3-9.ナツVSシェフ、料理対決!
メリークリスマス!
今日はクリスマスイヴですが、本作では夏のお話です···。
「お前がオレのケーキの食材を聞いたのか?」
「そ〜だよ〜!フーのうちはいんしょくてんやってるの〜!」
「食材は教えてやれるが、レシピは教えられんぞ?」
「いいよ〜!ママならすぐにつくれるから〜!」
「(カチッ!)ほう···。それほどの腕前か。ならば食材を教えてやろう。次に来た時はそのママとやらと勝負させろ!」
「いいよ〜!そうだ!じーじ!『てんい』でママをつれてこれる〜!?」
「できなくはないけど···」
「じゃあ、フーがあとでママにきくね〜!」
喫茶店のシェフが出てきちゃってフーちゃんに食材を教えてくれた。ついでにシェフはナツに勝負を挑みたいみたいだね···。料理魂が熱く燃えてるのだろうか?
そうしているうちに部屋の準備ができたとフロントの人が呼びに来てくれて、ボクたちは家族別で部屋に入った。
すぐにフーちゃんはちーむッス!でナツに連絡していたよ。
「というわけで、ママ!じーじがむかえにいったらきてくれる〜?」
『···いいよ。明日は定休日だし』
『フー!まだ帰ってこな(ズムッ!!)グフゥッ!?』
『···黙れ。···パパはいつ迎えに来てくれるの?』
「いつでもいいけど、そっちとこっちだと6時間時差があるから、夕方に迎えに行ったらいいかな?」
『···じゃ、今から。···そっちの夕食に勝負する』
「えっ···!?そっちの営業後なのに大丈夫?」
『···ん』
「じゃあ···、今から向かうね」
なんと!?今日の夜はナツがこっちに来てここのホテルのシェフに勝負を挑むようだ···。いいのかなぁ〜?
ナツとの会話が終わった瞬間にフーちゃんは姿を消した。そして···、
「じーじ!シェフは『うけてたつ!』っていってたよ〜!カチコミしよ〜!」
「フーちゃん···。どこでそんな言葉を知っちゃったの···?」
「わすれた〜!じーじ!はやくママをむかえにいって〜!」
そういえばナツも小さい時はどこでそんな言葉を?って思ってたけど、フーちゃんも同じだったか···。血は争えないって事か。
ということでボクはリオの部屋に行って状況を説明した。
「いいぞー!今日の夜はおいしいごちそうだぞ〜!」
「「ナツママのりょうりだ〜!」」
「ははは···。ルメちゃんもアトラちゃんもナツの料理が好きなんだね。じゃあリオ!よろしくね!」
「おうよ!せーの!」
「「インテグレーション!!」」
ボクとリオで合体変身すれば王都まで転移可能だ!さあ!ナツを迎えに行こう!
ナツの家の裏口に転移完了!うちとリオの家族は特別に入国審査は免除されてるから、転移でも問題なく入ることができるんだ。ちなみに1時間以内の往復なら入国・出国審査後も中へ転移は可能になったよ。
だからナツには向こうで入国審査を受けてもらう必要があるんだ。ボクたちは一旦国の外へ転移してから中へ転移してナツを迎えるってやり方だよ。
裏口をノックすると、ナツが待ってたよ。
「お待たせ。ヨウくんは?」
「···『具合が悪い』って寝込んでる」
「···それってさっきナツがボディブロー食らわせたからじゃ?」
「···気にしない。···じゃ、行こ」
ヨウくんの状態を見ることはできなかったよ···。いつもちーむッス!でフーちゃんと会話してたら殴られてるけど、大丈夫かなぁ〜?
ナツと一緒にボクたちはすぐに転移で門の外に着いた。ボクはすぐに門の中へ転移してから変身を解いた。ここからは変身なしのボクの転移でホテルに戻るよ!
「あっ!?ママ〜!」
「···ん。···じゃ、シェフのところへ」
「は〜い!ママをごあんない〜!」
そしてフーちゃんがナツを連れて喫茶店へ行った。
「ほう!?まだ若いじゃないか!?長年経験を積み重ねてきたオレの実力を思い知るがいいわ!」
「···ん。よろしくお願いします」
ナツとシェフのクッキングバトルが始まった!食材は同じで、作るものはケーキだ。
ナツは分身の術を使わずに挑んでいた。条件を五分にするためだね。
バトルは喫茶店の厨房じゃなくて店内で派手にやっていたから、他のお客さんが『何だ何だ?』と集まりだした。お互い真剣に調理しているので、見応えはバツグンだ!
ナツは簡易コンロと皇国製小型オーブンを持ち込んでいた!さらに冷やすのは氷魔法も使っていた。···なんだか昔あった料理番組っぽくなっているなぁ〜。
シェフは厨房のオーブンを使っていたから、客席から離れちゃったね。
スポンジが焼き上がり、ナツは仕上げに入った。···ものすごくきれいにクリームを塗ってるね。
ナツ···。立派な料理人になったなぁ〜。鉄人って名乗っても遜色ないんじゃないかな?
「···完成」
「「「「おぉ~!!!」」」」
ナツは見事なショートケーキを作り上げちゃった!観客も驚きの歓声をあげてるね。
一応確認だけど、ナツはケーキ職人じゃないからね。町の飲食店でいろんな料理をしてるからね!スマホ内のレシピを全部作れちゃうから和洋中なんでもござれ!だけど···。
一方のシェフも出来上がったようだ。仕上がりはナツとほぼ遜色ないね。
「これは···!?素晴らしい出来だ。ただ、見栄えも大事だが、一番は味だ!」
「···もち。···じゃ、食べてみよう」
実食!!
ケーキを切り分けたのちにお互い向かい合って座り、目の前には二切れのショートケーキが並んでる。
ちなみにフーちゃんにも二人のケーキが目の前にあった。···審判役なのかな?
···なんだろう?見た感じ、将棋の対局っぽい雰囲気なんだけど?まぁ対決という意味では正しいか···。
では将棋っぽく言うと、先手はシェフのケーキだ。
「うむ!いい出来だな」
「···ん。いい腕してる。···大きなホテルの厨房任されてるだけあるね」
「うん!おいし〜!スポンジがきめこまかくてふんわりしていて、てきどにしっとりしてるね〜!クリームのあまさもぜつみょ〜!?」
フーちゃん···。なんか凄腕の評論家っぽい解説をしてるよ···。どこでそんな言葉を覚えたの?
では後手、ナツのケーキだ。お味はいかが···?
「こ、これは!?素晴らしい!まさかここまで美しいバランスのとれたケーキは初めてだ···」
「···ん。···うまくできたね」
「おいし〜!ママのはスポンジのやわらかさがサイコー!ふわふわしてるし、クリームもさとうのあまさじゃなくてクリームのあまさをぜんかいにひきだしてるね〜!」
「ははは!世の中、上には上がいるのだな!オレの完敗だ。一部ではあるがレシピを教えよう」
「···ん。···じゃ、うちの店の人気メニュー教えるね」
「ほう!?それは面白そうだな!ぜひとも!」
こうしてナツとシェフのクッキングバトルはナツの勝ちなんだけど、料理に対する熱意に共感したみたいで仲良くなっちゃったね。
この日はナツもボクたちの部屋に泊まってもらった。王都だったらもう深夜だからね。もちろん、夕食はシェフの料理をいただいたよ。さすがにナツは疲れていたから、料理はしてもらわなかったよ。
シェフは腕によりをかけて作ってくれたから美味しくいただけました。
ごちそうさまでした〜!
料理の話となればナツちゃんの出番ですね!
ということで、ヨウくんを置いてきぼりでナツちゃんがやってきて、シェフと直接対決になりました。
最近ヨウくんはなんか変わってしまいましたね。完全に子離れできないダメ親になっちゃいましたよ。どうしてこうなった···?まぁ、お子さんができると変わるってのはありますけどね。
さて次回予告ですが、せっかくナツちゃんが遠路はるばるやって来てとんぼ返りってのはもったいないので、テスラ共和国の市場に行って、珍しい食材を買い漁ります!無限収納ポシェットがあるので、大量に買い込みますよ〜!
それではお楽しみに〜!




