6-6.ぶらり訪れたら滅んでたわ···
グロー歴525年8月6日 晴れ
おはよう!昨日は散々な目に遭ったよ···。
チェックインした後で酒場でみんなと食事してると···、
『よお!嬢ちゃん!アンタ、あの貼り紙の極悪人にちょっと似てるじゃん!オレとつるんで情報提供代巻き上げないか!?』
って絡まれたよ···。するとすぐにハルが、
『···黙れ。···私の夫に手を出すな』
『は!?はいぃい〜〜!!し、失礼しましたーー!!』
って言って追い返しちゃったね。その時のハルの顔を見てないんだけど、絡んだおっさんはお漏らししちゃったのか、ズボンの股に染みができてたよ。腰抜かしてたから、這って逃げてたね。
どんな顔をハルはしたんだろうね?ボクの後ろで凄んでたみたいだけどさ。ボクが振り向いたらいつもの顔に戻ってたから分かんないんだ。
ただ、向かいに座っていたモンドくんとフーちゃん、カークくんとアトラちゃんとクーちゃんは顔を青ざめてガクガクブルブルと震えてたよ···。ハル?いったいどんな顔してたんだい?聞いても答えてくれなかったけどね···。
さて、今日は小国家群に行ってみるよ。ちょっと大きな町みたいなんだけど、国家という扱いらしいんだよね。ボルタニア大陸で言えばジスタ三国みたいなところらしいね。ジスタ三国については本編の5章で行ってるからね〜!
宿場町を出てのんびりと歩いてると、前方に大きな山が見えて来た。空を飛んでる時にも見えてたんだけど、夏なのに山頂には雪があるんだよ。相当標高が高いようだね。
この周辺は草原地帯で、北からの涼しい風が常に吹いていた。乾燥してるから避暑にはいいんじゃないかな?そこそこ大きな湖もあるし、元の世界での軽井沢とか、そんな感じのリゾート地にできる可能性がある気がするね〜。
そして、そんなリゾート地に向いてる素敵な場所に国が···、あったみたいだ···。
「じーじ?町の門が壊れちゃってるね?」
「魔獣の襲撃でもあったのか?」
フーちゃんとモンドくんは魔獣の襲撃があったように見てるね。でも、町中で煙が上がってないから襲撃があったとしてもだいぶ経ってるんじゃないかなぁ〜?
それに、何かあったら昨日泊まった宿場町でウワサになってるはずだしね。
「ちょっと状況が分からないなぁ···。一応警戒しておいて」
ボクたちは警戒しながら、壊れた門をくぐり抜けた。
···うん、雰囲気からして魔獣の襲撃ではなさそうだ。そう、人間同士での戦闘があったみたいだね。戦争なのか山賊なのかは分からないけど、町中はかなり荒れていた。
「じーちゃん?これってどういうことだ?」
「みんなかたづけがヘタ。クーはちゃんとキレイにしてる」
「クー?そういう事じゃないぞー。カーク、どうやら略奪があったみたいだなー。おそらく戦闘になるだろうから、いつでも相手できるようにしとけー」
リオがカークくんとクーちゃんに注意を促して全員が警戒度を上げると、ボクの気配察知能力も反応し始めた!なんかこっちに集まる···、ってか集って来たような?
すると、交差点の左右から来たのは···、なんか某荒れた世紀末にいそうなヒャッハーなモヒカン頭のヤツだった!しかも5人組だ。
···ボルタニア大陸にも似た格好のヤツいたなぁ〜?どうしてファッションが似てるんだろう?不良のルックスもエレさんが仕込んだのか?ゲームのキャラ絵の使い回しじゃあるまいし。
すると、ヒャッハーな輩が因縁をつけてきた!
「おっ!?見たことのない連中だなぁ〜?旅人かよ?おい!10万ジール置いてけ!さもないと···、『ズブッ!』だぞぉ〜?へへへっ!」
···なんか某ロマンあふれるRPGの2作目で、陰謀によって滅亡した国で徘徊してる不良兵士と似た事言ってるなぁ〜。
仮にお金払っても、また近づいたらカツアゲする気でしょ?さて、あのゲームと同じ事を言われたんだったら、こっちも同じゲームの言葉で返してやろうじゃないか!
「よし!『教訓を与える』ぞ!みんな、懲らしめちゃっていいよ」
「よしきた!」
「お命頂戴!」
「やってやるぜ〜!」
「ボッコボコにしてやる」
「正義の鉄拳!受けてみろーー!!」
「「「「な!?なにをするきさまらーー!?」」」」
···なんで敵側が某ロマンあふれるRPGの1作目と同じセリフ言うの?カツアゲしようとしてたんだから、被害者ぶるんじゃないよ!こっちが大人しく払うわけないでしょ!?
まぁ、戦闘は孫たちで瞬殺···、っていうかオーバーキルにもほどがあったよ。生きてるけどさ。クーちゃん以外は一発でノックアウトしちゃったね。
ただ、クーちゃんは···、ヒャッハーなヤツの胸ぐらを掴んで殴り続けていた!
「ひげぶ!?ご、ごめんなさゴハッ!?もうしませぶげっ!?」
「おまえがぜったいにやらなくなるまで、なぐるのをやめない」
「クーちゃん!ストーーップ!やり過ぎだって!」
「いや、アキー?これぐらいでちょうどいいぞー」
「えっ!?いいの?」
「回復魔法あるしなー。命を取られなかっただけでも助かったものだぞー」
「だいじょぶ。これで···、なおった。じゃつづきやる」
「ゆ、ゆるしグヘッ!?た、たすべヒャッ!?」
「まだはんせーしてない。くちだけ。おしおきだ。ママはこれでもゆるしてくれない」
おぉ〜···、クーちゃん、こっわぁ〜···。これ、精神攻撃も兼ねてるわ。徹底的にやって心を折る気だわ···。
それとリナ···?かなりキツいおしおきを家でやってるんだね?子どもの時はハルのおしおきで泣いてたのに···。それ以上やっちゃってるんだな···。
とりあえずクーちゃんを止めてから、リアルにボッコボコにされたヤツに話を聞くとするか。
話によると、一昨日の夜に大規模な盗賊団が奇襲をこの町に仕掛けたそうだ。町側が準備する間もなく制圧しちゃって、現在は住民から略奪してる最中なんだってさ。
そんな時にボクたちが来ちゃったってわけだ。何ともタイミング悪いなぁ〜。
「どうする?一応ここはマクス帝国の制圧下の小国なんだけど···」
「じーちゃんの好きにしたらいいんじゃないか?」
「フーも!でも見過ごしたくないなぁ〜」
「おれはやっつけた方がいいと思うぜ!」
「クーも。ひさびさにおおあばれしたい」
「アキじーちゃんがいいって言ったらあたいは全力で悪を滅ぼしてやるぜ!」
孫たちはやる気満々のようだね。
「なるほどね。リオ?どうする?」
「救ってもいいんじゃないかー?帝王に恩を売っておいたら、身動き取りづらくなるだろー?」
「それもそうか···。まぁ、ボクも助ける方がいいって思ってたし、それじゃあ、『大掃除』するとしますか!」
「「「「おうっ!!」」」」
こうしてボクたちはこの小国で大掃除をする事になったんだよ。ホント、トラブル多いなぁ〜。
滅ぼされた国ではやはり襲われてしまいましたね〜。ですが、こちらはオーバーキルできちゃう戦力ですからね。
しかしクーちゃんはかなりえげつない攻撃をしてましたね···。リナちゃんのしつけが厳しいんでしょうか?コルくんが『まぁまぁ』ってリナちゃんをなだめてるような光景が目に浮かびますよ。
さて次回予告ですが、滅んだ国の大掃除と称して悪い連中を退治することにしました。道中襲われますが、ついにアキくん自身も戦いますよ〜!
本編でも中盤以降はハルちゃんに守られっぱなしでしたからね。なりきり!伝説の神狼族セットの力も発揮しますよ〜!
それではお楽しみに〜!




