6-12.救世主アトラ!?
本日は夜勤明けで飛行機に乗って花巻温泉にやってきました!2泊温泉宿で缶詰執筆!という売れっ子作家ごっこ(笑)を実行中です。
この缶詰で続編ラストまで書きたいと思ってます。
「ま、まさか!?ワ、ワシの代で···、救世主様が御降臨されるとは!?」
飛んでたら遠くからでも見える大きな木が気になってやって来たら···、集落の長老さんがボクたちを指差して『救世主!』って言い出した!
まったく身に覚えがありませんけど···?ってか、誰を指差してるんだろう?
「おおっ!?伝説は本当だったのか!確かに悪しき兆候があったから、あの伝説は本当だったのだな!」
門番さんも長老さんに同意しちゃってるよ。どうやらこの集落では有名なんだろうなぁ〜。
ともかく、詳しい話を聞かないと。どういう伝説なんだろうね?
「救世主様!よくお越しくださいました!この世界樹をお救いに来られたのですね?」
長老が話しかけたのは···、なんとアトラちゃんだった!
「···へ?あ、あたいの事か!?」
「そうですじゃ!黄金の髪と翼を持つドラゴン族こそ天から遣わした救世主なのですぞ!」
「ちょ!?ちょっと待ったーー!!あたいはヒーローであって救世主じゃないぞー!?」
「『ひいろう』···、とは何のことですかな?」
「悪を正義の鉄槌で滅ぼすかっこいい人たちだぜ!」
「今は救世主の事を『ひいろう』と言うのですな?いやはや、ここは外界とは断絶状態の場所でしてのぉ〜」
「えっ!?い、いや!そうじゃなくて!!」
アカン!これはマズい!長老さんとアトラちゃんの会話が成立してるように思えるけど、誤解を招いてるぞ!
長老は集落を救う人を救世主って呼んで、アトラちゃんは正義を貫いて悪を滅ぼすのがヒーローって言ってるんだ!意味は一緒なんだけど···。
ちょっとアトラちゃんでは対応に難ありそうだから、ボクが間に入ろう!
「長老さん。ボクはアキと言います。みんなで旅をしているのですが、この集落に伝わる伝説を知らないんです。アトラちゃんは確かに金竜のドラゴン族ですが、どういう伝説かを教えていただけますか?」
「ほっ?旅をしている···。ますます伝説の通りですな!立ち話もあれですから、どうぞこちらへ···」
う〜ん···。ボクが介入したけど、それすら巻き込まれた感があるぞ?これ、大丈夫かなぁ〜?なんか外堀埋められて逃げられそうにないけど···?
そうして案内されたのは集会所みたいなところだった。
「救世主様はどうぞこちらへ」
「えっ?アキじーちゃん!?どうしよう〜!?」
「とりあえず座る位置ぐらいはいいんじゃない?」
「えーー!?あたい、どーなるんだ!?」
アトラちゃんは上座···、というか一段高い席に連れて行かれちゃった。まぁ、ここで抵抗するとマズいような気もするしね。座る位置ぐらいは···。
「さて、救世主様もこの集落に伝わる伝説を御存知ないということですかな?」
「だから、あたいは救世主ってのじゃないって〜!ヒーローではあるけどな」
「ではご説明をさせていただきますぞ。はるか昔、この世界樹がまだ小さかった頃のお話ですじゃ···。この世界樹に悪しき者が現れ、それはもうたくさんの魔獣が住み着いて、この集落と世界樹はどんどん荒廃していったのじゃ」
やっぱりこの木は世界樹だったのか···。小さかったって言っても、魔獣がたくさん住み着いちゃうほど巨大だったんだね。
「集落が滅亡の危機に瀕したその時!嵐が吹き荒れ、そして天から金色のドラゴン族が降臨し、魔獣たちを滅ぼしてくださったのじゃ」
嵐が吹き荒れたってのは浮遊大陸がここを通ったって事だね。浮遊大陸は姿を隠すために温帯低気圧をまとっているからね。
そして金竜が地上に降りて、ここを救ったってことか···。アトラちゃんのご先祖様って事になるのかな?金竜で救世主って、某昔の面白カッコいいアニメを思い出しちゃうなぁ〜。リオも『おうっ!』って返事してくれるけどね。某アニメの渋い声じゃないけどさ。
「昔の金竜がこの集落を救ったんだな?」
「そうですじゃ。そして!今まさにこの世界樹に魔獣がたくさん住み着いたのですじゃ!ただ···、伝説のあった当時に比べて世界樹が大きくなってしまい、世界樹が枯れるまでにはまだ至っておりません。それに、伝説のあった時よりも『ダンジョン』として迷宮度が上がっております」
う〜ん···。この話の流れからすると、世界樹に登って魔獣退治しろって事かな?世界樹の迷宮って名前の某ゲームがあったけど、ボクとしては竜退治の4作目の方を想像しちゃうなぁ〜。生き返らせる葉っぱかどうかはわかんないけどね。
「このままでは我らは世界樹からの恩恵を受けることができなきなってしまうのですじゃ。伝説が真であるからこそ、こうして救世主様が現れたのですじゃ!お願いいたします!魔獣退治をしていただけぬか!?」
「え〜!?アキじーちゃん!どうしよう〜!」
「ボクとしてはいいけど?リオはどう?」
「オレも別にいいぞー。アトラの好きにしろー」
「···わかった。その前にあたい、長老さんに聞きたいことがあるんだけど?」
「なんでしょうか?」
「恩恵って、世界樹って何があるんだ?」
「食べ物の恵みですな。これがすごい効果がありましてな···。ある一定の年齢以上だと若返りの効果もあるのですじゃ!ワシはもう若返りの恩恵を受けられん体になったので、こんなジジイとなってるのですじゃ」
『若返り』という言葉を聞いて真っ先に反応したのは···、ナナだった!
「アトラ!受けなさい!そして、あたしも恩恵をちょっとでもいいので受けたいわ!」
「マーマ!?ちょっと!?」
「おおっ!?ありがたいですじゃ!」
「さすが救世主様!我が集落をお救いくださるなんて···」
「マーマ···。わかったぜ。あたい、その魔獣退治、請けるぜ!」
というわけで、なんか集落の人たちにうまくノセられたような気もしないでもないけど···、ボクたちはあのでっかい世界樹に登ることになった。
まぁ、ナナが請けちゃったのが本当のところだね。
ナナ···。『ここ最近、お肌がカサつくのよね···。歳はとりたくないわ〜!』ってハルにボヤいたそうじゃん。ここで美容効果を得るためだな!?
その日は集落で歓迎の集いが開催され、もちろんアトラちゃんは壇上に上げられちゃってた。
『ヒーローはそんな対応受けないぞ!?』
って抵抗するしたんだけどさ?『まぁまぁ、そうおっしゃらずに!』って無理やり壇上に登らされちゃったね。
そして、翌日から世界樹に登ることになったんだ。
どうやら過去に金竜が世界樹を救ってしまったがためにアトラちゃんが救世主扱いされてしまいました。まぁヒーローと似てはいるんですが、ちょっと救世主となると表現が重たいですよね~。さすがのアトラちゃんもちょっと引いてますね。
さて次回予告ですが、ナナちゃんが美容液に釣られてしまって世界樹のダンジョン攻略をすることになってしまい、アキくんたちは富士山の高さもある世界樹のダンジョンを攻略しようとします。
ただ、デカすぎるので、上空から一気に内部へ侵入!という作戦をとります。
すると、魔獣たちが空中で襲い掛かってきました!本作では珍しい空中戦を繰り広げますよ~!
それではお楽しみに~!




