···多少はいいんじゃない?···今は心配ないけど、飢饉とか災害が発生したら多少太ってたほうが生き残れる」
「そっちが心配になっちゃうか···」
「じーじ!だいじょぶだよ〜!パパがのうえんやってるからたべものはあるよ〜!ママがどんなしょくざいでもおいしくしてくれるから〜!」
「ははは。そうだね、フーちゃん。その時はお願いね!」
「フーたちにまっかせなさ〜い!」
まぁ、このあたりは考え方が違うからなぁ〜。
厳重な警備は盗賊対策でした。日本でも畑泥棒が多発し始めてきました。それだけ貧しくなってきたって事なんでしょうか?
この国では農業国というだけあって、農業に力を入れてますので、農地は軍事施設扱いとして厳罰に処されるという話でした。
さて次回予告ですが、テスラ共和国での用事は済んだので、次はマクス帝国に向かいます。しかし、リオくんがお寝坊さんなので起きてくれません。
ついに業を煮やしたナナちゃんが、禁断の魔法を開発してリオくんにかけてしまいます!いったいどんな魔法なのでしょうか?
明日は朝にお話を投稿して、夜にネタバレ集を投稿しますよ〜!
お楽しみに〜!




