表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀龍のテクノ  作者: 銀獅子
91/258

第一部:銀龍の覚醒 炎国の矢(4)

光都中央議政庁──


そこは、日頃は儀礼と政務の場としてしか機能しないはずの厳粛な空間が、今は異様な緊張感に包まれていた。


天覧試合の中断と、赤月の渓谷における炎の国影部隊との実戦──


これらは想定された戦争準備期間を大幅に前倒しする事件であり、事実上の開戦と受け取る他なかった。


「……正式な宣戦布告こそまだだが、あの動きは明白な侵攻行為。我らが動かなければ、民の命と地が危うい」


議長が重い声で語ると、周囲の老将や文官たちも一様に頷いた。


「して、その戦果の報告にある“少年たち”とは、本当に……」


「はい。光龍の神官代理として、我らが確認しております」


橘が進み出る。


「間原勇三郎、蒼牙 蓮、紅鷹 仁、セリナ=アイスリア……

彼ら四名と、それぞれの魂獣が連携し、影獣隊を殲滅し、かつ生還しております」


「しかも、禁級術に匹敵する空間転移まで……」


その言葉に、議場にざわめきが走った。


「──それを可能にしたのが、“銀龍”の魂獣……」


沈黙の中、巫女付きの側仕えが一枚の書状を差し出した。


「光龍の巫女様より、お言葉を預かっております」


文が読み上げられる。


『我が光に照らされし四つの魂、風・刃・氷・そして銀。

彼らは未だ未熟なれど、いずれ我が国の行末を導く灯火なり。

速やかに、裁きの座へ導かれよ。龍の御前にて、真価を問う』


──その瞬間、議場は騒然とした。


「……御前試練か」


「天覧試合を経ぬ者たちに、巫女様が直に御前に呼ばれるとは……前例が、ない」


橘は、深く頭を垂れながら静かに言った。


「もはや、彼らは“例外”なのです」



勇三郎たちは、神殿の静謐な間でその報を受けていた。


「……“御前試練”?」仁が眉をひそめる。


「つまり、光龍の巫女と……直接、対峙するってことか」蓮が腕を組む。


「審問と選別、だね」セリナが静かに言った。


フィーナは、主の隣で緊張したように背を伸ばす。


『巫女は龍の声を受け取る器……その前に立つことは、龍に直接魂を覗かれるということ』


勇三郎は、腕の中で眠るテクノを見た。


“何も隠せない”──そんな感覚が、胸に広がっていた。


それでも。


「行こう。ここまで来たんだ。……俺たちの魂で、答えを示す」


仲間たちは頷いた。


神殿最奥──光の庭へと続く“祈りの階”が、静かに開かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ