8-1.そろそろ帰ろうか!
本日より第8章全12話が始まります。これからアキくんたちは家に帰りますよ〜!
グロー歴525年8月24日 曇
おはよう!今日もめっちゃいいマットレスのおかげでぐっすり眠れたよ〜!
2泊目となると、モンドくんも観念したのか、何も言わずにフーちゃんと寝たよ。ところが···、
「ちょっとーー!?フーー!!なんでくっついてるんだよーー!?」
「···ん~~?あ〜···、モンドくん〜。あったか〜〜い···」
「寝ぼけてるのかよ!?身体強化解けよ!離せーー!!」
「ん~~···、もうちょっとこのままでいさせて〜」
どうもフーちゃんがモンドくんにくっついて寝ちゃったようだね。しかも、寝ながら身体強化まで使ってたよ···。ボクもできないのに···。
深夜にモンドくんが気づいて大声出してたけど、結局は諦めて寝たようだよ。ちゃんといつもの時間に起きて早朝トレーニングには出かけてたよ。
「フー!もう抱きつくのはやめてくれ!」
「え〜〜?いいじゃないの〜?フーとモンドくんは従兄妹なんだし。じーじとばーばだって、ママとパパだって抱いて寝てるでしょ〜?」
「いや···、だ、だからっていいってわけじゃないぞ!?」
「···モンドくんはフーが嫌いなの?」
「そ!?そんな事ねえよ!」
「じゃあ、今日も一緒に寝ようね〜!」
「どうしてそうなるんだ!?」
「仲がいいから〜!えへへ〜」
「···はぁ~。おれ、どうしたらいいんだ?」
ははは!今回はフーちゃんの勝ちだね。
さて、今日ここを出発するよ。もうちょっと長居したいけど、それはまた次の機会かな?
せっかく別荘もらったし、ここまで転移の魔力をどうするか?を考えて置こう。不足ならフユとナツの魔力も使わせてもらうのもありだね。家族全員で魔力共有してるし。
そう思ってたら、レオからこんな提案があったよ。
「アキ。転移の魔力なら魔力共有もいいけど、その時は誰かトランスしてもらえ。龍脈の魔力も使えるぞ」
「···え?そんな事に龍脈の魔力を使っていいの?」
「何言ってるんだ?この世界の魔力は龍脈から供給されてるんだぞ?この程度を使う分には問題ないさ」
「そうなんだ···。あれ?そういえばそれだと龍脈は弱体化しないの?」
「それは問題ない。太陽のエネルギーを受けてこの星の龍脈に魔力を供給してるからな。まぁ、星を壊すレベルまで使い込むとマズいけどな」
「さすがにそれは某龍の玉を探すアニメじゃあるまいし···」
「いや、トランスして全力で撃てばできるぞ?やったら自分も死んじまうけどな」
「できるのか···。聞かなかったことにしとこう···」
聞いてはいけないことを聞いてしまった気分になっちゃった···。ま、まぁ!気を取り直そう!
別荘の中を簡単に掃除してからカギをかけて、ボクたちはトランさんがいると聞いてる役所にやって来た。中に入ったらすぐに案内されたよ。
「よう!短い滞在だったが、のんびりできたか?」
「ええ。こんなに快適に過ごせるとは思いませんでしたよ」
「それを聞いて嬉しいぜ!そうそう、アキさんはこの世界の神とも知り合いって言ってたな?人になってるのか?」
「ええ。ボクが住んでる町にいますよ。人なのに神様に再就職して6つの世界をリモートでリフォーム中ですよ。出身世界も一緒ですし」
「そいつはまた無茶やってやがるなぁ~。じゃあ、この手紙をその元神に渡してくれないか?」
「いいですよ。預かりますね」
「あとはマットレスが欲しいんだったな。隣の部屋に用意してるから、好きなだけ持って帰ってくれ。無限収納シリーズは持ってるんだろ?」
「ええ。ありがたくちょうだいしますね!」
「また気が向いたらいつでも来てくれよな!」
「はい。今回はありがとうございました!」
「礼を言うのはこっちだぜ!道中気をつけてな!」
こうして異世界の人々が作り上げたリゾート地、ヒステリシスをボクたちは出発した。
ここまでで出発して22日。今回の旅もそろそろ帰らないとね!まぁ、転移であっという間に帰るのもいいんだけど、まだ時間あるから高速飛行魔法でのんびり海岸線をぐるっと回るよ!
しかも帰りにはサバール王国に寄るのが一応決まってるんだ。リオがカジノやりたい!ってうるさいからね···。
ヒステリシスを飛び立って2時間。東側にずっとそびえ立っていた大山脈低くなりつつあった。どうやらウェーバー大陸の北端に近づいてきたようだね。だいぶ涼しい環境になってるようだ。
って、飛んでる最中は飛行魔法に付随する乗員保護魔法で空調完備だから、暑さ寒さは感じないんだけどね。植生を見てたら針葉樹が増えてきたからそうかな?っていう予測ではあるけどね。
ついに大山脈が途切れた。ここからは東に向きを変えて飛ぶことにしたんだ。ここらへんも人は住んでいないようだね。
いったん休憩してから再度飛んで1時間が経ったその時だった。
「アキー?山のところに集落があるぞー」
「どれどれ~?あっ!ホントだね。大陸最西端の集落になるんじゃないかな~?」
「寄ってみるかー?」
「そうだね。可能だったら泊まってみる?」
「そうだなー!」
···今考えたら、この選択は間違ってたと思うんだよ。この後、ボクの身に最大級のトラブルが降りかかってくるなんて思いもしてなかったんだよね···。
その集落は大山脈の中腹ぐらいにあった。もちろん雪が積もってるよ。雰囲気的にはハルが育ったブートの里を思い出してしまうね~。
集落の近くに着陸すると大騒ぎになってしまうだろうから、ボクたちはちょっと離れた場所に降り立った。そこから歩いてその集落に向かうことにしたんだ。
すると、集落から何人かがこっちに向かってきていた。
「···アキ。···武装してる」
「ハル、やっぱり警戒されちゃってるか···。話せばわかるかな?」
「念のためみんなは戦闘態勢にいつでも入れるよう心づもりはしとけー」
リオが注意をみんなにしていると、集落の人たちが見えてきた。先頭を歩いているのは···、少女だったよ。隊長さんかな?
「そこで止まれ!いったい何者だ!?」
「驚かせてしまい、申し訳ないです。ボクたちは旅をしてまして、偶然この集落を見かけたので寄ってみようと思ったんです」
「この隠れ里を見かけただと···?怪しすぎる!貴様ら、ここで始末してやる!」
「ちょ!?待って下さい!戦うつもりはないんですけど!?」
「貴様はそう言ってるが、そっちの子どもはやる気マンマンだが?とんでもない強さのようだから手加減しないぞ!」
···え?そう思って振り返ると!?孫たちはもう構えちゃっていた!?
「ちょっとーーー!?なんでそんなに好戦的なのさ!?」
「じーちゃん···。ごめん!この人たち、かなり強そうだから相手してみたいんだ!」
「じーじ!フーもちょっとだけやりあってみたいの~!」
「アキじーちゃん!こいつら、かなりできるぜ!おれも実力を試したくなった!」
「クーも。ほんきでやれそう」
「あたいもヒーロー修行中の身だ!強いヤツに会えて嬉しいぜ!」
「···だそうだ。ならば我々も相手するとしようか!」
あ~···、これは戦闘は避けられそうにないなぁ~。
前人未到の地から帰る最中に見つけた最西端の集落ですが、訪問しようとしたらめっちゃ警戒されてしまいましたね。
どこでもそうでしょうが、見知らぬ人たちがやって来たら警戒しちゃいますよね。日本だと特に田舎はそうです。特にインバウンドで見知らぬ人たちが入りやすくなってますし、外国人による犯罪も増えてますので、日本でも警戒心が普段以上に高まってるかもしれませんね。
旅で行くような場所でないところを訪問する時は、その場所のしきたりとかを把握して失礼のないようにしておけば変に警戒されないと思いますよ。これは海外でも同様です。
さて次回予告ですが、集落の人たちと戦闘に発展してしまいます!そしてアキくんは少女と対戦するのですが、ここで思わぬハプニングが発生し、ハルちゃんが大激怒してしまいます!何が起こったのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




