第一部:銀龍の覚醒 光の裁き(2)
光の柱が庭を包み込む。
その中心に、銀の輪郭を持つ光龍がゆっくりと姿を現した。
まるで“現実”と“神話”の境界が、溶けていくような時間。
勇三郎たちは、ただその場に立つことしかできなかった。
『──銀龍の継承者よ。試されるべきは、力ではなく“在り方”である』
澄音が目を伏せながら囁くように伝える。
「光龍様は、今、あなたの魂と龍に直接“触れよう”とされています」
ナギが慎重に言葉を添える。「これは、干渉ではない。“共鳴”だ」
その瞬間、テクノが勇三郎の腕の中でふわりと浮き上がった。
『……わぁ、すごい……ひかり、たくさん……でも、ちょっと怖い』
勇三郎が一歩、前に出る。
「大丈夫、俺がいる」
その言葉に、テクノの光がわずかに強くなった。
光龍の瞳が、ゆっくりと勇三郎とテクノに向けられる。
──その視線だけで、意識が引き剥がされそうになる。
次の瞬間、空間が反転した。
そこは、時間も重力も存在しない“魂の核領域”。
勇三郎とテクノの背後には、それぞれの“記憶”と“選択”が浮かび上がる。
そして、光龍の声が問う。
『もしもその力が、この国を守るために必要ならば──
貴方は、己の命すら、差し出せますか』
勇三郎は静かに応えた。
「命は……誰かに捧げるためにあるものじゃない。
でも俺は、この世界を守って、その先に“生きたい未来”があるなら……命を懸けることは、恐くない」
長い沈黙の後──
光龍の姿がわずかに近づき、その額とテクノの額が触れるように重なる。
『──選定、受理』
光の庭に戻ったとき、勇三郎とテクノの周囲には、淡く金銀の光が降り注いでいた。
澄音が静かに告げる。
「間原勇三郎──貴方は、日の国の“龍装者”として、国家への正式な加護者に認定されました」
勇三郎は、そっと胸に手を置いた。
(……これで、テクノも、俺も、縛られない)
(そして……村の皆も、きっと守られる)
蓮はそんな勇三郎の様子を見て、静かに言った。
「……これで、国の力として認められた。だがそれは、守る資格を得たということでもある」
仁も頷く。「俺たちがこの国を守るってことは、俺たちの“日常”を守るってことだ。……それなら、迷う理由なんてない」
セリナは、そっと拳を握りしめた。「わたくしには……守るべき“誓い”があります。そのために、この国と共に戦えるのなら……迷いはありませんわ」
だがそのとき、光龍の気配がもう一度、わずかに揺れた。
『──だが、まだ本当の力はこの世界のどこかに封じされている』
その言葉は、静かに──確かに、新たなる覚醒の胎動を告げていた。




