7-13.リオ、何者かに狙撃される!?
グロー歴525年8月21日 晴れ
おはよう!今日もいい天気になってくれたよ〜。
無人の砂浜で2泊キャンプ生活をしてのんびり過ごさせてもらったんだ。家でものんびりできるんだけど、こうしていつもと違う環境でのんびりもリラックス効果があるんだよ。『転地効果』って言うんだけどね。
これがあるからボクは旅行が好きなんだよね〜。ただ、このエーレタニアではトラブルに巻き込まれやすいけどさ。
さて、今日からはまた移動開始だ!海岸線に沿って飛んでるけど、ここからは西の方角へ飛んでいくよ〜!
2時間ほど飛んでると、前方に町のような建物が見え始めてきた。···あれ?ウェーバー大陸って、大山脈の西側には人が住んでないはずなんだけどなぁ〜。交流のない、完全独立した町なのかな?
その時だった!!
ヒュン!!
「うわーー!?なんだーー!?今撃たれたぞーー!?」
「リオ!急旋回しながら高度下げて!!」
「おうっ!」
なんと!?リオが何かで撃たれたよ!さらに狙われる可能性を考えて、ボクは引き返しつつも高度を下げるようにリオに指示した。
ナナ、カークくん、アトラちゃんもリオに続いて急旋回した。どこかに降りれそうなところは···、あった!
「リオ!左に川があるよ。ちょっと拓けてるから、そこに降りよう!」
「わかったぞー!」
ボクたちは河原に着陸した。リオにケガはないようだね。無事でよかったよ〜。
「リオ?撃ってきた場所はわかる?」
「いやー、いきなりだったからわからんぞー」
「どこらへんに当たりそうだった?」
「おなか付近だなー」
「ということは、ボクたちの死角から狙われたって事か···。そこそこ高度あったのに地上から命中寸前だなんて、とんでもない腕だなぁ〜」
元の世界でも地対空ミサイルは誘導付きだ。それすらなしで一撃だけで命中寸前ってだけでも驚く事だね。
「さて···、狙われたということはボクたちの後を追うだろうね。ここに降りたのも見られてるだろうから···。ちょっと移動しようか」
「そうだなー。逆に捕まえたいなー」
「捕まえるのは別として、理由ぐらいは聞きたいね」
ボクたちは川を渡って反対側の茂みに隠れた。河原は拓けてるから、狙撃されやすいしね。相手側は身を隠せるからこっちが不利に思えるよね?
でも、ボクもハルも気配察知できるからバレバレではあるんだけどね。
そして30分後、気配察知に反応があった!
4人組だね。まだ姿は見えないけど、どうやらこの先の町の人っぽいよ。
そしてさらに5分後、河原に4人組が姿を現した!!
持ってるのは···!?ライフル銃!?銃身が長いから狙撃用だね。
これは···、人が住んでないはずの場所にある町、そしてかなり発達した技術を持ってる···。なにかありそうだね。
そして身体強化で聴力を強化して、会話を聞いてみるか!
『おい?このへんに降りたよな?』
『間違いないわ。スコープで確認したし』
『久しぶりに街に大型獣接近の報を受けてやったのに、成果なしかぁ〜。こりゃ嫌味言われそうだなぁ〜』
『大物だったのに逃げられるとは、腕が落ちたな』
『ちゃんと当たったわよ!?まさか徹甲弾を受けてそのまま撃ち落とせないとは思わなかったわ···』
『一番強力な弾を撃ったのにか?とんでもねえもんがまた召喚されたな。とりあえず周辺を探すぞ!』
どうやらリオたちを町を襲撃する魔獣と勘違いしてたようだね。召喚なんて言葉を言ってたから、あの塔のことも知ってそうだね。
さて···、どうしようか?ボクたちがこのまま出ていって話が通用するとは思えないよなぁ〜。
「アキー?どうするー?」
「う〜ん···。このまま見つかったら撃たれそうなんだよなぁ〜。どうにかしてボクたちの話を聞いてもらいたいんだけどなぁ〜」
「じーじ!だったらリオじーじが竜モードになって話したらいいんじゃない〜?」
「え!?フーちゃん···、それは危ないって!」
「いや、フーの言い分もある意味いいと思うぞ?」
「レオ?」
「向こうの獲物はリオだ。そのリオが目の前に現れて、説得すれば向こうもわかるんじゃないか?」
「でも危険じゃない?」
「オレは別にいいぞー。そう簡単にはやられないからなー」
「う〜ん···。じゃあリオ?お願いできる?きっかけさえあればボクもサポートに入るよ」
「おう!任せとけー!」
ということで、リオはまた竜モードになって河原で寝そべってもらった。今回はナナのバフで防御力をさらに強化しておいたから、そんじょそこらの攻撃ではビクともしないぞ〜!
すると、向こうも気付いた!
「いたぞ!」
「コイツで間違いないか?」
「間違いないわ!こんなに大きいとは思わなかったわ···」
「どうする?キズなんてついてないから生きてると思うが···」
「ワナの可能性がある。ここで倒しておこう」
マズい!リオが攻撃されちゃう!そう思って飛び出そうとすると···、リオが起き上がってこう言った!
「えーーー!?オレ倒されるのかーー!?」
「「「「しゃ、しゃべったぁーー!?」」」」
4人組が驚いていたね···。ドラゴン族を見たことないっぽいね?
「なんだー、お前たちはー?もしかして、さっきオレを狙ったかー?」
「そ、そうよ!なんでキズ一つないのよ!?」
「そりゃー、オレはドラゴン族だからなー。あの程度だったら孫でもかすり傷程度だろうなー」
「とんでもねえヤツが現れやがったな···。何が目的だ?」
「目的ー?ただツレと一緒に旅してるだけだぞー」
「こんな辺境に?」
「飛べるからなー。そもそもオレたちはこの大陸の東側にあるボルタニア大陸から来たしなー」
「聞いたことないな···。ではあの山を越えてきたのか?」
「いやー?大きく南へ回って海岸線沿いに来たぞー」
「···どうする?コイツの言う事を信じるか?」
「ウソ言ってるようには見えないわ」
「俺たちと敵対の意思はなさそうだぜ?」
「街へ案内するか?でもこの大きさではなぁ···」
「おー!大きさなら人型にもなれるぞー!···これでどーだー!」
「「「「な、なんだってーー!?」」」」
「お前ら、ドラゴン族知らないのかー?」
「聞いたことないわよ!?」
「そうかー。じゃー、ツレが近くにいるから呼んでもいいかー?」
「あ、ああ···。構わないぞ」
「じゃー、ちょっと待ってろよー」
どうやら説得が成功したみたいだね。話がわかるようで良かったよ。
なんと、飛んでいるリオくんを見事に狙撃されました!しかし、そこはドラゴン族なので防御は非常に硬いんですよ。
空を飛んでいる物体に対して狙撃というのは非常に厳しいものがあります。距離感がつかみにくいこと、さらには風の影響を大きく受けやすいこと、さらには弾丸に働く重力の影響が無視できないという点などですね。ですので、今回のように1発で命中させたというのはとんでもない腕ですよ。
さて次回予告ですが、リオくんを狙った4人組はドラゴン族の事をまったく知りませんでした。さらには高精度の狙撃銃を持っていることと、『召喚』という言葉を使っていたことから、このエーレタニアの住人ではなさそうですね。いったい何者なんでしょうか?
それではお楽しみに~!




