3-10.ナツとフー、異国の地の市場を制する!?
グロー歴523年8月19日 晴れ
おはよう~!いい天気だね~。
今日は首都インダの街中散策だ。町の様子を知りたいからね。
現在は午前6時。窓の外にはたくさんの人が大通りを行きかっていた。ここの国民は早起きして早朝から仕事とかに向かうんだなぁ~。
しかもみんな自転車だよ···。漕いでないから魔力で動いてるのか···?
「···おはよ、パパ。···なんか変な感覚だね」
「おはよう、ナツ。6時間も時差があるから変な時間に目が覚めちゃうでしょ?王都だったら今は正午だからね」
「···ん。···おなかすいたね」
「じゃあ、そろそろみんな起きてくるから、揃ったら朝食に行こうね!」
うちの家族はこの後みんなすぐに起きたね。さて、リオ一家は···。まぁ、お察しの通りだけどね。ナナはリオを放置して朝食に行くつもりだったよ。
「アイツはほっといて朝食行きましょ!」
「ですよね~。じゃあ行こうか!」
昨日の喫茶店に行くと朝食会場は人が少なかった。···あれ?早すぎたかな?でも営業開始は午前4時半ってなってるね。···えっ!?早すぎない!?
「おっ!おはよう、皆さん。遅い朝食ですなぁ~」
「おはようございます、シェフ。昨日はありがとうございました。ここは皆さん早いんですね?」
「そう言えばアキさんたちは旅人だったな!この国は農業が盛んだから、日の出前に畑に行くのが常識だからな。昼過ぎには帰っちまって寝てるんだよ」
「あぁ~、そういうことか!だからこの時間で通りに人が多いのか」
「そういうこったな。昨日チェックインした時も通りに人はあんましいなかっただろ?」
「確かに···。やっぱり国が違うと何もかもが違いますね」
「食べ物もな。そういや、そっちの嬢ちゃんは飲食店を経営してるんだよな?」
「···ん。···そこそこ繁盛してる」
「せっかくここに来たんだったら、市場へ行きな。新鮮な食材の宝庫だぜ?」
「···いいこと聞いた。···帰る前に仕入れておく」
「そうしな。そうしてくれれば多少はこの国も潤うってもんだ」
新鮮な食材が扱ってる市場があると聞いたナツは目が輝いていたね。今日は1日、市場で買い物としますか!
朝食もシェフが腕によりをかけて作ってくれたので非常においしかったよ。みんな満足していたね!
さて、それじゃあ市場へ行きますか!リオは···、まぁいいか!
シェフに事前に場所を聞いていたので、迷わずにたどり着けた。ホテルから徒歩15分ほどの場所に市場はあった。
かなり大きいね!お店ごとに区画が割り当てられていて、大きな屋台みたいなつくりをしている。道は広めになっていて、たくさんの収穫物を運べるようになっていたね。どのお店も所狭し!と商品がたくさん並んでたよ。これは見てるだけのウィンドーショッピングも十分楽しめそうだね!
「おぉ~!ママ~!すっご~いね~!」
「···ん。···見たことない食材が多い。···これは買わないと」
「ナツ、ボクたちに構わずにフーちゃんと一緒に買い物しておいで」
「···ん。···そうする」
「ねえ、フーちゃん?あたしもいっしょにいっていい?」
「あたいも!いろいろしっておくのはひーろーにはひつようだからな!」
「じゃあ、おれもいいか?」
「いいよ~!みんなでいっしょにおかいもの~!」
「孫たちはナツと一緒に行くようだね。じゃあボクたちはのんびりと見て回ろうか?」
「···ん。···人が多いから手をつないで」
「おっと?ははは!いいよ、ハル。一緒に見て回ろうね~」
「あたしもハルについていくわ~」
こうしてボクたちは二手に分かれて見て回ることにしたんだ。
「あ~!ルメちゃん!くだものっぽいのがあるね~!」
「ほんとね~!おいしいのかしら?」
「じゃあきいてみよ~!すいませ~ん!これってなに~!?」
「いらっしゃい、お嬢ちゃんたち。これはね?レディ・ゴーという甘い果物だよ。食べてみるかい?」
「えっ!?いいの~?」
「少しだけどね。はいどうぞ」
「ありがと~!うん!おいし~!かじゅうたっぷりだよ~!」
「あまくておいしいわね~!」
「お~!これはひーろーかつどうしてつかれたあとにたべたくなるぜ!」
「アトラのいうとおり、つかれたときにたべたくなるな!」
「おねえさ~ん!おいしかったからこれ500こくださ~い!おいくらまんジール?りょーしゅーしょもくださ~い!」
「あらあら!そんなに買ってくれるのかい!?それにお姉さんだなんて!上手言うじゃないのよ!ちょっとおまけしておくわね~!5万ジールだよ」
「ありがと~!あと、こっちのあかいくだものもおいしそ~!」
「これも試食するかい?」
「もち!うん!おいし~!これも500こくださ~い!りょーしゅーしょはさっきとあわせていいよ~!」
「ありがとね。合わせて9万ジールにまけとくよ。ところでこんなに買って持って帰れるのかい?」
「だいじょぶ!ママ~!いいしなあったよ~!ぽしぇっとにいれて~!」
「···ん。···これはなかなかいいね。···フー、さすが」
「えっへん!じゃ~、つぎのしょくざいさがしにれっつごー!」
フーちゃんが果物を探しに行ってる間にナツは野菜を仕入れようとしていたよ。
「そこの嬢ちゃん。うちの野菜を見ていかないか?今日獲れたてだぜ~!」
「···ん。···確かに鮮度いいね」
「だろ~?」
「···これって何に使える?」
「カカは甘めだから煮込み料理にいいぞ。砂糖いらずで甘みを出すことができるぜ。すりおろしてドレッシングなんてのもありだな!」
「···ん。じゃ、これ1000本ある?」
「おっ!?そんなに買ってくれるのかい?」
「···うちは飲食店だから、それでも足りないかな?···もっとあるなら買う」
「2500は用意できるが、どうだ?」
「···じゃ、全部。···領収書も」
「ありがとよ!こんな大口のお客さんは初めてだぜ!他はどうだい?」
「···じゃ、この葉野菜。···これから冬になるから鍋にいいかも?」
「その通りだぜ···。嬢ちゃん、なかなか食材を見る目があるな!」
「···それなりに繁盛してるからね。···常連客を飽きさせないのも大事。···2000ぐらいいける?」
「言うじゃねえか!気に入ったぜ!しめて45万ジールでどうだ?」
「···いいね。···それで」
「ありがとよ!また来てくれよな!」
とまぁ、こんなかんじで二人で大量に買い込んでいたよ。市場の人たちはナツたちが大口のお客さんだったものだから大喜びだったよ。
一方、ボクたちはとんでもないものを見つけてしまった!!
「マジでお米だ···。エーレタニアにもあったんだ!!」
「···これってアキの世界にあったよね?」
「そうだよ!しかも日本人向けっぽい形だから、馴染みあるよ〜!すいませ〜ん!これってなんという名前のお米なんですか!?」
「いらっしゃい!これは珍しい穀物でね。名前は『ベタ惚れ』ってんだ。鍋で炊いて食べるんだが、炊き方次第でおいしくて魅了されるからだそうだぜ!」
「···某宮城県産の名前っぽいなぁ〜。まぁいいか!おっちゃん!これいくら売ってくれる!?」
「ここにある分ならいくらでもいいぞ!」
「じゃあ、50俵ちょうだい!」
「そんなにか!?ありがとよ!」
ついに···、ついに!ねんがんのお米を手に入れたぞ〜!◯してでも奪い取られないよう、すぐに無限収納カバンに入れましたとも!
これからはハルにもおいしい米を使った料理を食べてもらうぞ〜!ナツにもお裾分けして、新メニューにチャレンジしてもらうのもいいね!
そしてボクたちはナツと合流し、大量に買いまくった市場を後にした。
「「「「また来てくれよな~!!」」」」
「···さすが農業国なだけあるね。···定期的に仕入れたい」
「ママ~!ケンにーちゃんにおねがいしたらいいんじゃない~?」
「···ケンに支店出すように言っておくか」
「パパならここまでもすぐにこれるだろうしな!あたいもさんせーだぜ!」
ははは。確かにケンならすぐに来れそうだね。さて、買い物を終えてボクたちと合流して、昼食にしたらナツには帰ってもらおうか。早くしないと王都は夜になっちゃうからね。
そう思ってると『テテーーン!!』ってスマホが鳴った。なんだ?初めて聞いた通知音だけど?まるで昔のOSのシャットダウンの音みたいだったよ。そう思ってスマホを見ると、
『解体が完了しました。詳細はアプリから確認できます』
って通知が表示されていた。せっかくナツが来てるから、魔獣のお肉をおすそ分けしておくか!あとはマグで仕入れた野菜や魚もナツに渡そう!
でも、相当な量があるから出すのも大変なんだよなぁ~。そう思ってアプリを開くと···、新機能が追加されていた!それは···。
市場で大量に買い占めるナツちゃんとフーちゃんでしたね。
レディ・ゴーはマンゴーの亜種です。マンなので反対のレディがいいか!ってつけましたけど、レディ・ゴーってまた別の意味にもなっちゃうんですよね〜。
カカはカカオではなくキャロット、つまりニンジンの事です。
さらにお米の名前は宮城県産のお米の銘柄であるひとめぼれをちょっといじったものです。
ついにアキくんはお米をゲットできましたね〜。異世界でお米の調達って大変な作品が多い中、本作では別大陸の食材としての登場となりました。特に欧米に海外旅行に行くと、ものすごくお米が恋しくなりますよ!日本人なんだなぁ〜と実感する瞬間ですね。
ちなみに海外でおいしいお米は台湾です。戦前に日本から稲を持っていって、天皇陛下へ献上されたことがあったそうですよ。台東周辺のお米でして、池上駅の駅弁もおいしいですよ〜!ホームで立ち売りしてるんです。
さて次回予告ですが、無限収納カバンシリーズの最終変身···、ではなくてもう一つあった隠しチート機能が解禁されます!いったいどんな機能なのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




