表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀龍のテクノ  作者: 銀獅子
92/258

第一部:銀龍の覚醒 御前試練(1)

神殿奥、光の庭──


白銀の大理石が敷き詰められた回廊を、勇三郎たちは無言のまま進んでいた。


足音すら吸い込まれるような静寂。


その先にあるのは、国家の象徴──光龍の巫女が座する“裁きの座”。


「……あまりに静かすぎて、息が詰まりそうだな」仁がぽつりと呟く。


「ここは“魂の気配”だけで、言葉も空気も意味を持たなくなる場所。そう言われているわ」セリナの声も、どこか遠く感じられた。


一歩進むごとに、勇三郎の胸の奥に重さが増す。


眠るテクノの体温が、逆にその重圧を和らげてくれているようだった。


やがて辿り着いたのは、巨大な半球状の天蓋に包まれた“円環の間”。


その空間はまるで時の流れすら止まったかのように静謐で、天井からは星光のような粒子がゆっくりと降り注いでいた。


光の霧がうっすらと床を這い、その中心に──


淡い光の玉座と、それに溶け込むようにして存在していた少女の姿が浮かび上がる。


初め、彼女は像のように動かず、ただ“気配”だけがこちらに届いていた。


その衣は白ではなく、“無”を纏うような透明な布。銀糸が星のように織り込まれ、見る者の記憶の奥に触れるような輝きを放っていた。


「……よく来ましたね」


彼女──光龍の巫女は、静かに立ち上がると、勇三郎たちに向かって視線を向けた。


「間原勇三郎、蒼牙蓮、紅鷹仁、セリナ=アイスリア」


名を呼ばれた瞬間、四人の背筋が正された。


「この場は、光龍と繋がる“最奥の境域”──皆さんの魂を、そのまま晒す場所でもあります」


巫女が一歩、近づくごとに空気が震えた。


「御前試練とは、戦いや術の巧みさを問うものではありません。──“魂が、国の光となり得るか”を、見定める場です」


淡い金光が巫女の背からゆらめき、まるで巨大な龍の気配が、彼女を通してこの場を覆っていた。


『……来てるね。光龍の“視線”』


テクノが、勇三郎の腕の中で小さく呟いた。


その瞬間──


四人の周囲に、淡い光の陣が浮かび上がる。


「各々、その場にて魂を開放しなさい」


巫女の言葉とともに、空間が“沈黙”に飲み込まれていく。


勇三郎は息を吸い、目を閉じる。


意識の底に沈んでいく。


その先にあるのは──かつて見た、あの星屑のような電子模様。


そして、銀龍の、遠い呼び声だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ