(46)怪我
誰だって怪我はしたくないに違いない。この男、田村は夏のクソ暑い昼下がり、しなくてもいいのに上半身裸で洗車をしていた。勢いよく蛇口につないだホースから出る水を車に向けたとき、田村はハッ! と驚いた。驚くには驚くだけの理由がある。車内が暑く蒸すからという理由で、ついうっかりウインドウを開けていたからだ。当然、蛇口の水は車内に入ってしまいビショ濡れになった。田村は、しまった! と悔やんだが、もうあとの祭りである。とはいえ、気づくのが早かったから濡れ具合も軽かった。まあ、いいか…と、田村は車の後部にあったワックス用の布切れで拭いてコト無きを得た。だが、正確に言えば、事なきを得ていなかったのである。というのも、蛇口から出る水は出しっぱなしになっていたからである。田村はそのことに気づいたとき、慌ててパワーウインドウの開閉ボタンを押したから、たちまちウインドウは閉じ始めた。閉じ始めたのはいいが、うっかり右側の親指を挟んでしまったのである。驚く出来事とは、当にこの瞬間だった。田村は幸い、親指を早く引っ込めたから、挟まれはしたが軽い打撲程度で済み、爪は付け根の色が変わったが、その程度の怪我で済んだのである。
『あまりいい日じゃなかったな…』
これが夜に思った田村の心境である。
驚く怪我はテンションを下げますから注意しましょう。^^
※ 大難ではなく、この程度の小難で済んだのですから、テンションを下げず感謝しないといけないのかも知れません。^^
完




