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リアルで女声で無口な僕が幻想美少女に!?~美少女Vチューバー達にヴァーチャルワールドでは愛されて困っているボクのゲーム実況録~  作者: 鮎咲亜沙
第2章 出会いし5人目のVチューバー

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#044 幕間:霧島紫音 「霧の向こうの思い出」

 ボクの名前は霧島紫音。

 お父さんの仕事の関係で転校を繰り返していた。

 だからあんまり友達が出来なかった。


 切っ掛けが何だったのかそれは思い出せない、でも⋯⋯。


「ボクの家に遊びに来ない?」

「うん、行くよ!」


 それがアーちゃんとの出会いだった。


 ボクの家に遊びに来たアーちゃんは、そこにある最新のゲームに夢中になった。

 これはいつもの事だった。

 短期間で友達を作るボクの手段だった。


「このゲーム機、絵が綺麗だね!」


 そう無邪気にはしゃぐアーちゃんは気持ちがいいくらい喜んでいた。

 しかし。


「こんど僕の家にもおいでよ、これとは違うけど面白いゲームがいっぱいあるからさ!」


 ⋯⋯これは初めての経験だった。

 友達の家にお呼ばれするのは。


 今までの友達はボクの事よりも、ボクのゲームに夢中だったからだ。

 何もないボクにはそうやってしか友達を作れなかったのだ。

 だから今までの遊び場はボクの家ばかりだった。


 初めてお呼ばれした友達の家。

 アーちゃんの家のゲーム機は、ボクの家のよりも古いものばかりだった。

 最初はつまんないと思ってたけど絵が汚いだけで、ゲームとしてはこっちの方が面白いと思うようになった。


 でもアーちゃんは綺麗な絵のボクのゲーム機も気に入ったようだった。

 こうしてボクらは代わりばんこにお互いの家に遊びに行く友達になった。


 そしてそんな楽しい時間は1年ほど続いたのだ。


 それが終わったのはボクが小学校を卒業するタイミングでの引っ越しが決まったからだった。

 親の言う事には逆らえない子供のボクは、アーちゃんとお別れすることになった。


「そっか引っ越しちゃうんだ」

「うん⋯⋯ごめん」


 ボクらはお互い離れたくなかった。

 ボクもアーちゃんも、他に友達が居なかったのだから⋯⋯。


「⋯⋯ねえシオン、お年玉残っている?」

「残ってるけど⋯⋯なんで?」


 この時アーちゃんが提案したのは同じゲームを買って、通信機能で遊ぼうというものだった。


 そしてボクらは選ぶゲームを吟味した。

 高い買い物だ、できるだけ長く遊べるのがいい。


 そして選んだゲームは『ハンティング・モンスターズ』だった。

 プレイヤーはハンターになってモンスターと戦う狩りゲームだ。


 ボクはそのゲームで『シオン』というカッコいいキャラを作った。

 この時ばかりはボクの名前を付けてくれたお父さんとお母さんに感謝した。

 だって男でも女でも使える名前だったから。


 アーちゃんは『アリス』というカワイイ女の子を作った。


 ボクは引っ越す直前までアーちゃんと一緒に、そのゲームの練習をした。

 この『ハンターズ』はなかなか難しいゲームだったからだ。

 アーちゃんは後ろで銃を撃って、ボクはそんなアーちゃんを守る剣士になった。


 いつもそうだった。

 ボクが前を進んで、アーちゃんが後から追いかけてくる。

 それがボクらの関係だった。


 そしてそれは、これからも変わらないと信じていた。




「シオン! あっちに行ってもずっと友達だよ!」

「アーちゃんもずっと友達だ!」


 こうしてボクらは離れ離れになった。


 でもゲーマーの誓いによってボクらの友情は続いたんだ。

 それから半年くらいまでは⋯⋯。


 その時、ボクら家族は一緒に車に乗っているときに──、

 大きなトラックとぶつかったんだ。


 目の前に迫るトラック──。

 それがボクの最後の記憶になった。


 ── ※ ── ※ ──


「あれ? 今日はシオン居ないのかな?」


 それからもアリスケは毎日『ハンターズ』を起動してはシオンを探した。

 しかし二度と出会う事はなかった。


「次のアップデートの超強化個体⋯⋯。 一緒に倒そうって約束したのに⋯⋯」


 アリスケはそれからも待ち続けた⋯⋯。

 しかし『シオン』が再びログインすることはなかったのだ。


 そして時は流れる──。


 ── ※ ── ※ ──


 2年後。


 ずっと眠っていた()は目覚めた。

 病院のベッドの上で。


「これが私?」


 病院で目を覚ました私は、お医者さんにいろいろ説明されたあと鏡をみた。

 そこに居たのは白くて長い髪の女の子だった。


 昔の自分はこんな姿ではなかったはずだ。

 めんどくさくて髪は短く切って当然色も黒かった⋯⋯ハズだ。


 お医者さんが言うには、すごく怖い思いをしてそれで白くなったんだろうってことだけど⋯⋯。

 覚えていない⋯⋯事故の事を。

 先生が言うには人間にはそういう事があるって言ってた。

 怖かったり辛かったりした記憶を消しちゃうって。


 だから消えてしまった。

 お父さんとお母さんの事も⋯⋯。

 でもよかったのかなこれで、辛くて泣いちゃうよりはいい⋯⋯よね?


 その後、警察の人が来て事故の話や親戚の話になった。

 親戚⋯⋯居たっけ?


 なんでもその親戚ってのはお父さんの財産を奪って逃げたそうだ。

 それが私には他人ごとにしか思えない。

 ちょうどよかった。

 私の記憶が無くなってて。

 誰も恨まずに済んでよかった。


 それから私は病院で歩けるようにリハビリを頑張って、その時保険会社の人が来た。

 お父さんとお母さんの生命保険だった。

 お父さんとお母さんの命のおかげで当面私は生きていくお金を手にしたのだった。

 感謝した。

 でも⋯⋯涙は出なかった。


 退院後、ほとんど通っていなかった中学に少しだけ行ったけど⋯⋯すぐに辞めた。

 だってみんなの目が辛いから。

 おまけに私の見た目が真っ白でオバケみたいだし。


 こうして不登校ながらもお情けで卒業はできた。

 しかし進学は不可能だった。


 これからどうやって生きていこう⋯⋯私。




 その頃私は小さなワンルームのマンションで生活していた。

 先の見えない頼りない日々だった。


 現実から目をそらす私はゲームに逃避した。

 ゲームはいい、お金が大してかからない趣味だ。

 遊んでいるときは嫌な現実を見なくて済む。


 しかし将来の事を考えざるを得ない⋯⋯。

 ずっとゲームだけして生きていく事はできないのだろうか?

 私はやけくそで『ゲームしてお金を稼ぐ』などというワードをスマホで検索してみた。


「⋯⋯Vチューバー?」


 そこには配信でお金を稼ぐ、まだ始まったばかりの新しいビジネスの形が紹介されていたのだ。


 私はこれしかないと思い機材を買いそろえた。

 生命保険のお金は私が20歳くらいまでなら生きていける分はある。

 これは先行投資と割り切ったのだ。


 私はゲームが好きだ。

 そして時間だけは十分にあった。

 個人Vチューバー『紫音』の誕生である。


 そしてチョロいくらいあっという間に私は⋯⋯大人気Vチューバーになったのだ。


 しかしこんな不安定な仕事がいつまで続けられるのか不安だった。

 そんな時⋯⋯のちに私のマネージャーになる坂上さんという人が訪ねてきたのだった。


「紫音さん、あなたを我が社の専属Vチューバーとしてスカウトしたいのですが」

「専属Vチューバー?」


 その説明を食い入るように聞いた。

 坂上さんの会社はとても大きくて、とても私なんかが本当は入れてもらえないような所だった。

 しかも固定の給料に加え出来次第でボーナスまで!?


「わかりました! お世話になります!」


 迷いは無い即答だった。

 これでわけわかんない税金のことも頼めるようになったのも、大きな決め手だった。


 そして私は坂上さんの用意してくれた、都会の大きなマンションに住むことになった。

 ゲームだけして生きていくにはもったいないくらいの部屋だった。

 私ひとりだけが住むにはちょっとだけ広い部屋だった。


 こうしてこの部屋から私は──、

『ネーベル・ラ・グリム・紫音』として生まれ変わった。


 これはもう転生したと言っていいだろう。

 真っ白な姿、失った記憶。

 おまけにトラックにぶつかったのだ!


 人生をやり直そう。

 私はひとりで生きていく。

 見守ってくださいお父さんお母さん。


 それから1年後、私は『ポラリス』という大企業のバックアップもあって大人気Vチューバーになった。

 ひとりでも生きていける力が私に出来た。

 その道の先にまだ何があるのか知らずに。


 今後の人生をひとりで生きていけるだけのお金を稼ぐためだけに。

 大好き()()()ゲームをやり続ける日々が始まったのだった。




 そして現在──。


 私は無断で行った非公式のアリスとのコラボの件で、マネージャーにこっぴどく怒られた。


「ごめんなさい⋯⋯」

「反省しろ。 ⋯⋯今後わが社は『ヴィアラッテア』とのコラボを検討している」

「本当!?」

「まだ企画段階だがな⋯⋯昨日の配信結果も良かったし、まあ通るだろう」


 昨日の私とアリスの収益は上々だった。

 お互いつぶし合う事もなく、等しく底上げされた結果だったのだ。

 おそらく同時に視聴した人が多かったのだろう。


 今ではファンの非公式アンケートで昨日の私たちの町作りの勝負結果を出そうとしている。

 どっちの作った町が良かったかというアンケートの結果は⋯⋯。


 今のところ私のダブルスコアで圧勝である。

 私はアリスほど人口を増やせなかったのだがその完成した町並みは美しく、皆が住みたいと思ったそうだ。


 アリスの作った犯罪と公害だらけの酷い町よりは⋯⋯。


 人口と人気。

 評価基準の違う勝負になってしまった。

 これじゃ勝ったというのにすっきりしない。


 でも⋯⋯また戦える(遊べる)んだアリスと。


「よろしくお願いします、()()()()!」

「⋯⋯。 ああ、任せろ」


 この時私は初めて坂上さんから情熱のようなものを感じた。

 今までどこか冷たい仕事の人って印象だったのに。


 まあ後日その理由はわかったんだけど⋯⋯。


 坂上さんはどうもアリスのマネージャーの木下さんのファンだったらしい。

 仕事上で会えることが嬉しくて仕方ないのだという。


 まあいいや。

 私もアリスとコラボできるなら。


 それにはまだ時間がかかるだろう。

 だからそれまでは──。




 私は『ファミステ3DS』を起動した。

 差してあるゲームカートリッジは『ハンティング・モンスターズ』だった。

 むしろこれしか持っていない。


 ゲームを立ち上げて自分のキャラを作り直す。

『シオン』から『紫音』へと、性別も今度は女にした。


 そして集会場でしばらく待っていると⋯⋯。


『アリス』がログインしてきた。

 こっちも作り直したらしい、でも女のままで名前も『アリス』のままだけど。


 ⋯⋯そっか、アリスケだからアリスだったのか。

 クスっと笑いがこみ上げた。

 そんな事にも気づかなかったのか、子供の頃の私は。


 二人そろってハンターランク1だ。

 でもここからもう一度やり直そうあの日々を⋯⋯。

 そして倒すんだ、あの時倒せなかったリーゼントのクソモンスターの超強化個体を!


 私たちが大好きなゲームをもう一度、今ここから始めよう!

お読みいただき、ありがとうございます。

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