6-16.軍隊カラスのつがい
世界樹に巣食った軍隊カラスを退治すべく、ボクたちは巣で戦闘を行った!子カラスはほぼ駆逐完了し、残りはカラスのつがいだ!
軍隊カラスのつがいはこっちを見てるだけで襲おうとはしなかった。様子を見ている···?
ボクたちはゆっくりと近づこうとすると···!?
『···降参しよう。ここから我らは出ていく。それで問題ないか?』
「えっ!?魔獣なのにしゃべったぁ!?」
『何を驚く?まさかしゃべるのが人間だけだと、本気で考えてたのか?』
「そ、それを言われると···」
『魔獣だけではない。どんな生き物も何らかの手段でコミュニケーションを取っている。我は人間の言語をたまたま知って使えるというだけのことよ』
「う〜ん···。カラスって元の世界でも賢いって言われてたけど、エーレタニアではしゃべるとは思わなかったなぁ〜。リオ?ほかの魔獣でしゃべるのっている?」
「聞いたことないぞー?オレもビックリだぞー」
『我らはあまり人のいるところには行かんのでな。子はしゃべる事はできん。あくまで我のみ話せるようだ。ところでさっきの話だが···、どうだ?』
「う〜ん···。ボクとしては悪さしなかったらいいんだけど···」
「アキー!?魔獣は人を襲うんだぞー!ここで退治しておくべきだぞー!」
「そうだぜ、アキ!こいつは今はこう言ってるが、命の危険がなくなったら反旗を翻すぞ!?」
う〜ん···。リオとレオの言うことも最もなんだけどなぁ〜。世界樹としては出ていってほしいって事だから、追い出すだけでミッションコンプリートなんだけどね。
さりとて意思疎通できる相手、しかも降参の意思を示してるのに無下にするのもなぁ〜。
···よし!じゃあ、あの作戦をやってみるか!反旗を翻すなら、あのタイミングを狙ってくるはず!
「わかりました。ここから立ち去るのを見届けさせてもらいます。世界樹には二度と近づかないで下さい」
「アキ!?本気か!?」
「アキー!?」
「レオ、リオ。ごめんね。降参してる相手を倒す事はできないよ」
「···どうなっても知らないぞ!」
「レオ、その時はボクが直接手を下すよ。そういう事だから、とっとと出ていって」
『寛大なる措置に感謝を。さらばだ···』
そうしてつがいは飛び立った。
「さあ、これで終わったよ。タマゴもないみたいだから、繁殖の恐れもないしね。じゃあ、戻ろうか!」
「「············」」
う〜ん···、気まずい···。でも、これで良かったんだよ。そうしてボクたちは巣から去ろうと後ろを振り向いて歩き出したその時!!
「そう来ると思ったよ···。残念だ···。秘技、斬月・二重」
『なっ!?グワァー!?』
予想通りだったか···。某皇帝VS山手線の英雄たちのゲームの英雄の一人とまったく同じ事してきやがったよ···。
ボクたちが油断して背後を見せたと同時に急降下して軍隊カラスのつがいが襲いかかってきたんだ。
もちろん、そうするだろうと思ってたからカウンター技の斬月を準備してたのさ。きれいに真っ二つになったよ。
「アキー?気づいていたのかー?」
「準備していたんだな···。こうなるとわかってたんだな」
「リオ、レオ。あくまで可能性としてね。まさかその通りになるとは思わなかったけどさ。付き合わせちゃってごめんね。あ〜あ、せっかく話せるのに···、切ないなぁ〜」
「アキじーちゃん···。カッコよかったぜ!」
「ははは、ありがとう、アトラちゃん。さあみんな!帰ろうか!」
そうして帰ろうと来た道を戻ろうとすると、
『ありがとう!これでワイは救われたよ!そうそう、帰り道を今から作るから、ちょっと待っててくれるかな〜?』
「世界樹さん、了解しました。それじゃあ、ちょっと休憩させてもらいますね〜!」
激戦だったから疲れてたし、ちょうどいいか!のんびりくつろがせてもらうことにしたよ。
そして30分後···。
『お待たせ〜!そういえばキミたちって飛べるんだよね?歩いて降りると1日以上かかるから、外に出れる道を作っておいたよ。そこから飛び降りてね!』
「あ〜、こんだけ大きいから徒歩だと時間かかりすぎるのか···。わかりました。ありがとうございます」
『いやいや!お礼を言うのはこっちだよ。キミたちのおかげで助かったよ!そうそう、お礼だったね!これを持って帰ってね〜!』
そう言うと、ボクたちの近くの葉っぱの壁がくぼんで、そこに木製の大きなボトルが2本出てきたよ。大きさとしては元の世界で言えば5リットル近い焼酎のボトルぐらいかな?
『ボクの樹液で作られた『世界樹の雫』って美容液だよ。肌年齢が『生き返る』よ〜!』
「ありがとう!あたしにとって最高のグッズだわ!!」
「···2本って事は、私の分?」
『そう!これぐらいしかお礼できないけど、また来たらあげるからね〜!』
美容液はナナとハルの分だったよ。しかし銘柄が···。某竜退治のRPGのアイテムの名前のまんまだけど···、効果は全然違うけど大丈夫かなぁ?
こうしてボクたちは世界樹からプレゼントをもらい、外に通じる道を通ってから飛んで集落に戻った。
「おおっ!無事でしたか〜!世界樹がごきげんになったような気がしますじゃ。魔獣は···?」
「ええ。退治完了ですよ。世界樹からこんな美容液を直接いただけました」
「···な!?なんと!?世界樹と意思疎通ができたのですか!?まさに···、まさに伝説の通りですじゃ!」
「···え?その伝説の金竜のドラゴン族も会話できたんですか?」
「そのとおりですじゃ!世界樹の助けに応じたとあるのですじゃ」
ということは···、その金竜もかつての整調者だったんだろうね。ミルちゃんとアトラちゃんのご先祖様だったりするのかなぁ〜?
こうして世界樹でのイベントは無事終了したよ。この後、集落で精一杯のもてなしを受けて、1泊させてもらったんだ。
もちろん、アトラちゃんは崇め奉られてしまっていたよ。『あたいも確かに活躍したけど、アキじーちゃんが1番だぞ〜!?』って言ってたけど、『ははは!救世主様はご謙遜されて···』って、相手にされてなかったね。
グロー歴525年8月10日 曇?(集落を出ないと分かりにくい···)
「救世主様!繰り返しになりますが、集落と世界樹を救っていただき、ありがとうございましたですじゃ」
「あ〜···、あたいは大した事してないけどなぁ〜」
「アトラちゃん?ここはそういう事にしておこうね。否定しても幸せにならないからさ」
「アキじーちゃん···。わかったぜ!次もあたいが助けに来るぜー!」
「「「「わーーー!!!」」」」
ははは!この調子がアトラちゃんにはピッタリだね!
こうしてボクたちは世界樹の集落から飛び立った。ボクたちが見えなくなるまで手を振ってお見送りしてくれたよ。
数十年後···。
『救世主である金竜のドラゴン族のアトラ様は、天からそれは多くの従者を引き連れてこの地に降り立ち、数多の魔獣を退治されて、世界樹と我々をお救いされたのでした。めでたしめでたし···』
新たな伝説が始まってしまった···!?
『えーーっ!?どうしてーー!?あたいの活躍がこんな事にーー!?』
数十年後にアトラちゃんがお子さんと一緒に世界樹に旅行した時に知ってしまったらしいよ?だいぶ未来の話だけどね!
第6章 完
『ここからパパが旅行してるなぁ〜ってところなんだよね。書いてる文字からしても楽しんでると感じられるなぁ〜』
第6章本編はこれで完結ですが、明日に番外編としてコピーアキくんの自宅警備が入ります。
ボスのカラスは知能が高いだけあって騙し討ちを仕掛けてきました!しかし、アキくんは某ゲームで似たような展開を知ってたので警戒してたんですね。
そして、集落では新たな伝説が誕生してしまいました!アトラちゃんが伝説になっちゃったんですね〜!
ヒーローは伝説になるのも定めですが、活躍しきれてないのに誇張されてしまってびっくりしてましたね。だいたい英雄のお話なんて誇張されまくる運命ですからね。
さて次回予告ですが、先述の通りコピーアキくんの自宅警備日誌をお届けします。
自宅警備と言っても引きこもりではなく、ちゃんと警備するんですよ。ただ、暇なのでデスクトップPCを召喚したり、アキくんとリオくんの家の整備まで始めてしまいます!どんな事したのでしょうね?
明日は第6章完結なので、朝に自宅警備日誌、夜にネタバレ集を投稿します。お楽しみに〜!




