7-9.深夜の襲撃
「たくさんいるぞー!?なんでこんなに出てきたんだー!?」
「リオ!それは後で!まずは片付けよう!」
「寝起きで戦うのはキツいぞ〜!!」
「モンドくん!フーはそこそこ慣れてるよ〜!強盗さんってなぜか夜に来るからね〜!キツかったら下がっていて〜!」
そりゃ日中はお客さん多いから襲えないからでしょ?ナツのお店はファンが多いから、そんな連中が来たらファンからも袋叩きされちゃうもんね。
「眠いから魔力がうまく回らねーー!!」
「ちからがうまくこめれない···」
「どぉりゃぁあーー!ヒーローは深夜でも活躍しなきゃならないんだぜ!修行の成果がここで役立ったぜ!」
「カーク、下がれ!オレの後ろから可能なら回復で援護してくれ!クーも下がれ!ムリするんじゃない!」
「じーちゃん!?悪い!」
「くやしい···」
カークくんは眠くてうまく魔法が使えてない状況だ。クーちゃんも普段の力が出せてない。
リオはすぐにカークくんとクーちゃんを後方に下げた。守りながら戦うのは不利というのは痛いほどリオは分かってるからね!
じゃあ、今回はボクが広域殲滅しようか!ボクの戦闘の出番が少なすぎたから、ここで挽回だ!主役はボクなんだしね!
「みんな!ボクが合図したら下がって!とっておきの殲滅魔法を使うから!」
「「「「了解!!」」」」
さて、今回使うのはボクオリジナルの魔法だ。某ロマンあふれるRPGの2作目のかっこいい技のアレンジ版だ!両手に魔力を圧縮させる。ここまではリオのドラゴンキャノンのまんまだけど、ここで雷属性を付与してから両腕を魔獣に向けて突き出した!
「全力全開!!いっけぇーー!!ライトニング・アルトロン!!」
ボクの両腕から雷の龍が撃ち出された!まるで生きてるかのように魔獣を追尾して飲み込んでいく!!飲み込まれた魔獣は龍が通り過ぎるとこんがり焼けてしまった。
···これ、解体したらこんがり焼けたお肉が出てくるのか?そこまで魔法は調整してないんだけど?初めて撃った魔法だから、どうなるか分かってなかったし···。
「すっげー魔法だったなー!」
「はあっ、はあっ···。『なりきり!伝説の神狼族セット』のおかげだよ···。ボクだけじゃこんな大規模魔法使えないもん···」
「そう考えたらすごいなー、その変装セットはー」
「ハルのおかげだよ···。そうだ!魔獣レーダーで状況確認しないと···。えっ!?これは···」
「どしたー?」
「どうもさっきの塔からたくさん魔獣が出てきてるよ···。こっちに向かってる」
「アキ。それが本当なら塔に何かあるのかもしれんぞ?」
「そうだね、レオ。でもここまで魔獣が来るには時間かかりそうだよ。朝までは大丈夫と思うよ」
「なるほどな···、わかった。じゃあ、オレが見張りをしておく。みんなは寝てくれ」
「レオ?大丈夫なの?」
「アキはもう忘れてるのか?オレの体は人形だぞ?睡眠は特に必要としてないから問題ないんだぜ?」
「でも···」
「これもアキのサポート業務のひとつだって。いいから寝てろ!」
「···わかった。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうね」
レオとはもう家族同然の付き合いになってきてたから、すっかり忘れてたよ。でも、だからといってムリさせるつもりはないけどね。
今日はお言葉に甘えさせてもらおう。明日は大変な1日になりそうだよ···。
そして朝になった···。
「ふわぁ〜···。まだ魔力が回復しきってないなぁ〜。おはよう、ハル」
「···おはよ。···今日は大変な日になりそうだね」
「そうだね···。じゃあ、朝食はしっかりとしたものにするよ。ちょっと待っててね!」
そう言ってボクがテントの外に出ると···!?
「おっ?起きたか。オレも暴れたから腹減ったぜ〜!」
「レオ···、おはよう···。コレナニ?」
「見た通りだが?倒した魔獣の山だ。まだ無限収納カバンに入れてないけどな。深夜にアキが倒した魔獣は収納してるぜ〜」
テントの外には倒された魔獣の山が2つできていた···。しかもボクが倒した分じゃなくて、レオが倒した分だってさ···。
「おぉ〜!?レオさんすげー!」
「フーもビックリだよ〜!」
「ははは!モンドとフーも龍脈の力を使わなくてもこれぐらい簡単にできるようになるぞ〜!しっかり実戦経験を積むんだぞ〜!」
「「はい!!」」
その後、ナナたちも起きてきたので、今日の早朝訓練は中止してボクとリオの無限収納カバンにレオが倒した魔獣をしまうことにしてもらったよ。ボクは朝食作りで忙しいからね。
無限収納カバンの収納内訳から見ると、深夜の襲撃では1857体、その後レオ1人で倒したのは473体と判明した。
···もろにスタンピードじゃんかよ!?これはあの塔を調べないといかんわ!
さて、朝食ができあがったのでみんなに食べてもらった。今日の朝食は『朝カレーもどき』だ!
「「「「うめぇ~〜!!」」」」
そうだろうそうだろう!今日は激戦になるだろうからね。しっかり食べてもらうためにカレーもどきにしたんだよ。
もちろん飯盒でお米炊きましたとも!ちょっと固めがカレーにはぴったりなんだよね。
ちなみに『もどき』としてるのは適当によくわからない香辛料をブレンドしたからだ···。
以前お試しで作ったら、思ったよりいい出来だったんで、スマホのメモに分量を残しておいたんだ。某ピストルなシェフの料理みたいにならなくてよかったわ〜!
ちなみにナツにもレシピは渡してお店でも提供してるそうだよ。テイクアウトでは人気No,1らしいけどね···。
「なんだかおいしいニオイがするぞー!?」
「リオ···。食欲で起きちゃったかぁ〜」
寝坊助のリオでもこのニオイは目覚ましに有効らしい。これが一番優しい起こし方になるのかなぁ〜?
ちなみにリオは7杯食べちゃって、余りすら食べ尽くしちゃった···。まぁ、片付いたらまた作るとしますかね。
「じゃあみんな!準備はいいかな〜?」
「「「「いいとも〜!」」」」
みんな、おなかいっぱいになったので元気いっぱいだ!この状態でスタートしないと厳しいだろうからね。
森の中の塔に向かおうとすると、深夜や早朝に襲ってきた魔獣によって獣道ができていた。塔までほぼ一直線なので迷う心配もないね。
「アキじーちゃん!塔まではおれが前に出るぜ!」
「クーも」
「カークくん、クーちゃん?いいのかい?」
「夜は眠くてうまく戦えなかったからな。今度こそはちゃんとするぜ!」
「いまのクーならボコボコにしてやれる」
「二人とも、気にしちゃダメだからね。じゃあ、塔までよろしくね!」
先頭はカークくんとクーちゃんが願い出た。慣れてない深夜の戦いで後れをとったのが気になってたようだね。
まだ子どもなんだから···、いや、やめておこう。これは自分が成長しようとしてるんだ。『甘えていいよ』って大人が言っちゃダメだね。成長を阻害するような事を言っちゃいけないね。
「へへっ!本調子ならこの程度、問題ないぜ!クー!大丈夫か!?」
「よゆう。まだいける」
「アトラ、モンド!クーを念のためフォローしてやってくれ!」
「いいぜ!クー!撃ち漏らしても気にするな!」
「こっちはおれたちに任せろ!」
塔に近づくにつれて魔獣の出没頻度と数が多くなってきていた。クーちゃんが撃ち漏らした魔獣はアトラちゃんとモンドくんがキッチリ仕留めてくれた。
ちなみにフーちゃんは偵察中だ。これもハルから『···やってみる』って言われて先行してるよ。
「ただいま〜!塔には2つ入口があって、その一つから魔獣が出てるよ〜。さっきその出口を潰しておいたから、しばらく時間稼げそうだよ〜」
「ありがとう、フーちゃん!」
「えへへ〜。どういたしまして!じーじ!」
こうしてボクたちは謎の塔にたどり着いたんだ。
さすがに寝てすぐに叩き起こされるとキツいですよね。作者も深夜呼び出しがしょっちゅうあった現場にいたこともありますが、勘弁してほしかったですよ。対応終わった時間が仕事始まりの時間になってそのままお仕事もあった時は『ふとんで寝たい!』って思いながら仕事してましたね。
さて次回予告ですが、スタンピードを発生させる塔を調査します。すると、古代遺跡のようで魔獣を勝手にたくさん呼び出してました!もちろん壊しますよ〜!
それではお楽しみに〜!




