2-13.ルメ、ずっとあたしのターンを発動する!
「あの相手、強い!」
「かなり高度な魔法だなー。しかも自動追尾付きだぞー」
「かなり実践向きな魔法だよな、リオ。ちょっとモンドじゃ相手が悪いかな?でも、これもいい経験になるだろうな」
「レオ!そんな悠長なことを···。うわっ!光の剣がモンドくんに!?」
「あー、これは決まったかもなー」
「油断してなかったんだろうけど、相手が上手だったな。これが試合じゃなかったら危ないな」
「···でも、モンドはまだ諦めていないよ」
「ハル?」
「···まだ目が死んでない。···何か企んでるね」
「えっ?あっ!?あれはまさか!?」
「おー!エセムの魔法だなー!ここで使うとはなー!」
「ははは!やるじゃねえか、モンド!意地を見せたな!」
「でも、相当ダメージ入ってるよ!回復魔法かけてあげないと!」
「アキ!その必要はないぞ。ちゃんとルメちゃんがかけてくれてるから」
「···レオさんの言う通り。···アキは心配性過ぎる。···モンドもフーも、回復魔法は使えるんだからね」
「あっ···、そうだけど···」
でもさ?血は出てなくても体に剣が刺さったら痛いと思うよ?フユから武者修行させてって言われてるけど、だからと言って見てるだけなんて辛すぎるよ~!
でも無事でよかったよ。なんだかフユとナツの格闘技大会よりも安心して見れないなぁ〜。相対的に相手が強いんだよ。優勝はきびしいかなぁ〜?
そんな事を考えていたら、次はルメちゃんの試合が始まろうとしていた。
さ〜て!次はあたしの出番ね!アトラとモンドくんはかなり苦戦してたし、あたしも強敵に当たりそうね!
相手は···、鞭使いのお兄さんだね。うわぁ~、目つきがヤバいよ!?
「うふふふ!かわいい赤竜のお嬢ちゃんかぁ〜。これはかわいがりたくなっちゃうわね〜!」
「············」
ひゃぁ~···。変態さんだったかぁ〜。そういえばフーちゃんにも怒られて快感感じてる『すとーかーさん』がいるんだったっけ?世の中、変な人がいるのね···。
これは試合を楽しめそうにないわ。さっさと終わらせましょう!
「それでは第15試合、始め!」
「よろしくおねがいします。そして、さようなら。ジェットブレス!」
「なに!?くっ!」
あたしの中で最も発動が短い魔法で時間を稼ぐ!じーじの高速飛行魔法の応用で、強烈な風で相手を吹き飛ばすのよ。これで場外まで飛んでくれたらありがたいんだけど、そうもいかないわよね。
変態さんは鞭であたしの足を狙って向けてきたけど、風で弾き返したわ。この魔法を先制で使って正解だったわね!
さて次の魔法よ!これもかなり準備に時間がかかるのよ。
「じゅんびかんりょう!キラーアーテレリー!レッドバージョンよ!」
詠唱完了すると、あたしの目の前には赤い色の砲台が、3つ出現した!この砲台は防壁も兼ねているのよ。これで正面からの鞭攻撃は防げるわね。
「な!?なによ!?でも、砲台なんて出しても一方向しか撃てないわよ〜。回り込んだら意味ないわね!」
「オネエことば···。いや、どうでもいいわ。これでおわりよ。『サーチキラー』!はっしゃーー!」
ズドンッ!ズドンッ!ズドンッ!
3発の真っ赤な砲弾が発射された!一直線に変態さんに向かっていくけど、変態さんは余裕で躱したわ。
「当たらないわよ〜!さあ、次はこちらの番ね!」
「ざんねんでした〜!もうあんたのまけかくていよ!」
「なんですって!?」
「うしろをみてみなさい!」
「うしろ···?なっ!?」
変態さんの後ろには真っ赤な砲弾が空中に浮いたまま待機していた!ただの砲弾だったらつまんないから、顔もあるのよ。怒りの顔だけどね!しかもさっきより一回り大きくなってるのよ!
「ちっ!なっ!?追いかけてくる!?」
「そうよ。あんたにあたるまでどこまでもおいかけるわよ〜!さらにじかんがたてばたつほどばくはつのいりょくがあがるのよ〜!」
「くそっ!」
変態さんは鞭で真っ赤な砲弾を攻撃するも弾かれたわ。しかも攻撃してさらに大きくなっちゃった!
「クソガキがぁ〜!オレを舐めんなよーー!!」
変態さんがキレたわね。こっちに向かって来たわ。あたしに当てて逃げようって魂胆ね?そんな事に対策してないわけないじゃないのよ?
変態さんが砲台を回り込もうとすると、砲台は変態さんのいる方向に向きを変えて···、
「はっしゃ〜!」
「なに!?」
ズドンッ!!
さらにサーチキラーを発射!これで逃げ場はないわよ!さらに続けてあたしは撃ちまくった!
ズドンッ!ズドンッ!ズドンッ!
「あははは〜!ずっとあたしのターンよ〜!」
撃ち出した砲弾は7発。うち3発はもう爆発寸前ね!
ドカーーーン!!ドカーーーン!!ドカーーーン!!
「ぎゃーー!?」
変態さんの悲鳴が聞こえてるわね。どうなったかしら?
煙が晴れると、変態さんはまっ黒焦げで倒れていたわね。審判さんが近寄ろうとしてるけど、まだ真っ赤な砲弾が浮いてるからうかつに近づけないでいるわね。
あたしは魔法を解除して砲弾を消し去った。ほっと安心した審判さんが変態さんに近づいて···、
「気絶確認!命に別状ないので、試合はここまで!」
「ありがとうございました〜」
これで全員1回戦突破ね!リングから降りるとみんなが祝福してくれたわ!
「ルメねえ!すっげーたいほうだったな!」
「すっご~いまほうだったね〜!」
「あんなのにおいかけられるのもこわいよなぁ〜」
「みんな、ありがとね〜!」
「ふぅ〜。ルメちゃんも勝ち残ったね」
「まー、あの攻撃は簡単にはかわせないからなー」
「しっかし変わった魔法だなぁ〜。あんな魔法は見たことないぜ」
「まぁ、レオの言う通りだよね。ボクの世界のゲームをイメージしてたからね。創作魔法だからある程度は何でもありになってしまうけど···」
「それを実現できるだけのイメージ力と魔力量がないとできないけどな。改めてとんでもねえわ」
「じゃあ、みんなを迎えに行こうか!王様、今日はありがとうございました」
「なんの!明日以降の試合も楽しみにしておるぞ。そうそう、この国を出る時は悪いが城に寄ってもらえるか?」
「えっ?まぁいいですけど···」
「なに、そんなに手間を取らせる事ではないのだがな。よろしく頼む。今日はこちらのわがままに付き合ってもらってありがとう。いい試合だったとお孫さんにつたえておいてくれ」
「わかりました。それでは失礼いたします」
こうしてボクたちは貴賓室を後にして、孫たちを迎えに行ったんだ。
「みんな、お疲れ様!さあ、帰ろうか!」
「「「「はーい!!」」」」
こうして本戦1日目は全員勝利という形で終了した。明日からはもっと厳しい試合になるだろうね。今日の夕食もバイキングにしてたっぷり食べてもらったよ。
さて、どこまで勝ち残れるのかな?
「もちろん優勝よ!」
「ナナ···、自分でそれ言うの?リオがそれ言った時に注意したじゃん···」
「あっ···。そ、そうだったわね···」
賞金の事を考えたな···。だんだん考えてることがリオに似てきてるよ?いがみ合っても夫婦なんだなぁ~。
ルメちゃんは今回も某配管工のゲームから魔法を創りだして攻撃しましたね〜。爆発仕様にしたのはアトラちゃんの特撮ものの影響でしょう。ルメちゃんらしい派手な魔法になりましたよ。
さて次回予告ですが、翌日の控室に行くと気になっていた黒竜と緑竜のドラゴン族から声をかけられました。
そしてフーちゃんの試合をお届けしますよ〜!今回はどんな展開になるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!