ありがとう
前回︰願いの枝、本気出す
「お嬢様が大きく……」
「ティア!どこも痛くない?具合悪くない?」
「もう枝は光ってねぇな。何が起きたんだ……」
私を慌てて抱きかかえたキースは、私に怪我がないか隅々まで確認してくれる。
「だいじょうぶだよ、パパ」
「ッッッ!!!」
私が話したからなのかパパが悶える。
この反応、推しを目の前にしたオタクの反応だ。
ていうか、パパって呼んでいいのか聞いてなかった。
「にわかには信じられねぇが、願いの枝がティアをその姿にしたんだろうな。ティア、何お願いしたか言えるか?」
「うん、とーさま。とーさまとパパとおはなししたいなっておもって、おねがいしたの」
「そうか、ちゃんと話せて偉いな」
「パパって呼ばれちゃった……感動……」
「その感動に浸るのは後にしろ。今は状況整理だ」
「ねぇ。とーさまとパパってよんでいい?」
「もちろんだ。俺はとーさまで、キースはパパだ」
頭を優しく撫でてくれる父様の大きな手。
えへへ、本当の娘って感じがする。
「リィナ。至急、王宮に使いを出せ。願いの枝が本当に願いを叶えるのは始めてだ。陛下に報告しなきゃならねぇ」
「かしこまりました」
「騎士団と魔法師団にも今日は俺達が不在な事を伝達してくれ。詳細は不要だ」
「かしこまりました」
足早に部屋を出ていくリィナ。
リィナともお話したかったけど、それはまた後でだね。
「おい、キース。戻ってこい」
「……はっ!ごめんごめん、ちょっと意識が彼方にいってた」
「ティア。改めて聞くが、どこも痛かったりしないんだな?」
「だいじょうぶだよ」
「なら、良かった……」
父様がホッと安堵したのを見て、酷く心配させたことを反省する。私がお願いしなかったらこんな心配だったり、迷惑かけることもなかったのに。
「ごめんなさい……」
「どうした?」
「わたしがあんなおねがいしたから……」
「気にするな。俺達もティアとこんなに早く話せて嬉しい」
「そうだよ。僕なんてパパって呼ばれたのが嬉しくて魂抜けそうだった。心配は確かにティアに何かあったらって思ったけど、迷惑だなんて思ってないよ。私の可愛いティア」
「謝るくらいなら、もう1回俺達を呼んでくれ」
「とーさま、パパ!」
「セレスティア」
二人に優しく抱きしめられて、赤ちゃんの時より強く感じる二人の匂い。凄く安心する。
まさか推しに抱きしめられて安心する日が来ようとは。
推しであり、父様とパパ。
何てパワーワード!!!クラクラしちゃう。
……そうだ。
話せるようになったら言いたい事があったんだ。
「とーさま、パパ。わたしをひろってくれてありがとう。だいすきだよ!」
「こちらこそ、あの場所にいてくれてありがとう」
「俺達をティアの父様とパパにしてくれてありがとな」
「……えへへ」
何で枝が私の願いを叶えてくれたのか。
この状況を事細かに陛下にお話しなくてはいけない事。
やらなくてはいけない事が山ほどあるけど。
今は後もうちょっとだけ。
この幸せの温もりを感じていたい。
閲覧数やブクマ数等がみるみる伸びてて、凄く嬉しいです……!
キースみたいに意識彼方に飛ばしそうです(笑)
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