7-2.海底都市ノーラス
本日は先週急遽決まった夜勤なので朝に投稿しています。
砂浜で朝食を作ってると、孫たちが羽の生えた大きな亀を助けて連れてきたんだ。しかもお礼したいってことで、ボクたちは風魔法で酸素ボンベを作って海底都市ノーラスへ向かうことになったんだ。
···まんま浦島太郎なんだけどね。亀には乗ってないけどさ。ていうか、乗って9回以上踏んづけると1UPしそうだし···。
玉手箱はちょっと勘弁してほしいなぁ〜。まだまだこの世界を旅したいんだけど?
数々の心配をしつつも潜り続けること10分。すでに周囲は真っ暗だ。もう陽の光が届かないんだよ。一応魔法で灯りは用意しているけど、周囲はまったく見えない。
ちなみにハタさんは目が光って前方を照らしていた。リアルに『目からビーム!』だよ···。『口からバズーカ』は撃たないよね?
さらに10分後、前方に灯りが見えてきた。あそこが海底都市ノーラスなのかな?
『皆さん、お疲れ様でした。着きましたよ〜』
灯りはチョウチンアンコウの形をして照らしているのと、チューブ状に光る生き物···、夜光虫かな?それで明るくなっていた。···なんか寂れた歓楽街っぽいんだけど?
さすがに海底には城壁はなかったよ。水中だから意味ないしね。でも門番はいたよ。門ないけどさ。魚の格好をした人っぽいね。魚人ってヤツかな?足はなかったね。某網タイツ履いた鯛とかじゃなくて良かったよ。
『これはハタ殿!仕入れから帰ってこないと大騒ぎになってますぞ!?』
『これはハゼ殿、心配かけたのぉ。魔獣に襲われてたところ、この子たちに助けられてな。お礼をしたくて連れてきたんじゃ』
『···え!?自然に来たから気になってなかったが、地上の生き物がなぜここにぃ〜!?』
『魔法らしいぞ?便利じゃのぉ〜!』
そりゃ驚くよね?普通の人はここには来れないんだからさ。
···そういえば今気づいたけど、水圧って大丈夫なのか?かなり水深がありそうだから、すごい水圧のはずなんだけど···。
···うん、気にしたら負けだわ。そうしとこう!
『ささ!こちらへ。魔法があとどれくらいもつかわかりませんので、早く行きましょう』
町中は地上とあんまり変わってなかった。家はあるし、造りもほぼ一緒だ。ただ、階段がなかったよ。泳げばいいだけだしね。
道行く人たちはボクたちに驚いていた。そりゃそうだ。地上の生き物が海底都市に来れないからね。
そうして泳ぐこと5分ほどでハタさんの店にたどり着いた。店に入ると、ハタさんを心配していた従業員たちが集まってきたよ!
『オーナー!?よくぞご無事で!』
『心配かけたのぉ〜。こちらの方々がワシを助けてくれてな。海中に潜れるということで来ていただいてお礼をさせてもらおうと思ってな』
『そうでしたか···。あぁ、失礼。私はこの店舗の支配人であるノコと申します。地上の方々に満足していただけるもてなしになるかはわかりませんが、精一杯もてなさせていただきます』
「いえ、当たり前の事をしただけなのでお構いなく」
『そう言っていただけると助かります。それではご案内いたしますね』
お店の支配人さんも亀だったわ···。しかも羽は生えてなくて、お名前が『ノコ』···。非常に世界的に有名な某花札屋さんにケンカ売ってるけど大丈夫か!?勝ち目あらへんで!?
そんなボクの心配をよそに、みんな案内された応接室でリラックスしてたよ。まぁ、みんな元ネタ知らんからなぁ···。精神的ストレスを感じてるのはボクだけのようだった。
しばらくして、ノコさんがおつまみを持ってきた。
『地上の皆さんにはどのようなもてなしがいいか見当もつきませんが、こちらをどうぞ』
「お気遣いありがとうございます。これは何ですか?」
『ゲッソールという生き物の刺身ですね。歯ごたえあって、当店の人気商品の1つでして···』
出てきたのはイカだったんだけど···、名前がこれまたヤバイ!!···もうボクは知らんぞ!
そう思ってると、フーちゃんがノコさんに商談を持ちかけた!
「おいし〜!ねえねえ!ノコさ〜ん!これ売って〜!ママのお店で出すの〜!」
『お気に召していただけたようで嬉しいですなぁ〜!『お店』ということはたくさんお買い求めをご希望で?』
「とりあえず···、300匹かなぁ〜?」
『それほど!?ありがとうございます!金額は45万ジールになりますが、それでよろしいですか?』
「安くない〜!?」
『はっはっは!これは大群でこの町にやってくるんです。仕入れやすいので単価が下がるのですよ。それほど手を加えておりませんので、魚人件費が安いんですよ』
「じゃあ···、500いっちゃお〜!75万ジールで合ってる〜?」
『さらに積み増しですか!?ありがとうございます!では70万ジールでご提供いたしましょう!』
「嬉し〜!あっ!領収書下さいね〜!宛名は『ハンティング・アイ』で~」
『もちろんですよ。少しお時間をいただきますね』
「いい品を仕入れたよ〜!ママも喜ぶよ〜!」
フーちゃん···。交渉が上手になったなぁ〜。っていうか、地上の支払い方法で海底都市で決済できるのか!?お金の単位はジールであってるんだけど···。
あと領収書!海の中で紙なんてないんだけど···。どうするんだ?
そう思ってると、品物を持ってきたよ。なんと!こんぶっぽいデカイ海藻に包んでたわ!
そしてボクの無限収納カバンにどんどん入れていった。ノコさんはビックリしていたよ···。『マジックバック以上に入ってません!?商人としては欲しいんですけど、どこで売ってます!?』って聞かれちゃった···。『神器なので非売品です』なんて言えないし···、適当にごまかしておいたよ。
そして領収書はなんと石だった!!金額と日付、それに宛名にはナツのお店の名前が彫ってあった···。さしずめ『領収石』ってとこか。こりゃ偽造できんわ···。
ってか、これ税務署受け付けてくれるのか!?添付はできんよなぁ〜。時々この世界の仕組みがよくわからなくなる時があるよ···。
決済もフーちゃんのキッズスマホでやっちゃった···。どういう事なの?地上となんら変わらないけど!?
すると、ボクの考えを読んだのか、こう答えてくれたよ。
『あぁ~、海底都市なのに地上と同じっておかしいと思われましたか?実は多くの沈没船から引き揚げたものなんですよ。もちろん、お亡くなりになった方々は我々で丁重に葬らせていただきました。いわゆる有効活用というものですな』
とのことだった。それならいいか。この世界じゃサルベージなんてできないしね。
そんな感じで過ごしていると、ハタさんがやって来た。
『お待たせいたしました。ささやかながら、食事をご用意いたしました。どうぞこちらへ』
案内された先では···!海鮮づくしの料理がところ狭しと並んでた!
「海の食べ物だーー!!」
「ちょっとリオ!?はしゃぎすぎ!」
「でも、じーちゃんがはしゃぎたくもなるよなぁ〜!おれは初めてだけど、うまそうだぜ!」
「クーもよだれがとまらない。じゅるり」
「正義の行いをしたお礼、ありがたくいただくぜ!」
カークくんとクーちゃんはあんまり海鮮系には縁がないもんね。アトラちゃんは普段から食べてるから慣れてるよ。
あぁ~、海鮮系ならしょうゆかけたいんだけど、海の中じゃ意味ないんだよなぁ〜。でも塩味でおいしくいただきました〜!
海底都市は住んでいる生物が違うだけで、ちゃんと都市の様相でした。と言っても建物は巨大な貝殻とかなんですけどね。泳いで移動なので階段なんてありません。そのあたりの作りが違う程度ですね。
しかも沈没船からサルベージもして、地上と変わりなく決済までできてしまいました。領収書は石でしたけどね(笑)。税務署がどう処理するかが作者も気になりますよ。
当然出されるお食事は海鮮系!本文中に書いてませんが、貝アレルギーがあるリオくんは貝系の料理を孫たちにあげています。
さて次回予告ですが、そろそろ潜水魔法も切れかける時間となったので帰ろうとすると、やっぱり出てきました!そう、『玉手箱』です!
アキくんはここまで某昔話と展開が似ていたので、まさか?と思っていたことがリアルに起きてしまいました!しかも、なんと『3つのうち1つを選べ』というロシアンルーレット的な展開に!?
果たしてアキくんは無事おじいさんにならずに済むのでしょうか?まぁ、リアルに孫がいるからおじいさんは正しいんですが···。
それではお楽しみに~!




