2-15.アトラのリアル特撮なりきりショー(試合ですって!)
「フーちゃん···、大胆だなぁ〜」
「···矢を受け止めた時点で相手の心を折ったね」
「最後の方はなんかいつものフーじゃなかったなー」
「リオも気づいたか。何か傷つくような事を言われたのかもな」
「···精神的な攻撃に対しても鍛えないとね」
「ハル?フーちゃんには早すぎると思うよ?」
「···将来的な話だね」
「次はあの黒竜の少年だなー」
「順当に行けばアトラとやることになりそうだな」
「そうね〜、レオ。でも、ちょっとあの子では厳しい試合になりそうね〜。あたしは心配だわ」
「···負けることも大事」
「そうだね、ハル。くやしい思いや改善点を見つけるいい機会になるからね」
ボクたちは観客席で見守るしかできないけど、精一杯力を出してほしいね!
さーて!次はあたいだな!迫りくる悪···、ではないな!対戦相手を今回もなぎ倒してやるぜ〜!
相手は···、怪しい格好をした魔法使いのようだな。魔法使い相手は、昨日はモンドがかなりやられてたな。あたいもああならないように気をつけるぜ!
「ふふふ···。この試合、勝ったも同然だな」
「あぁ?まだやってもないのになにいってるんだ?」
「これはこれは失礼。何もしなくてもわかってるから言ってるんだが?ガキだから理解できんか···」
「(カチン!)だったらすぐにおもいしらせてやるぜ。よろしくな!」
あったまにくるな!?あたいがちっこいからって舐められてるな!っていつも舐められてるけどな···。一気に片付け···、はっ!?もしかしてこれって、挑発して冷静な判断を失わせる作戦か!?
そう言えばそんな怪人のエピソードがあったぞ!挑発されたひーろーは無謀にも1人で突っ込んで多勢に無勢でピンチになってたな。冷静だった仲間が助けに入って落ち着かせてから怪人を倒したんだったな!その時に初めて合体技が完成したって話だったからよく覚えてるぞ!
危ない危ない···。危うく怪人のワナと同様にあたいも引っかかるところだったぜ。あの話を見ていて良かったぜ!
「それでは第2回戦第4試合、始め!!」
「···おや?攻撃してこないのか?俺の恐ろしさにビビったか?」
「そんなやすいちょーはつにはのらないぜ。なにかしらしかけてるとおもったからな!」
「ちっ!乗ってこないか···。ならばこの魔法で相手をしようか!!」
そう言って相手の前の地面にドス黒い魔法陣が現れた!···なんだか嫌な予感がするぞ!?
「···サモン」
すると!?魔法陣から数多くの骸骨の集団が現れたぞ!?しかも骸骨はヒトだけじゃない!魔獣っぽいのまでいやがるぞ!?じーじが言ってた『しょーかん魔法』ってヤツか!?
「フハハハ!ここまで喚び出すつもりはなかったが···、まぁいいか。いくらドラゴン族のガキとはいえ、この数では太刀打ちできまい。今のうちに大人しく降参したらどうだ?」
「···くっくっく。あっはっは!あははは!!」
「···?なんだ?あまりの恐怖におかしくなったか?」
「あははは!いや、そうじゃねえよ。しんじゃったものたちをつかうなんて···、じっさいにあくにであえたからうれしいんだぜ···。おもいっきりぜんりょくぜんかいでやりあえる···」
「なんだと?」
まさか試合でパパのすまほで何度も見た特撮ものと同じような状況になるなんてな!嬉しいぜ!こうなったら本気で!再現するぜーー!!
「へんしんっ!!!とおっ!!」
「な!?なに!?」
あたいは大きくジャンプして変身バンクに入る!全身があたいの魔力で金色に輝き、体中に魔力でできた輝く鎧が装着されていく!裸にはなんねーぞ。恥ずかしいからな!
じーちゃんとアキじーちゃんの合体変身やパパの戦隊変身を見て、いつかあたいもやってやる!って思ってたんだ!毎日(気持ち的に)血を吐くほど努力した変身魔法!とっておきを見せてやるぜ!!
スタッと立った時には全身が金色のウロコで輝く魔法の竜の鎧をまとったあたいが現れた!
「な、なんだあれは!?」
「あれも魔法なの!?」
「かっくいい〜!!がんばえ〜〜!」
観客も驚いてるな!さあ、あたいの真のひーろーショーの開幕だぜ!!
「変な鎧をまとっただけではないか!?いけ!骸骨どもよ!」
悪人···。いや、リアル怪人が骸骨をけしかけてきたな。まんま特撮ものと同じ展開だな!燃えてきたぜ〜〜!!
「ハァッ!やぁっ!ていっ!!」
鎧を装着すると、身体強化魔法がさらに強化されるんだぜ!魔力消費も凄まじいけどな!
じーちゃん流の体術で骸骨どもをちぎっては投げ、壊していく!しかし!すぐに再生しやがった!
「無駄無駄無駄ーーーっ!!骸骨どもは滅びぬ!何度でも蘇るさ!」
「なるほどな!だったらとっておきのひっさつわざ!はぁあああーーー!!『竜聖拳ーー!!』」
あたいの右手の拳から無数の魔力弾が放たれ、骸骨たちは木っ端微塵になったぜ!粉々になったら簡単には蘇らないだろうからな!
「バカな!?あれだけの骸骨どもを一瞬で粉にしただとぉ!?」
「さーて、つぎはアンタだな。かくごしな!」
「クソッ!かくなる上はこうだ!!」
「なにっ!?」
粉々にしたはずの骸骨の骨が舞い上がり、1体の巨大な骸骨になったぞ!?
「ハハハ!もう次の試合なんて考えられるか!ここで全力でキサマを倒してやる!!」
そう来たか!まさかここまであたいの大好きな特撮ものの展開になるなんてな!でも···、あたいには巨大合体ろぼなんてないんだよなぁ〜。
そうだ!あたいが竜モードになったらいいんだ!竜モードになっちゃダメってルールはなかったしな!
「ヘヘっ!ざんねんだったな!あたいだってとっておきをみせてやるぜ!」
「なに!?」
次の瞬間!あたいの体が光って竜モードになってやったぜ!···背丈はあたいの方がちっこいけどな。子どもなんだから仕方ないだろ!?
「しまった!?このガキ、ドラゴン族だった!」
「それじゃあ、これで···、おわりだぁーー!!ガァアアアアーーーー!!」
あたいの本気のドラゴンブレスを巨大骸骨に放ってやった!巨大骸骨は耐えようとしたけども、魔力を高めてブレスの勢いをさらに強めてやると···!
ドーーーン!!
骸骨の前に溜まった魔力が爆発して怪人もろともコロシアムの外へふっ飛ばされてしまったぜ!
そして···
ちゅどーーーん!!
場外で爆発がおきたぜ!たしかあっちは湖があるって話だったから被害もないだろうな!
「そこまで!」
「ハアッ!ハアッ!あくは···、ほろびさったぜ···。あたいも···、もう···、げんかい···、だぜ···」
魔力使い果たしちまったぜ···。まだ···、試合あるんだけどなぁ···。
でも···、最高に···、楽しませてもらったぜ···!
「アトラ!」
「アトラちゃん!」
「アトラ!」
ヘヘっ···。みんな···、あとは···、任せたぜ···。
あたいはみんなに向けて親指を立ててその場で気絶しちゃったぜ···。
今回はまんま特撮ヒーローの展開で書いてみました。
作者がこの展開をアトラちゃんに提案したところ、ドロップアウトすることにかなり抵抗されましたが、『どうせ負けるなら、こういう展開のほうが今後強くなれるし、かっこいいぞ!?』と言ったら乗り気になってくれました。
アトラちゃんが本気で特撮ものの展開を思いっきり堪能してくれたようで、作者は嬉しかったですね〜。
さて次回予告ですが、次はモンドくんの試合です。ただ、今回の相手は非常に悪かったのです···。モンドくんはどうなってしまうのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




