3‐2.緑竜の困りごと
「待たせたね!それじゃあ案内するよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」
ボクたちは第一緑竜さんの案内で集落に案内してもらったよ。どんどん森の奥の方に進んでいく。道は細いものの、荷馬車1台ぐらい通れる幅はあったね。
そうして10分ほどで集落に着いた。森の中に切り開かれた場所だったよ。
緑竜の集落はほかのドラゴン族と違ってほとんどが人型で暮らしていたよ。ほかの集落よりもボクとしては対応しやすくて助かるよ。
第一緑竜さんが門番にボクたちの話をしてくれた。ナギちゃんは門番さんにも連絡していたみたいなので、すんなりと集落に入らせてもらえたよ。
そして、そのまま第一緑竜さんが長さんのところに案内してもらえた。リオのところの白銀竜のレジストの集落同様、一番奥の大きな建物だったね。
「おぉ!キミたちがナギと知り合ったという者たちか!うちのドラゴン族以外は見たことなかったから、これはめずらしいのぉ~。ワシはイブキ。この緑竜の郷の長をやっておるよ」
「初めまして。ボクはアキと言います。そして妻のハル、孫のモンドとフー、そして親戚のレオです。ボクたちはここからはるか東にある、ボルタニア大陸から来ました」
「おうー!オレは白銀竜のリオだー。こっちは妻の青竜のナナ、あと孫の赤竜のルメと金竜のアトラだぞー」
「ご紹介ありがとう。なるほど、ボルタニア大陸からお越しになったから、この辺では見かけぬドラゴン族じゃったんじゃなぁ〜」
「ボクたちもこの大陸に来て緑竜は初めてですね。ところでナギちゃんから助けてほしいと伺ったんですが、どういったことなんでしょうか?」
「口で説明するより見てもらった方が早いのぉ〜。ついてきなされ」
そう言われてボクたちはイブキさんについていった。
連れてこられたのは集落の外れにある小屋だったよ。ここに何かがあるという事かな?
「ここじゃ。ワシらではどうにもならんのでのぉ〜。アキさんたちで何かわかるのなら助かるんじゃが···」
小屋の中には小さなテーブルがあり、その上には小箱があった。ボクが恐る恐る開けてみると···、小さな『黒く光る』玉があった。
「レオ···、これってもしかして···」
「ああ、アキ。これは神の力の核だな。しかもこれはかなりマズい状況だぞ···」
「イブキさん?これはどこで拾われたのですか?」
「拾ったというか、漁で獲った魚が咥えておっってな。その魚は見たことのないほどどす黒くて凶暴じゃった。ケガ人も出てしまうほどでな。それからというもの、集落周辺の魔獣が凶暴化しておってな。それが原因なのはわかってるんじゃが、いかんせんどうしたらいいものか悩んでおったのよ···」
「イブキさんと言ったな?ここはオレたちに任せてイブキさんとナギちゃんは小屋から出ていてくれないか?」
「レオ···?」
「大丈夫だ。ただ···、ちょっと見られるわけにはいかないんでな。頼む」
「あいわかった!では屋敷に戻っておるので、終わったら屋敷に来てくれ」
「ああ。ちょっと時間かかるが、夕方には戻れると思うぜ」
「わかった。それではよろしく頼むぞ」
イブキさんはナギちゃんと一緒に小屋から出ていったね。さて···、レオはどうするのかな?
「さて···、ちょっと全員の力を借りたいんだけど、いいか?」
「どうするの?」
「まずは転移で誰もいない、大暴れできそうな場所へ行く。そして···、この核が溜め込んだ黒魔力を開放する」
「それってまさか!?」
「ああ。人為的にスタンピードを起こす。それで黒魔力を放出しきったら、アキにこの神の力の核を管理してもらおうと思うんだ」
「うわぁ~···、レオが言うならそれしかないんだろうね···。でも、この核の持ち主ってどうしたんだろう?」
「すでに亡くなってるんだろう。本来なら創世神が回収するんだが、たまに漏れてることがあるんだ。そうすると周囲の魔力を取り込もうとするんだ。魔獣が咥えていたということから、この湖は黒魔力の溜まり場だったんだろうな。だから黒魔力を限界まで取り込んでるんだ···」
「レオ?スタンピードの規模はどれぐらいになりそう?」
「おおよそだが10万を超えてそうだな···」
「って事は、王都に押し寄せた時と同じ規模かぁ〜。あの時は変身と合体魔法連発でなんとかできたんだけど···」
「なに、今回はオレ、ハル、モンド、フーが全力全開でやればなんとかなるさ。アキには結界を張って黒魔力が周囲に散逸するのを防いでもらうサポートと加勢を頼めるか?」
「もちろん!精一杯やらせてもらうよ!」
「あたいもさんかするぜ!」
「あたしも!ちょっとはおてつだいできるわ!」
「えっ!?う〜ん···。リオはどう思う?」
「ナナの背に乗っけてもらってればいいと思うぞー。ナナー。空から状況を伝えてほしいけどいいかー?」
「それぐらいいいわよ。ハルが本気だしちゃうとあたしの出番ないからね」
よし、これで作戦は立てれたよ。
メインアタッカーはレオ、ハル、モンドくん、フーちゃんだ。龍脈と一体化するトランスで広域殲滅するよ。
ボクとリオは変身して後方支援だ。余裕があれば殲滅に加わるよ。
ナナは上空から戦況報告。ルメちゃんとアトラちゃんは空爆に参加してもらおう。
誰もいない無人の荒野···、ちょうど上陸地点のマグと首都ビオの間に砂漠っぽいところがあったから、そこにしようか!
「それじゃあ、みんな!準備はいいかな!?」
「「「「いいとも〜!」」」」
「それじゃあ、転移!!」
さあ、着いたよ〜。周囲には人も道もない場所だ。思う存分暴れさせてもらおうか!
「じゃあリオ!久々だけどいくよ〜!」
「おうよ!せーの!!」
「「インテグレーション!!」」
ボクとリオは合体変身して白銀竜の着ぐるみを着た格好になった。続編では初めてだね!
「よし!ハル、モンド、フー!いくぞ!!」
「···うん!」
「おうよ!」
「ふつかれんぞくでフーもがんばるよ〜!」
「「「「ハァッ!!」」」」
神狼族4人は一斉に龍脈と一体化するトランスになった!目が金色に光り、顔に現れた紋様が淡く光りだした!
「結界展開!レオ!準備完了だよ!」
「よし!それじゃあ開放するぞ!リリース!!」
レオが神の力の核にたんまり溜め込んだ黒魔力が開放され、勢いよく噴出した!周囲が暗く澱みだして、あちこちから魔獣が湧き始めてきたよ!···ホントに地面から湧いてくるんだなぁ〜。
さて···、それじゃあ大掃除を始めようか!!
困り事は緑竜では手に負えるものではありませんでした!神の力の核は世界管理に必要な力が備わっており、蓄えられる魔力量はとんでもない量になります。
今回はその魔力が黒魔力オンリーだったために周囲の魔獣が凶暴化するという悪影響がでていました。
さて次回予告ですが、神狼族全員で黒魔力から湧き出した魔獣の掃討を開始します!格闘技大会以上に大暴れしますのでご期待ください。
それではお楽しみに〜!




