(88)まさか…
まさか…と、本当のことを知って驚くことがある。まあ、この場合は、知っていいことと悪いことがある訳だが、どうせ驚くなら、いい方がいいに決まっている。^^
事件は迷宮入りしようとしていた。警察の懸命の捜査にもかかわらず、時効が残り十日に迫っていた。
「もう、ダメですかね、熊さんっ!」
「…まだ十日あるっ! 諦めるな、鮭尾っ!」
「はあ、それは分かってんですが…」
鮭尾は熊川に叱咤され一応は頷いたが、心の底ですでに諦めていた。
「どうも、最初に聞き込んだときの現場にいた目撃者の証言が気になる…」
「最初というと…20年ばかり前になりますね」
「ああ、傷害致死だからな…」
「確か…爪割とかいう人でしたね」
「まさかとは思うが、鮭尾。ひょっとすると、俺達は灯台、下暗し・・の捜査をやっていたのかも知れんぞ…。犯人は奴だっ!」
「まさか…」
「これだっ! 昨日、鑑識に届いた遺留品だ…」
「誰からです…」
「それが分からん…」
「匿名ですか…」
「ああ…」
それから三日後、犯人はあっけなく逮捕された。驚くことに、鑑識に届いた遺留品は犯人、爪割からのものだった。彼は良心の呵責に耐えられず、捕まりたかったのである。間接的な自首であった。これには、まさか…と捜査陣も驚く結末となったのである。
孰れにせよ、悪い場合の、まさか…となる事実は嫌ですよね。^^
完




