お誘い
前回:尊死のち生還
それから1週間経っても、誰も私を迎えに訪れることはなかった。
まぁ、推しがいるから全く寂しくないんだけどね!
1週間もあれば少しずつ会話から状況を理解することができた。
やはりここはゲームの世界で、二人は原作通り王国最強だった。
キース・フリューゲル。
フリューゲル公爵家当主。
透き通る銀の髪が特徴で物腰が柔らかく、
いつもニコニコしている30歳。
長い髪を三つ編みにしてるんだけど、女性と間違うほどに美しい。眼福。
そんなキース、実は宮廷魔法師団長。
国の中でも一番強い魔法使い。
ゲームの中でヒロインちゃんも中々に魔法チートだったけど、キースには叶わない。
家事全般大好きで怒らせると怖いっていう奥様ポジション。
サリオン・フリューゲル。
2年前にキースと婚姻の誓いを交わして、当主代理に。
キースとは正反対の闇を思わせる黒い髪が特徴な25歳。
感情があまり表に出てこないからこそ、たまに出てくる笑顔のギャップがたまらない。癖になっちゃう。
そんなサリオン、実は王国騎士団長。
元々平民だったところを当時の団長さんにスカウトされて、異例の入団。
努力と才能で全てを黙らせてきた男。言わずもがな物理戦闘において右にでるものはいない。
この世界では多種多様な愛の形が認められていて、
彼等のように同性同士で愛を誓い合うのも珍しくはない。
当初は元平民のサリオンが公爵家の当主代理になる事に反対の声が上がると思いきや、
王国最強の二人が国を支えているのは誰もが知っているので、祝福の嵐だったそうだ。
その場面見たかった。
誰か絵師雇って、そこのシーン絵画として残してないかな。
大きくなったら探してみよう。
「おや、何か思案顔してるね。考え事かな?」
頭を撫でられた感覚で、今の自分がキースの腕の中で撫で撫でしてもらってる事を思い出す。
危ない危ない。貴重な推し摂取タイムを無駄にする所だった。
「サリオン」
「言わなくても分かってる」
うん?何の話?
「君がいた森はね、終焉の森って言ってとても危ない所だったんだ。一般の人はまず訪れることがない。
1週間待ったけど、君を誰かが迎えに来る気配はない。だからね、君が一人なら僕達の子供にならない?」
私の頭を優しく撫でるキース。
答えられないのがもどかしい。
でもどうにか反応を示したくて、袖をギュッと掴む。
「これは、いいよって事かな?」
「ちびすけ、うちに来るか?」
私の頬を優しく撫でるサリオンの指をギュッと掴む。
伝わりますように。
私は二人と一緒にいたいよ。
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皆さんの声援が力になりますので、ぜひ評価やブクマ等よろしくおねがいします!!!
筆者は重度のオタクなので、割と彼女の反応は私に近しいものがあります。