2-20.リオ、ナナに離婚を迫られる!?
「ナギちゃん···、強い!」
「今まで見たことのない攻撃方法だったなー」
「多くの技や魔法が使えるから、前試合で事前研究ができないな。強さが違うな」
「でも、あの子も初めて見せた魔法ばかりよね?」
「そうだね、ナナ。今回もボクの世界のアニメやゲームの魔法だったから、ナギちゃんも見たことのない魔法で驚いたんじゃないかな?」
「そうだなー。ルメの実力でよくここまで粘ったぞー。戻ったら褒めないとなー!」
「リオの言う通りだぜ。オレが相手でもあのバリアは苦戦しそうだ」
「いや···、レオだったら簡単に突破すると思うけどね···。さて、今日の試合はこれで終わりだから、迎えに行こうか!」
準々決勝が終わり、勝ち残ったのはフーちゃんだけになったね。それでもみんなよく頑張ったよ!
今日はご褒美においしい夕食をたらふく食ってもらおう!フーちゃんとルメちゃんを迎えに行くと、控室から合流する地点でナギちゃんがひたすらルメちゃんに謝っていたよ。
「本当に···、ごめんなさい···。まさか···、腕が折れてしまうなんて···」
「あぁ〜、いいわよ。じこだからね。フーちゃんにかいふくまほうかけてもらったから、もうだいじょうぶよ」
「それでも···」
「ナギちゃん!あした、がんばってね!」
「はい···!今日は···、ありがとう···、ございました···」
「うん!それじゃあね!」
そう言ってナギちゃんと別れたルメちゃんだったよ。横にはフーちゃんが付き添っているね。
「2人ともお疲れ様。じゃあ、帰ろうか!」
そう声をかけたところ···、
「アキじーじ···。ちょっとトイレいってくるわ···」
「えっ?ああ···、うん。いいよ。ゆっくり行っておいで」
「···ありがとう」
そう言ってルメちゃんは奥の方のトイレへ駆け込んでいった。
「どしたんだー?」
「リオ、今はルメちゃんを1人にさせてあげて」
「えっ?なんでだー?」
「···アンタは本当に鈍感ね!?悔し泣きを見られたくないからよ!」
「あー、ナナー。そういう事かー」
「ルメちゃん···。フーといっしょのときはえがおだったのに···」
「あたいよりもくやしかったんだろうなぁ〜」
「おれもきもちわかるぜ···」
ルメちゃん···。本当に強いね。負けて悔しがる姿を見せたくないだなんてね···。でもね?その悔しさがルメちゃん自身の強さに繋がるんだよ。たっぷり泣いて、その後でちゃんと前を向いて歩いてね。
待つこと15分。ルメちゃんはちゃんと出てきてくれたよ。目のあたりが真っ赤なのは見ないことにしておいたよ。
「またせたわね!じゃあ、かえりましょ!」
「そうだね。今日はボクがごちそうするから、好きに食べてね!」
「ありがとう!アキじーじ!」
そしてホテルの部屋に戻り、フーちゃんとモンドくんはフユとナツにちーむッス!で今日の試合の話をしていたよ。早めに連絡しないと5時間時差があるからね。
すると、ハルが試合の様子を録画していたので、それもアップしてくれたから、フユもナツも試合がどんな感じだったのかがよくわかってくれたみたいだったよ。
そして日も落ちて暗くなりだしたので、レストランに行った。ここのレストランは3つもあるんだよ。今日は1番高いレストランに連れて行ってあげたよ。
「さ〜て!みんなお疲れ様!みんなの試合を見てて全力で頑張ってると思ったので、今日はご褒美に1番いいレストランにしたよ!思いっきり食べてね〜!それじゃあ、いただきま〜す!」
「「「「いただきま〜す!!」」」」
ふふふっ!みんないっぱい食べてるね!しっかり食べて次も頑張ろうね!フーちゃんは明日どこまで行けるかなぁ〜?
さて、食事も終えてボクたちは部屋に戻ってのんびりとくつろいだよ。
一方のリオの部屋はというと···、
『アンタ!?(バシーーン!!)こんな時間に1人でどこへ行こうと言うのかしら!?』
···またリオがこっそりと抜け出してカジノに行こうとしていたようだね。ホント、懲りてないんだなぁ〜。
仕方ないのでボクがリオの部屋に行って、またまたリオの全身を縛っておいた。すると、アトラちゃんがなんと!?鉄球付きの手錠を4つ用意していたんだよ!?いったいどうしてそんなもの持ってるの!?
『あくのそしきにつかまって、かいぞう?されるあそびをするときにつかうんだぜ!』
特撮もの大好きなのは知ってるけどさ···。そこまでやるの···?どんな遊びなのさ···?
グロー歴523年8月14日 曇
おはよう!ちょっと曇ってるから暑さはそれほどでもないね。内陸部だから湿度が低くて快適だよ。
さあ!今日は決勝まであるね。フーちゃんの活躍が楽しみだよ!
そのフーちゃんはモンドくんと一緒に早朝ランニングに出かけたよ。モンドくんも普段通りの様子でよかったよ。
さて、リオの方はどうかな?今日はボクから行ってみると、扉越しに···、
『(ドゴォッ!!)アンタ!!ホンット!バッカじゃないの!!何考えてんのよーー!?』
···えぇ~!?縛られてたのにカジノ行っちゃったの!?アトラちゃんが鉄球付き手錠をリオの両手両足に付けてたのに!?
ボクがノックすると、ルメちゃんがうんざり顔で出てくれたよ。
「おはよ、アキじーじ。じーじがまたわるさしちゃった···」
「おはよう、ルメちゃん···。またリオはカジノに行っちゃったんだね?」
「ちがうの···」
「えっ···?違うの?」
「おねしょしちゃったの···。マーマの上で···」
「···うわぁ~」
どうも鉄球付きで縛って身動き取れなかったからトイレに行けなかったらしく、しかもベッドの壁際に縛ったリオを寝かせておいて、ナナを乗り越えないとベッドから降りれないようにしていたんだって。
そしてトイレが我慢できなかったリオはなんとかナナを乗り越えようとして、転がった際の振動でおもらししちゃったんだってさ···。ナナの真上で···。
ボクが部屋に入ると、激おこぷんぷん丸状態のナナが縛られて身動き取れないリオをガシガシ踏んでいたよ···。これ、ボクが止めなきゃいけないの···?どう声をかけたらいいんだろう···?知らんぷりして部屋に戻りたいんだけど···。
「え〜っと···、ナナ···?」
「アキ!ちょうどいいわ!今日こそはコイツと離婚してやるわ!!」
「ええ〜〜!?ちょ、ちょっと待ってよ!?」
「もう限界よ!!よくあたしここまで我慢したわ!ホンット、結婚を決断した時のあたしを今すぐぶん殴って止めさせたいわ!!」
「落ち着いて!!リオをトイレに行かせる前に縛っちゃったボクにも責任があるから!」
「関係ないわ!一言声をかけてくれればトイレぐらい連れて行かせるわよ!それを声もかけずにあたしを踏んで乗り越えようなんて信じられないわよ!!」
「リオ···?どうしてそんな事したのさ···?」
「覚えてないんだぞー!?寝ぼけてたんだと思うぞー!!不可抗力だぞー!?」
「う〜ん···。縛るのも問題だったか···。ナナ?今日で試合が終わるからさ。明日チェックアウトするよ。今晩はボクの部屋でリオに寝てもらうよ。ハルにこっちで寝てもらうように言っておく。それならいいでしょ?」
「それだとハルが寂しがるじゃないのよ?」
「ボクの等身大抱きぬいぐるみがあるから大丈夫だと思うけど···」
「じゃあ、それでいいわよ」
「(ホッ···)じゃあリオ?縄を解くよ。アトラちゃん?鉄球外してくれるかな?」
「おう···。あくにんをかいほうするのかぁ〜。これもひーろーにはだいじなのか···?」
「大事だよ。断罪するのも大事だけど、赦す事もヒーローには大事なんだよ」
若干納得してくれたのか、アトラちゃんは鉄球を外し始めたよ。とりあえずナナの機嫌が良くなることを考えないとなぁ〜。この先の旅行がギスギスしていたたまれなくなっちゃうよ···。
悔し泣きを見られたくないというルメちゃんの健気な姿、書いていて作者も涙ものでした···。誰しも情けない姿というのは見られたくないものです。6歳のルメちゃんがこういう事を考えるのかぁ〜と思いましたね。子どもだから···、というのは偏見かもしれませんが、みんなの前で泣いてもいいんだよって言ってあげたくなりましたね。大人ぶりたいのも子どもの考えの一つでもありますけどね。
そしてリオくんは懲りずにカジノへ···。未然に防げましたが、縛ってても寝ぼけてトイレに行こうとして、転がった衝撃でお漏らししちゃいました···。
ナナちゃんの怒りゲージがオーバードライブしちゃって離婚を突きつけてしまいました!
···うん。今までナナちゃんはよく耐えたよ!寝坊助とロシアンルーレット的な料理だからなぁ〜。
さて次回予告ですが、非常に険悪な雰囲気の中、フーちゃんとクロくんの試合が始まります!2話に分割してお届けしますよ〜!
それではお楽しみに〜!




