お話したい!
前回:世界で一番幸せになります
フリューゲル家のメイドさんや執事さん達は、
私を養女に迎える事、セレスティアと名付けた事をとても喜んでくれた。
貴族の養女になるには一度、王族に謁見して許可を貰わないといけないんだって。何でだかは知らないけど。
「そうだ、ティア。君にこれをあげようと思っていたんだ。リィナ持ってきてくれる?」
「かしこまりました」
程なくしてキースが差し出したのは、一本の枝だった。
あ、これ知ってる。願いの枝だ。
「これはね、願いの枝。子供を迎えた時に親から渡すものなんだ。強い願いを持つ者に願いを叶える力を与えてくれると言われているんだよ」
「まぁ、誰もこれで願いが叶ったって奴はいないから一種のまじないみたいなもんだけどな」
確かにゲームでもこの話はサラッと出てきただけで、重要なキーアイテムでも何でもなかった。
でもこの二人から貰ったら何か凄い力宿りそうな気がするよね、うんうん。
「ティアのベッドサイドに置いておいて」
「かしこまりました」
キースから枝を預かり、テキパキ動く彼女はリィナさん。
この家のメイドさんで、私のお世話係。
おむつ変えてくれたり、ミルクくれたり、何でもしてくれる。
そんな彼女、デキるメイドさんなだけではない。
超かわいい!!!!!!
最初見た時「え?天使?」って思った、まじで。
白いツヤ肌に大きな瞳を彩るマリンブルー、ゲームではヒロイン以外見かけなかった黒髪ボブ。
「ティア様〜」って微笑みかけてくれた時にはもう!!!!
たまらん!!!!!笑顔サービスしちゃう!!!!
「ティア、僕達はこれから仕事に行かないといけないから、また夜会いに来るね」
「いい子にしてろよ」
「たーたい!!(いってらっしゃい!)」
この喃語でしか話せないもどかしさ。
赤ちゃんっていつから話せるようになるんだっけ?
……うーん、分からない。
早く話せるようにならないかな。
話せるようになったら二人の事は何で呼ぼうかな。
キースはパパで、サリオンは父様?
話せるようになったらいっぱい大好きだって伝えたい。
この国の事、この世界の事いっぱい教えてほしい。
ちらりと視界に映る願いの枝。
お願いします、願いの枝。
私を早く話せるようにしてください。
3歳くらいまでポーンって大きくしてください。
……なーんちゃって。
私は忘れていた。
私の存在は多分というか確実にイレギュラーだという事を。
ごめんなさい。
願いの枝、目も開けられないくらい輝いています。
「……ティア!」
「くっ……魔法が発動しない!」
「お嬢様!」
すぐに収まった強い輝きは、しばらく周りにいた人の目をくらます。
でも私はそれどころじゃなかった。
明らかに大きくなった手。
目の前に見える足。
自力で起き上がれちゃった事。
「ほ……本日は晴天なり」
喋れちゃった事に。
「……ティア?」
「……まじかよ。どうなってんだ」
こっちが聞きたい。
セレスティアと名付けられたその日。
願いの枝により、3歳になりました。
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