2-12.モンド、強敵に出会う!
「アトラちゃんはギリギリだったなぁ〜」
「相手が多少手を抜いてたみたいだからなー。おそらくまともにやってたら負けてたなー」
「まぁ、まだちびっ子なんだ。強敵相手によくやったとオレは思うぜ!」
「リオとレオの言う通りだね。辛くも勝ったってとこかな?」
「···それでも勝ちは勝ち」
「そうよ!運も実力のうちって言うしね〜」
「じゃー、オレがカジノで負けまくってるのってー?」
「アンタの実力に決まってるじゃない。戦い以外の実力はあれだって事よ!」
「くっそー!どうやったら(カジノで)強くなれるんだー!?」
「リオのその性格だとムリじゃない···?感情が思いっきり顔に出ちゃうから駆け引きできないんだよ」
「どうしたらできるんだー?」
「···ムリダナ」
「バッサリ斬られたぞーー!?」
「はいはい、アキもアンタもそこまでにしときなさい。お昼食べに行くわよ〜!」
ナナが話を断ち切って昼食に誘ったよ。ボクたちが行こうとすると、王様からこんな提案があったよ。
「おお、昼食ならここで食べるといい。お孫さんたちもここに呼んできなさい。へーちゃん!昼食準備よろしく〜!」
「へいへい。ホント、人使い荒いなぁ〜」
「王様なんだから人を使って当然だろ!?」
「ははは···。なんでこの世界の王族はどこも庶民的なんだ?」
まぁ、断るのも失礼だろうから御相伴に預かるか。
孫たちを迎えにボクとハルは選手専用出入口で待っていると、4人が出てきたよ。
「みんなお疲れさま。今日のお昼なんだけどさ、この国の王様が一緒に食事したいって誘われたんだ。今から案内するよ」
「えっ!?じーちゃん、なんでそんなことに!?」
「みんなが控室に向かったあとに声をかけられてね。ちょっとお願い事されちゃったんだ。ついでに王様と一緒にみんなの試合を観ていたんだよ」
「じーじってすっご〜いね〜!たくさんのおうさまとしりあってる〜!」
「フーちゃん···。それはボクからそうしたいわけじゃないんだけどなぁ〜。とりあえず行こうか!ついておいで!」
「「「「はーーい!!」」」」
ボクが貴賓室に戻ると、たくさんの料理が並べられてたよ!どれもおいしそうだよ〜!
「おおっ!かわいいちびっ子選手が来たな。先ほどはいい試合を見せてもらったよ。しっかり食べて昼からの試合をがんばってくれよ」
「「「「はいっ!ありがとうございます!」」」」
「はっはっは!しっかりしつけができてるようだ!遠慮なく食べてくれ!」
ホントは主催者と選手が一緒ってのはマズいとは思うんだけどね。まぁ、王様からのお願いを断るのも失礼なことだし、正々堂々と戦えばいいか。
「「「「ごちそうさまでしたーー!!」」」」
「うむ!いい食べっぷりだったな」
「これできあいいれてしあいできるぜ〜!」
「あたしも〜!」
「はっはっは!そうかそうか!いい試合を期待しているぞ!」
王様も孫たちの食べっぷりに満足のようだね。控室には入口までボクとハルで連れて行ったよ。
「じゃあ、モンドくん、ルメちゃん。がんばってね!」
「「はいっ!!」」
さーて!お昼もいっぱい食べたし、食後の運動といこうぜ!
リングに上がると、魔法の杖を持ったお姉ちゃんだ。魔法使い相手は初めてだなぁ〜。まぁ、おれも多少は使えるからどうって事もないと思うけど、油断は禁物だぜ!
「よろしくおねがいするぜ!」
「ええ、こちらこそ手加減できないけど許してね」
「そうこなくっちゃ!」
「それでは第11試合、始め!!」
本来、魔法は詠唱や溜めとかの準備が必要だから、先手必勝なんだけどな。開始早々に突っ込んで魔法が完成する前に攻撃が王道だ。
でもせっかくだし、どんな魔法が来るか楽しみだから、先手は譲るぜ!
「あら?先手必勝で突っ込んでこないのね?」
「まほうつかいとしあいなんてはじめてだからな!どんなまほうかきになってるんだよ」
「そう、面白い子ね。なら、思う存分味わってもらうわよ!」
魔法が完成したようだな!どんな魔法だ!?
お姉ちゃんは完成させた魔法を真上に解き放った!次の瞬間!魔法の剣が無数現れて···、
「···千本刃、いけ!」
魔法の剣が一気におれに襲いかかってきた!あらゆる方向からおれに向かってくる!防御は···、悪手だな!打って出るぞ!
「うぉおおおーーー!!」
おれは思いっきり走り出した!向かってくる剣は叩き切ってやる!
「ひぎ、もみじ、嵐!!」
紅葉は敵の懐に入って周囲を強烈に一閃する技だ!一閃したあとに返す剣でもう一撃加えるのがおれオリジナル秘技、『紅葉・嵐』だ!これで前方の剣を薙ぎ払うことに成功したぞ!
次はおれを追っかけてくる剣だな!こいつはこれでどうだ!
「ひぎ、げんげつざん、二重!いっけぇーー!!」
斬撃を飛ばす弦月斬、これも一閃して斬撃を飛ばした後に返す剣でもう1回斬撃を飛ばす!じーちゃんも使う奥の手だぜ!
ほぼ無力化できたが、それでも数十本残ってるな···。もう一度弦月斬を繰り出そうとした時!
ドーーン!!
「ぐわっ!?」
おれの背中で爆発が起きた!吹き飛ばされてしまい、転がされてしまった!そして、仰向けになった瞬間!
ドスドスドスッ!!!
「がぁああーーー!!」
対処しきれなかった光の剣がおれの体と腕と足に突き刺さった!!ち、致命傷は避けられたが···。
「やるじゃないの。でも、千本刃だけに集中してるとこういう事になるわけ。この剣は試合だから切れ味はほとんどないし、食い込んでるだけだけど···、それなりの激しい痛みはあるからね〜」
「ぐぅううーー、くそっ!!うごけねえ!!」
「ムダよ。痺れ効果を付与してるから、激痛を伴いながら身動きできないわよ。降参してくれたら解除するわ。ムリせずに降参なさい」
「ぐぅっ!!まだだ!まだおわってなーーい!!」
「身動き一つできないのにどうするっていうのかしら?正直なところ、この激痛に耐えるなんてとんでもないわね···。どんな鍛え方してるのかしら?そろそろ降参しないと気絶するわよ?」
···しまったなぁ〜。すっごい魔法を見せられて、それが囮だったなんて思わなかったぜ···。対処することに精一杯で、お姉ちゃんの事を忘れてたわ。
油断はしてないぞ!相手の魔法にどう対処するか?も修行のうちだからな!今回はお姉ちゃんの方が上手だったってだけさ。
パパも言っていた。世の中、強いヤツはたくさんいる!もちろん、トランスすればたいていは勝てるだろう。
けれども、その状態ですら負かされてしまう術が世の中にはあるんだぞってな。こういう相手がその術のひとつなんだろうなぁ〜。
でも!おれは諦めない!こうやって意識があるんだぞ!まだ···、おれはやれる!!
ちょっと賭けになっちまうが、今こそとっておきのこの技、見せてやるぜ!
「ぐぅううーーー!!」
「何かしようとしてるわね···?こんな状況で諦めないなんて···。いいわ。トドメさして楽にしてあげるわ」
よし!釣れた!あとはおれに···、近づいてこい!
お姉ちゃんがどんどん近づいて来た!もう少し···、もう少し!
そして、お姉ちゃんの影が···、おれの右手にかかった!今だ!!
「あんさつじゅつ、かげぬい」
「なっ!?これは!?動けない!!」
「へ、ヘヘっ!かけは···、おれのかちだな!」
おれが立ち上がると、お姉ちゃんは驚いてたぜ!
「な、なぜ!?動けるの!?」
「これはしんたいきょうかまほうのおうようだぜ。まりょくでからだをそうさしてるんだ!」
「そんな身体強化魔法、聞いたことないわよ!?魔力で強引に体を操作だなんて!!」
「あ〜、リオじーちゃんのおししょうさんのまほうつかいさんもこれでがくえんでこうぎしてるぞ。おれのいとこもつかえるしな!」
「まるでマリオネットね···。そんな講師が学園で教えてるなんて恐ろしいわね···。それで?このあとどうするのかしら?」
「こうさんしなさそうだからきぜつしてもらうぜ。···スタンクラッシュ」
バチーーーーン!!
「ぎゃっ!!············」
おれはじーちゃん直伝の雷魔法で相手を感電させて気絶させた。すると、全身の痛みが消えたぜ···。すっげー魔法だな!パパも言ってたな!『今日もひとつ、いい勉強になった!』ってな!まさにこの事なんだなぁ〜!
「それまで!!」
「ありがとうございました!!」
強敵と出会えたぜ!負けると思ってたらダメだったな!パパが言ってたようにどうやって勝つか?を考えた結果が出せたぞ!
モンドくんが言った通り、純粋な力では真のトランスに目覚めている神狼族には勝つことはできませんが、それでも負かされてしまう手段はたくさんあります。
フユくんとナツちゃんはその事を理解していたので、モンドくんとフーちゃんにも油断しないように言いつけてありました。
今回はまさにその通りになってしまい、モンドくんはピンチに陥ってしまいましたね。
ですが、手札は多いに越したことはない!という事で、切り抜ける事に成功しました。
年齢が若いとどうしても足りないのが『経験』と『応用力』です。経験しないと応用なんて効かないんですよね〜。いろんな手札を持っている今、モンドくんは『考えて戦う』という事の大事さを知りました。もっと強くなるよ!
さて次回予告ですが、次はルメちゃんの出番です。どんなトンデモ魔法が飛び出すのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




