7-3.やっぱり玉手箱が出てきたぞ!?
『お楽しみいただけたようでなによりですじゃ。しかし···、そろそろ魔法も限界ではなかろうか?』
「あぁ~、そうですね。そろそろおいとまするか。みんな、酸素が尽きそうだから帰るよ〜!」
「「「「は〜い」」」」
スマホの時計を見たら、もう午後3時だったよ。海底には陽の光が入ってこないから、時間感覚が狂うわ。
潜ってかれこれ5時間。そろそろ限界だと思うんだよね。
さあ!玉手箱もらわずにサッと帰るぞ!と思ったら、そうは問屋が卸さなかった!!
『お帰りの際にこちらの箱を差し上げますじゃ』
「···えっ!?い、いや!そこまでしていただくわけにはいきませんよ!?って、大きさが違う箱が3つあるんですけど!?」
逃げ切れなかった!!テーブルの上には···、玉手箱っぽい黒いツヤがある立派な箱が用意されてしまった!!なんで3つもあるのさ!?
『あぁ~、これはですな···。ちょっとした海底都市にまつわる伝説を基にしたお遊びですじゃ。そちらから見て左から『松』、『竹』、『梅』と伝説で呼ばれてる内容の箱なんですじゃ。どれか1つをお持ち帰り下さい』
···その伝説って、エレさんがイタズラで作ったんやろ!?エーレタニアに『松竹梅』なんてないわ!!伝説作った犯人が丸わかりじゃ!!
ってか、なんで3つのうち1つ選ばされるんだよ!?玉手箱はロシアンルーレットとちゃうで!?
「···みんな?どうする」
「オレは竹ってやつがいいなー!1番大きいぞー!」
「あたしも竹ね!何が入ってるかしらね〜」
「おれは松ってのがいいな!箱がきれいだぜ···」
「クーはうめで」
「あたいは···、ちょっと遠慮して小さい梅にするぜ!」
「オレは松だな!」
「じゃあおれも松で!」
「フーは梅かな〜?」
「···竹」
···見事に3人ずつに分かれちゃった。
松:レオ、モンドくん、カークくん
竹:リオ、ナナ、ハル
梅:クーちゃん、アトラちゃん、フーちゃん
···って事は多数決だとボクに最終決定権があるって事じゃんか!?
マズいマズい!ここまで来ると『選択しない』は選べない!どうするよ!?
落ち着け〜、ボク!そうだ!ヒントをもらうか!少しでも玉手箱の中身がいいようにするぞ!
「あの〜、ハタさん?この箱って名前あるんです?」
『伝説の名の通り『玉手箱』ですじゃ!』
···うわぁ〜。伝説伝説って、次にエレさんに会ったら一発殴ろう!そもそもハズレ引いたら殴ることさえできなくなっちゃうけど···。
「箱の中身って、開けたら年寄りになったりするんですか?」
『はて···?そんなものはないはずじゃが···?』
ということはジジイにはならないと···。まぁ、もう孫いるからジジイはあってるけどさ。まだ30代だけどね!
「中身は害のないものなんですね?」
『恩人に害をなすものを渡すなんて失礼なことはしませんぞ!?』
「あぁ、ごめんなさい!ボクが知ってるお話で似たようなのがあったのでつい···」
『中身は言えませんし、地上まで開けることもできないものですが、ちゃんとしたものであることは間違いないですじゃ』
ここでは開けられない···。つまり液体物か気体のものだろう。しかもここで開けられないとすれば、おそらく液体物だ!
「それって、説明書みたいなものが入ってますか?」
『もちろんですじゃ。プレゼントの中身がわけ分からぬものであってはいけないしのぉ〜』
···よし!腹くくるぞ!ボクが出した選択は···!?
「では、『松』にします」
『おお!そうですか。ではどうぞお持ち帰り下さい』
···なんだろう?なんか選択が某格付けバラエティ番組に似てたような?···大丈夫だよね?まぁ、もう選択しちゃったし、いいや!『連載する価値なし』さえならなきゃこのお話は打ち切りで終わんないでしょ!
「お世話になりました。それでは帰りは魔法で帰りますね!さようなら〜!」
『えっ!?魔法···!?き、消えた···。すごいのぉ〜!』
海底都市から転移で一瞬にしてキャンプ地に戻ってきたよ。しかも、海底都市が地図アプリで表示されてるわ···。また行くことができるって事だね。時間制限付きだから観光できなかったんだよなぁ〜。
海王宮ってところも見ていないし···。まぁ、またの機会があれば行くとしますかね!
さて···、本当の恐怖はここからだ···。
「アキー?この箱、そろそろ開けないかー?」
そう、玉手箱『松』だよ···。
「リオ?これ、『開けない』って選択肢はない?」
「はー?プレゼントだろー?なんで開けないんだー?もらった意味ないだろー?」
「じーちゃん?そういえばこれもらう時、顔が真っ青だったけど何かあるのか?」
「じーじ?だいじょぶ〜?」
「モンドくん、フーちゃん···。実は伝説だとこの箱を開けると一気に年寄りになっちゃうってのがあってね···」
「···アキ。···だいじょぶ。···もしそうなるなら、私も一緒に開ける」
「そんな!?ハルを巻き込めないよ!?」
「···アキはズルい。···いつも一緒だよ?」
「ハル···。わかった。じゃあ、ボクとハルで開けるよ!みんなは一応下がっていて。煙が出たら、全速で逃げてね!」
「お、おう···。ってそんなにヤバかったなんてなー」
玉手箱にボクとハルで手をかけた。そして···、ゆっくりとひもを引いて開けると···!?
「···ん?これは···」
「···煙出なかったね。···これって何かの薬?」
中には薬っぽいビンが入っていたよ。結構な本数あるなぁ〜。
とりあえず浦島太郎の玉手箱ではなかったわけだ。···あとでキッチリとエレさんに『落とし前つけてやる!』と心に決めた瞬間だったよ。
さて、この薬の説明石が入っていた。なになに〜?
『魚人薬 これを1本飲めば1日海底都市に滞在できます!次回お越しの際はゆっくりしていってね!(飲用本数に制限はありませんが、別石に記載されている使用上の注意をよくお読みになって、用量・用法をお守りください)』
···そういう事ね。いわゆる、某皇帝VS山手線の英雄のRPGの人魚になれる薬だわ。回数制限なしなのはありがたいね。
今回はもういいかな?海底都市があるって事がわかっただけでも大収穫だよ。地上だけじゃなくて海底にも都市があるって事だからね!旅する範囲が一気に拡大したぞ〜!
やっぱり玉手箱が出てきました!しかも3つのうちから1つ選べ!という仕様でした。
この3つのうち1つ選ぶってのは元ネタあるんですけど、なんのネタだったのかがさっぱり思い出せないんですよ···。たしかお仕置きのシーンで『松竹梅の3コース、いずれかを選ぶざます!』ってくじらさんが言ってたように思うんですけど、ググっても出てこないんですよね···。元ネタすらド忘れしてしまうほどボケが始まったと思うと憂鬱になっちゃいますよ···。もしご存じの方がいらっしゃれば教えて下さい!
そして魚人薬なるアイテムが登場しました。海底都市も存在していることが明らかになりましたので、アキくんの旅行の範囲は海中まで拡大されることに···、『続編では』なりません(笑)!もし『3』を書くなら海底旅行もするかもしれませんね。
さて次回予告ですが、ひたすら南へ向かっていたアキくんたちですが、どうやらウェーバー大陸の南端まで来てしまっていました。そこで、大陸の西海岸を今度は北上する事にします。
西海岸は山が海に迫っている断崖絶壁が続く秘境地帯でした。でもリオくんたちに乗って飛んでるから行けちゃいます!そんな秘境の旅をお届けしますよ~。
それではお楽しみに~!




