異能力バトル…?
異能力バトルって基本的にシリアスものですよね…?何でこうなったのか……。
この物語はフィクションです。
実際の事柄、名前、人物とは関係ありません。
「ーん…?また三つ編みをしているのか。国原 文子。それは、校則違反だ。」
青色の眼鏡を右手の中指でくいっと上げ、そう発言したのはキリッとした眼差しをした男だ。
「それがどうかしたのかしら」
男の言葉に答え、本のページを静かにめくった女の名は、国原文子というらしい。文子は男の事を一度も見なかった。
「君も相変わらずだな。人の話を聞かず、いつもくだらない物語を読んでいる。本当に勿体ない」
文子は本を閉じ、初めて男の事を見た。文子の瞳からは、隠しきれていない殺気が洩れ出る。
「それは、あなたよ。数多 学」
「なに…?」
学は眉を僅かにピクリと動かす。
二人の視線はぶつかり合った。
「僕が……何だって…?」
「あなたは、いつも公式だとか言ってるじゃない。本当にくだらない。そして何より、三つ編みが校則違反とは生徒手帳に書いていないし、聞いたこともないわ。自分のルールを押し付けないでくれる?」
学が文子を挑発するように鼻で笑いながら言うと、文子は椅子から立ち、フッと笑う。それは学と同様に、挑発の笑みそのもの。
「君の方が劣っていると何故わからない?」
「私が劣っているのか…それとも、あなたが劣っているのか…試してみる?あなたの力で」
学は、机の中から教科書を取り出した。文子の手には既に教科書が握られている。どちらが動くのかと教室にいる全員が見守っていた。
学がすうっと息を吸った。
ここは、教言学園。
この学園に集められる生徒は少し特殊な能力を持っている。
学は教科書のページを開いた後、眼鏡を再び右手の中指でくいっと上げ、冷静に言う。
「サイン、コサイン、タンジェント」
その言葉は力を持ち、三角形へと変化する。それは文子に向かって放たれた。
「国原さん、危ない!」
側で見ていたクラスの女子が文子に向かって叫んだ。文子は学から放たれた攻撃をじっと見る。そして攻撃手段である三角形に指を指し、言葉をつむぐ。
「比喩表現」
文子の人差し指から水が出てきて、三角形を包み込み、動きを止めた。クラスの全員がその光景に息をのむ。
「四字熟語」
「連立方程式」
次は文子の攻撃だ。
四本の刀が学に向かって放たれる。学は、二つの盾を出し、危機一髪だったが自分の身を守った。
「πラジアン」
「使役形」
「かがり結び」
「√」
教室にいる全員は、二人の攻撃がいつ止むのかとじっと見ていた。
その時、教室のドアを開ける音が響く。
「おっはよー!」
教室に入ってきたのは、小柄で元気な男の子。男の子の髪は栗色で天然パーマなのか全体的に跳ねている。
「あれー?みんなテンション低いね」
そう言った男の子はくりくりの目で教室を見渡す。やがて、喧嘩中の二人を見て、駆け出した。
「二人ともー、おっはよー!」
空気感の違う声で男の子の存在に気づいたようで、二人は振り返る。
すると、そこにはニコニコと満面の笑みを浮かべた男の子が立っていた。
「君か、八芸 心」
「八芸君、少し黙ってて」
文子と学は、互いに睨み合いながら、言葉を返す。どちらも心の方を見ていない。それも当然の事だ。相手から目を反らした方が負けるからだ。
「さっきからやってるそれ、すごく面白そう!僕も混ーぜてっ!」
そう一言言った心を、ぎょっとした目で同時に見た文子と学。
「ちょっ……」
「待て……!」
「遠近法」
心は、先程とは打って変わった低い声で言葉をつむぐ。心の顔は、ニコニコとした無邪気な笑顔から全く変わっていないが、現状から言うと、それが一番異質だ。
「きゃあああああ!!」
「うわああああ!!」
心の攻撃は特殊で、人物を一旦絵の中へ一時的に翔ばせる。そこで攻撃を仕掛けるというものだ。心の攻撃をもろにくらった二人は床に這いつくばった。
「二人っていっつも喧嘩するよねー。あ、そっか。これが喧嘩する程仲が良いっていうことか!」
ニコニコとした笑顔を続けながら、まだ意識のある二人に楽しそうにそう発言した。
結論
クラスの中で最強なのは、心だ。
「えー僕が?アハハ、最強じゃないよー!」
アホくさいと思った人、笑った人、楽しいと思った人、おもしろくなかった人。たくさんの人に色々な感情を持って読んでもらえたなら、私は幸せです。




