7-4.今度は北に行ってみよう!
グロー歴525年8月14日 晴れ
おはよう!今日もいい天気になったね~!
昨日は浦島太郎をリアルに体験しかけてたんだよね~。玉手箱はワナじゃなかったけどね。ホント、伝説を捏造したエレさんにはあとでキツイお仕置きを実行するよ!とりあえず次回救援要請来たら、コピーアキに請求金額釣り上げるように言っておこう。
『よっしゃ!任せとき!最近物価上昇が激しくて利益率下がっとったからな!3割ほど値上げしとくわ!ついでにリボ払いの利息も上げといたろ!』
···おい?コピーアキ!こっちに出しゃばってくるんじゃない!おとなしく自宅警備してろよ!ってか、思いっきり値上げするんだな···。
思いっきり脱線してしまった···。さて!気を取り直して、今日からはどこに行こうかな~?
ウェーバー大陸の南半球側にやってきたはいいけど、ここら辺は前人未到の地で外界とは隔絶された世界なんだ。今のところ、現地民と触れ合ったのは世界樹の集落と海底都市かな?ほかにもたくさんあるんだろうね。
問題は次はどっち方面に向かうか?ってとこだ。とりあえず大陸のほぼ南端に近い場所までやってきてるんだよね。となると、次は北西方面ということになるんだよ。南から回り込めば、山越えをする必要はないから、このまま西海岸の海岸線上を北上すればいいってことだね。
「さて、今日からはこの海岸線に沿って北西方向へ進もうと思うけど、どうかな?」
「それでいいぞー。確かマクス帝国から行こうとしたら山があって通れないって話だったなー」
「うん。あの滅ばされた国から見ても、結構高かったからね~。雲の上まであったから飛ぶのも難しかったと思うよ?」
「···強敵がいればどこでもいい」
「ハルさん···。まぁ、世界樹の時も大暴れしてたし、ここら辺は前人未到の地だから危険性は比べ物にならないほど高いから大丈夫だと思うよ?」
「じーちゃん!おれにとっても武者修行の旅なんだ!ばーちゃんと同じ考えだぜ!」
「フーは変わった食材があったらいいよ~!」
「モンドくん、フーちゃん。わかったよ!じゃあ、そろそろ出発しようね~!」
というわけでリオたちに乗せてもらって通常飛行でゆっくりと海岸線沿いを北へ向けて飛び立った。
1時間後···。
前方の右側、つまり東側に山が見え始めてきた。ここから北東側はマクス帝国の支配地域ってとこかな?ボクたちは山の西側へ向けて飛んでるよ。
飛んで気づいたことがある。山脈の西側には今のところ、ホントに何にもないんだ。山が海に迫りすぎて、平地がほとんどないんだよね。崖でストーン!と海へ落ちてる感じかな?元の世界でいえば新潟県の糸魚川近くにある親不知ってところみたいな難所ばっかりなんだよね。そもそも道を作る事ができないんだよ。
そんな場所をボクたちは遊覧飛行のようにのんびりと飛んでいた。そしてさらに2時間が経ち···。
「アキー?ここらへんって降りれそうなところないよなー」
「そうだね~。本当に断崖絶壁続きだし、こりゃ誰も来れないよね~」
「でもそろそろ休憩したいぞー!どこか降りれそうな場所があったら教えてくれー」
「了解!···おっ!?リオ!もうちょっと先の右側に川が見える?あそこなら降りれそうかな?」
「どれどれー?おー、あそこだなー!降りれそうだぞー!」
ボクたちは川の河口付近にできた小さな砂浜に着陸した。小さな急流の川で大きな岩がごろごろしてるけどね。元の世界だとさっき言った親不知に近い糸魚川の姫川っぽいかな?
ここでボクたちは休憩がてら、昼食にしたよ。もちろん、バーベキューにしましたとも!こういう場所だったらバーベキューがいいよね~!
ボクが準備している間、みんなは釣り竿を持って釣りを楽しんでいた。「食のバリエーションを増やすぞぉ~!」っていうことでね。釣りで食糧確保も旅では大事だよ。
「よしっ!これ大きいなぁ~!釣りなんてやった事なかったけど、面白いわ!」
「クーもつれた。きれい」
「あたいはいつもは潜って獲ってるから、釣りってあんまりやらないんだよなぁ~。おっ!?引いてるぞ~!それ~!」
「なんでフーはそんなに釣れるんだよ!?おれにはかかってこないぞ!?」
「あはは~!モンドく~ん!慌てない~慌てない~!その気持ちが魚に伝わっちゃってるんだよ~!」
「ちくしょーー!ホントにフーはなんでもできるなーー!!」
「···オレもさっぱりだぞー」
「そういえばアキとアンタに初めて出会った時も釣りしてたわよね?あの時もアンタはダメダメだったわよね~?」
「ナナー!なんでそんな昔のこと覚えてんだー!?」
「ちょっと!?叫んだら魚が逃げるでしょ!?あぁ~!逃げられたー!?アンタ!なんてことしてくれんのよーー!!」
「···ん。···釣れた。···これ、食べれる?」
相変わらずリオは釣れないか···。昔からそうだったよね~。モンドくんも釣りは苦手だったか。フーちゃんは家の近くにシヴ湖があるから、普段から釣りしてるんじゃないかな?手つきが慣れてるしね。
カークくんとクーちゃんは初心者だけどかなり釣れてるね。アトラちゃんは家の周囲は海だから、潜って獲ってるのか~。
というわけで30分ほどで17匹釣れました!結構大漁だったね~!こちらはフーちゃんがきれいに捌いちゃったよ···。ナツがちょっとずつフーちゃんに教えてるようだね。もちろん全部食べれる魚だったよ。
昼食を終えて片付けをしてからこの後の事をみんなで話し合ったよ。
「今日はここで1泊しようか?かなりな難所ばかりだから、日没までに休めるところが確保できるかわからないしね」
「そうだなー。高速飛行魔法で一気に北上するのもアリだけどなー」
「さっきまで飛んでても、ここらへんは風がかなり強かったよね?気流の悪いところは危ないよ?」
「アキ?そんなに急ぐ旅じゃないんだから、今日はここで1泊でいいんじゃない?」
「そうだね、ナナ。じゃあ、今日はここをキャンプ地とする!!」
「「お〜〜!!」」
ということで、キャンプすることにしたので、モンドくんたちは再び釣りしに行っちゃったよ。どうもモンドくんとしてはフーちゃんに勝ちたいようだね。
ボクとハルは砂浜で一緒に沈む夕日をじ〜〜っと眺めていた。ハルに誘われたからだけど···、なんかアツアツのカップルに見えてしまうなぁ〜。もう熟年の夫婦ではあるけどね。
そして夜になり、小さなキャンプファイヤーを焚いて、ちょっとしたアウトドア気分を···、ってリアルにアウトドアだけどね。バーベキューしたりしてのんびりと過ごしたんだ。
その翌日、とんでもないトラブルに巻き込まれるとはまったく思ってなかったんだよね···。
グロー歴525年8月15日 晴れ
「···アキ、起きて」
「···ん〜〜?ハル···?どうしたの?」
「···囲まれてる」
「···え!?」
「···魔獣ではなさそう。···でも、警戒されてる」
早朝にハルがボクを叩き起こした!囲まれてる···?ここには人気がなかったのに!?
すぐに着替えてからボクはテントの外に顔を出すと、そこには···、
「貴様ら、何者だ!?なぜここにいる!?」
なんと!?翼を持つ獣人たちに囲まれていた!
今回来たところは地形上、歩いては来れない場所ですが、リオくんたちに乗ればこの問題も解決してしまいます。
まぁ、身体強化魔法で岩を飛び越えるとかで強引に来ることもできますが、一般的ではありません。
今回の場所は本文中にも明記しましたが、新潟県の西端にある親不知という場所が元ネタです。断崖絶壁の難所で、越えようとしても助けられず自分だけで精一杯というほどの難所ということで親不知という名前だそうです。
北陸自動車道も海の上に高架があるんですよ。景色は良いので、作者は好きなドライブコースですね。
他だと静岡県の興津〜由比も難所ですね〜。
さて次回予告ですが、ドラゴン族以外にも翼を持つ獣人がいました!敵対的でしたが、ドラゴン族をみたら態度が変わりました。何かあるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




