7-15.リオ、生きながら永眠しかける!?
グロー歴525年8月22日 晴れ
おはよう!昨日はとてもゆっくりとできたよ。ベッドの寝心地も良かったからね〜。この適度な高反発マットレス、買えるなら買って帰りたいんだけどなぁ〜。お金使えないだろうけどね。
さて今日はこの街···、というか異世界の人の長との面会だね。どんな人かわからないけど、いい関係になれたらいいんだけどね。
さて、朝食を作ろうか!って言っても昨日の夜の余りだけどさ。
「じーちゃん!おはよ〜!」
「じーじ!おっはよ~!」
「おはよう、モンドくん、フーちゃん。今日も朝練やる?」
「もちろんだぜ!この屋敷って広いから走りやすいしな!」
「じゃあ、気をつけてね」
モンドくんとフーちゃんは仲良く走り込みに出かけた。そのあとすぐにカークくん、クーちゃん、アトラちゃんが起きてきたよ。
「アキじーちゃん!おはよう!昨日は気持ちよく寝れたぜ〜」
「おはよ、アキじーじ。クーもきょうはねおきがきもちいい」
「アキじーちゃん!おはよ〜!モンドたちはもう行ったのか?」
「おはよう、みんな。モンドくんとフーちゃんはさっき出ていったよ。まぁ、屋敷の庭でやってるから、慌てなくても大丈夫だよ」
3人も元気よく出ていった。ちなみにハルはシャワー浴びてるよ。レオはモンドくんたちの朝練に付き合ってくれてる。
さて、残りはリオとナナだね。···珍しくナナが起きてこないなぁ〜。なにかあったのかな?
そう思ってボクはリオとナナの寝室へ行って、ドアをノックした。反応ないな···。
まぁ、いつもノックして反応なかったら遠慮なく入ってるから、今日もそうすると···?
「すやすや···」
二人ともフツーに寝ていた···。
いや!これは緊急事態だ!!あのリオが寝相良く寝てるなんてありえない!!
しかもナナまでお寝坊さんなんてさらにおかしすぎる!リオのお寝坊がうつされたのか!?
ボクは急いでナナを先に起こしにかかった!
「ナナ!朝だよ!起きてーー!」
「···ん~~?···え?アキ?どうしたのよ?」
「どうしたもなにも···、朝なのに起きてこないから心配して起こしに来たんだよ」
「···あ〜、そういう事ね。···って!?もうこんな時間!?」
「だからこれは緊急事態だと思ったんだよ···」
「悪かったわね···。まさかコイツと同じようにお寝坊しちゃうなんて···。このマットレスが気持ち良すぎたせいだわ!」
「···そういう事ね。気持ちよすぎて寝坊しちゃったんだ」
「ごめんね〜!って!?コイツ···、フツーに寝てるわね···」
「ちゃんとふとんかぶってるし、枕の位置もズレてない···。いびきもかいてないから、リオも気持ちよく寝ちゃったんだなぁ〜」
「アキ?起こすわよ。あたしがこんだけ爆睡したんだもの。コイツなら生きながら永眠しかねないわ!」
「さすがにそれは···。でも、リオだしなぁ〜。よし!起こすよ!」
しかし!どんな手を使ってもリオは起きなかった···。本当にこのまま起こさなかったら生きながら永眠しちゃうよ!
やむを得ず、水を貯めた桶に顔を突っ込ませてたよ···。ここまで来たらもはや拷問だよね···。みんなは絶対にやっちゃダメだからね!リオだから無事なんだから!···それもどうかと思うけどさ。
5分後···、リオはやっと起きた。···長くね?
「ブクブクブク···!?ブハーーー!?な、何事だー!?」
「おはよう、リオ。最終手段一歩手前の起こし方で起きてもらったよ」
「···えっ?あれー?なんだか目覚めがいいぞー?」
「寝ぼけもなしかぁ〜。これはマットレスがさらに欲しくなってきたぞ〜!」
「でもアキ?うちは買っちゃダメだわ。コイツを起こすのがさらに難しくなるわ!」
「ははは···。ボクも痛感したよ」
こうして全員起きたね。食堂へ行くと、孫たちの朝練は終わってたよ。
「お帰り。もう朝食できてるから、すぐに準備するね〜!」
朝食を食べ終えてルーフさんたちがやって来るのを待っていると···、屋敷の入口に人影が見えた。どうやら迎えに来てくれたようだね。
とりあえずボクだけ屋敷の門に向かった。すると、門の前には見たことのない人が1人だけいたんだ。···誰だ?
「おはようございます。どちら様でしょうか?」
「おはよう。キミがアキさんだね?」
「はい、そうですけど···?」
「俺はこの街の長のトランという。キミたちと面会したくて俺から出向かせてもらったよ」
なんと···、向こうから直々に来ちゃったよ···。大胆だなぁ〜。もしくは他の人に知られたくない話···?
まぁ、それはすぐに分かるか。ボクは門を開けてトランさんを中に入れた。
そして応接室に向かった。っていうか、トランさんがズンズン進んでいくんだよ。まぁ、ここはボクたちの屋敷じゃないから、勝手は向こうの方が熟知してるしね。
「さて、話は誰が相手してくれるのかな?」
「呼んできますので、少々お待ち下さいね」
ボクは食堂でのんびりしてたみんなを連れて応接室に入った。こっちは孫込みで10人もいるからちょっと狭いかな···。
「ほうほう···。キミたちがドラゴン族ね〜。こりゃ興味深いな···。今のようにヒューマンフォームにもなれる種族···。実に興味深い。この世界の神はなかなか愉快な者だったのだなぁ〜!」
「この世界の神を御存知なのですか?」
「いや、会ったことはないがウワサは聞いていたがね。『多くの恨みを買った世界のリフォームに挑む無謀な神』ってな」
なんだか詳しいじゃないか···。もしかして、この人も神なのか?ヘタに突っ込むと痛い目に遭いそうだからこちらから話さないけどね。
「さて、今回俺直々にこうして来た理由なんだが···、キミたちも神器を持ってるからその関係かと思ってね。こんな話はさすがに他の者には話せないからな」
···やっぱりバレて〜ら。これまでもボクたちが腕につけてる蓄魔の腕輪を見て気づかれてたしね。こればかりは仕方ないんだけどさ。
「アキー?いいのかー?」
「こりゃバレてるっぽいしね。ええ。ボクたちはある程度神に関係してますよ。ボクは16の世界をリフォームしてますし、こっちのレオはボクのナビです。リオはこの世界の神から整調者という職を任されて世界の調和をとってました」
「やはりな···。俺の判断は正しかったということか。アンタは神なんだな?」
「一応この世界の住人ですけどね。副業で神様をさせられてますよ」
「そういう事か···。いや、もしかしたら別の世界の神からいちゃもん言いに来たのか?と勘ぐってしまったんだ」
「ボクとしてはこの世界の神様を知ってますけど、乗っ取ったりとかしない限りは何も言わないですよ?そもそもこのエーレタニアは神の手を離れてますし」
「そのようだな。しかも最近だしな」
「失礼ですが、あなたも神なんですね?」
「失礼じゃないさ。確かに俺もこの街の連中がいる世界の神だね」
「バカンスに来てるんですか?」
「その通り!」
おいおい···、言い切っちゃったよ。
「神界といっても何にもねえからな。こうして自分の世界以外でバカンスするために無人のこの地をリゾート地にしたのさ。結構お気に入りだぜ?」
侵略する気はなさそうだね。でも、それでも不可解だよね?ついでに聞いておくか!
「ルーフさんによると、この街は世界転移装置が今でも稼働していて、自由に行き来できるということらしいですけど、昔にエーレタニアへ侵略に来たのですか?」
「当時はエーレタニアって名前じゃなかったが、その通りだ」
「やっぱり···。でもなんで侵略に来たんですか?」
「アキさんはこの世界の神から話は聞いてないのか?」
「えっ?どういうことです?」
「この世界の元の神に俺の世界は一度滅ぼされたんだよ」
「なっ!?」
「そして力を蓄えて復讐にやって来たら、今度はこっちの世界が滅んでたんだよ。別の世界でその神はバラバラにされたらしくてな」
「うひゃ~···。バラバラって···」
「それを知って、なんか復讐が意味なくなっちまってなぁ〜。復讐だけ考えて世界作りをしてて心が疲弊してたから、開き直ってこの一帯をリゾート地にしてのんびり休養するか!って事で、こっちの世界の暦でかれこれ500年以上続いてるぞ」
これはとんでもない事を知っちゃったなぁ〜。
リオくんは快適なマットレスのおかげでこれまでになく熟睡してしまいました。まさに最終手段で起こしましたけどね。
作者はマットレスはかなりお高い製品を使用しています。10年前に国際線ファーストクラスをマイルでアメリカのシカゴオヘア空港から乗った時に使用されていたマットレスが最高に寝心地良かったので、帰ってからすぐにそれを買っちゃいました。睡眠は大事ですからね〜。その体験をリオくんにも味わってもらいました(笑)。
そして、なんと異世界の神様までバカンスに来てました。最初は復讐でしたが、復讐相手がいなくなってしまったので、気持ちを切り替えちゃったんですね。なかなかできない発想だと思いますよ。
さて次回予告ですが、先日の魔獣を呼び寄せ塔を破壊したお礼として、なんと別荘をもらってしまいます!せっかくもらったし···、ということでアキくんたちもバカンスを楽しみますよ〜!
それではお楽しみに〜!




