8-12.サバール王国とピムエム皇国の対談
このお話で第8章は完結ですので、朝に投稿しています。
「実はな···。マクス帝国が我が国に属国になるよう要求をしてきたのだよ···」
いつかはこうなるってわかってたよ。でも、想定よりも速すぎる!
「どういった理由で要求なんてしたのでしょうか?」
「理由はなかったな。向こうは帝王だから、国王の上の存在との解釈なんだろう。テスラ共和国にも同様の内容で要求をしたようだ。回答のいかんによっては武力制圧も辞さないともな」
「そんな···。武力で属国にしようとするなんて···」
「おそらくボルタニア大陸に攻めるために各国から戦力をかき集めるためだろう。無論、我が国は従うつもりはないがね」
「しかしそれでは···」
「うむ、おそらく戦争になるだろう。できる限り外交によって時間は稼ぐつもりだが、このままだと兵士に犠牲が出るのは避けられまい。準備が追いついておらぬからまだ国民には知らせてはおらぬが、来週中には避難を開始する予定ではある。ピムエム皇国にも使者を出して、避難民の受け入れを要請するつもりだ」
「なら、今要請しましょう。ボクがパス皇帝とつなぎますので」
「···は?」
ビックリするだろうなぁ〜。ボクがちーむッス!でパスさんにつなぐと、すぐにパスさんが出たよ。
『あら、アキくん!どうしたのかしら?って!?そこどこよ!?』
「パスさん!今サバール王国の国王様と面会してるんですけど、大変な事になっちゃったんです!」
『えっ!?ちょ、ちょっと!?外交用の服装じゃないわよ!いきなり過ぎよ〜!こういう大事な場面はちゃんと事前にアポ取ってよ〜!すぐに準備するから待ってて!!』
「あ〜。すいません、パスさん。ちょっと強引だったかな···?まぁ、これで対談できますよ!王様!···王様?」
「アキさん···。こ、これは!?」
あっ!?やっちまったかな···?ちーむッス!の説明してなかったわ···。
パスさんが着替えてる間に、ボクは詳しく説明しておいたよ。
「とんでもない魔法があるのだなぁ〜」
「あはは···。ボクの関係者限定ですけどね」
そんな話をしていたら、パスさんの準備が整ったようだ。モニターにはパスさんとサキちゃんが···、サキちゃん?すごいきれいな格好なんだけど?
『お待たせしましたわ。こうしてお会いするのは初めてですわね。私がピムエム皇国皇帝のパスです』
『次期皇帝予定のサキです』
うわぁ〜···。よそ行きのパスさんとサキちゃんって、全然雰囲気違うわ···。さすが皇帝なだけあるわ···。
それにサキちゃん?次期皇帝って···?もしかして、そろそろ継承するの!?
「お会いできて光栄です。私はサバール王国の国王、サバール15世です」
こうして大陸を挟んでの対談が実現したんだ。避難民の受け入れ体制の整備と船の手配、さらには救援物資の提供と武器の輸送···。
可能な限りの人道支援を行えるよう、パスさんは急ピッチで行うと約束したよ。
もちろん、ボクもある程度は手伝う予定だ。今回は軍隊による侵略だから、ボクたちが前面に出るわけにはいかない。後方支援程度はやるけどね。
「感謝いたします、パス皇帝」
『気になさらずに。今回の事態、ヘタすれば戦火はボルタニア大陸にまで及びます。微力ながら支援はさせていただきますよ。というわけで、アキくん?ちょっとだけ付き合ってくれない?』
「そう来ると思ってましたよ。ある程度はお手伝いしますから」
『ありがとね〜!さっそく準備を始めるわ!これで公務をサボる口実ができたわね〜!』
「パスさん···。王様の前なんですけど?」
『はっ!?···ゴ、ゴホン!とにかく!マクス帝国の暴虐はなんとしても食い止めないといけませんね。今後も情報交換をお願いいたしますね。それでは失礼』
会談は20分ぐらいで終わったよ。パスさんが即断即決で決めちゃうから、あっという間に決まっちゃったしね。
「···なんというか、力強い皇帝陛下ですなぁ〜」
「ははは···。周囲の人たちの頑張りもあって、発展速度が速いですけどね。ボクたちもある程度まで協力します。今後もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。何かあれば気兼ねなく申し出てくれ」
こうして、王様との会談を終えてホテルに戻ってきたよ。
「さてと···。またやっかいな事に関わっちゃったなぁ〜」
「アキー?これは仕方ないぞー。帝王は元からアキを狙ってたし、世界征服を考えてたんだからなー」
「でもアキじーちゃん?巨悪の帝国にあたいたちは直接戦わないんだな?」
「アトラちゃんが戦いたい気持ちはわかるんだけどね。ヘタに首突っ込んだら、今度はアトラちゃんが狙われちゃうからね。相手の兵士さんも嫌々戦わされてるから、そんな人相手は精神的にもつらいよ?」
「でも、一番悪いのはその帝王だろ?アキじーちゃんの転移で乗り込んですぐに降伏ってできないのか?」
「カークくん、転移はそこまで高機能じゃないからね。あくまで指定した地点付近への転移だからね。地図アプリの縮尺にも限度あるからなぁ〜」
「頭を叩くのは作戦上、最も犠牲の出ない方法だけどなぁ〜。そううまくはいかねえよな」
「モンドくんの言う通り。だから、ここはパスさんや王様の対応に期待しようね」
「じーじ?フーたちは何したらいいの〜?」
「ボクたちは後方支援だよ。回復魔法でけが人を治したり、物資運搬も大事な仕事なんだ。避難所の炊き出しなんかも喜ばれるよ」
「じゃあ、フーは炊き出しかな〜?パパとママも一緒ならたっくさん対応できるよ〜!」
「その時はお願いね。とりあえず、今回の旅行はここまで!ということにして、出国してからアクロに帰ろうか!」
「ちょっと待ったーー!アキー!もう1泊するぞー!」
「ナナ?リオがああ言ってるけど、どうする?」
「帰るわよ」
「そんなーーー!?」
ごねるリオをほっといて、ボクたちは出国して、人目につかない場所にやって来た。ボクが変身しないと、超長距離転移できないからね!
「リオ!いくよ〜!」
「おう···、せーの」
「「インテグレーション!」」
リオはいやいやだったけど、変身してすぐにアクロへ転移した。もうこっちの時間は午後8時。真っ暗なリオの訓練場に着いたよ。
そして帰宅したよ。ほぼ1カ月ぶりだね〜!
「おっ!?お帰り〜!おみやげあるか!?」
「ただいま、コピー。ちょっとリビングでゆっくりさせてよ。後で渡すからさ」
「よっしゃ!ほな片付けしとくわ〜!」
ボクはまず温泉の準備をして、みんなはリビングでくつろいでいてもらったよ。
ボクも温泉の準備が終わるまで、リビングでお茶飲みながらコピーから自宅警備の簡単な報告を受けたよ。日誌は毎日見てたからね。
詳しくは明日確認するけど···、防水塗装や庭整備それに玄関に落とし穴···。よくここまでやったよ。
それにデスクトップPCがついに我が家に!!これで学園での講義資料作成がはかどるぞ〜!
「とりあえずお疲れ様。ゆっくりしてね」
「めっちゃゆっくりさせてもろたけどな。まぁ、また任せてや〜!」
さて···、これから忙しくなりそうだなぁ〜。
第8章 完
『パパたちはここから戦争を食い止めるために動き出すんだよね。おれもナツも手伝うことになるんだよ』
ついにマクス帝国が戦争に向けて動き始めました!
さすがにいきなり宣戦布告ってマズいので、まずは属国になるよう要求し、受け入れられないとの回答を口実に攻めるというわけですね。
対するサバール王国についてはアキくんのおかげで軍事同盟とサミットが急遽開催されましたね~!
これ、現在ではリモート会議なんですけども、コロナ禍以前では考えられない話でしたよね~。今では在宅勤務も普通になってきましたね。さすがにエーレタニアでは普及しないと思いますが···。
これにて第8章は完結しましたので、夜にネタバレ集を投稿します。お楽しみに~!




