(1)驚く
世間は驚くことで溢れ返っている。このシリーズでは、そうした驚く出来事の数々を書き連ねたいと思う。読みたくない人は、決して無理にっ! とは言わないから、好きなことをして下さればそれでいい。^^ まず最初に、私達が驚く場合を考えてみたい。恐らく皆さんもお有りのことと思うが、自分が予想していたことと違う画面がその場に出現したときだろう。誰もがゾクッ! と寒気がするような怖い話や体験は興味が湧くところに違いない。
とある深夜のスタジオで、百物語を明け方まで順繰りに話し続けよう・・という企画番組が放送されている。
「で! モチモチした餅が、いつの間にかスゥ~っと消えていたという怖い話です…」
語り手は、どうにかこうにか怖く纏め、話を終えた。皆が驚くだろう…と期待してである。
「えっ! それって、モチモチと餅をかけたダジャレ?」
スタジオ内の出場者達から一斉に笑い声が響いた。語り手は、こんなはずじゃなかった…という気分だが、百物語の怪談だから、笑われては困る訳だ。
「いいえ、この話は、ここからが怖いんですよ。ところが、その消えた餅は、いつの間にか部屋の箪笥の上に置かれていて、氷ったように冷たく、固かったんですよ…」
場内は笑い声が消え、一瞬にして静寂と化した。語り手は、へへへ…少しは驚いただろう・・くらいの気分である。ところが驚くことに次のひと言が飛び出し、語り手はギャフン! とした。
「なぜ、冷たかったの? それって、冷蔵庫から出して、忘れてたんじゃないの?」
「…」
まあ、驚くのは、計算されていない予想外の場合が多いのでしょう。^^
完