番
前回︰それぐらいじゃ揺るがない
「……どうかな?」
「すごく可愛い!!」
「わっ!」
私の成長姿を見たレイグルは
ガバッと力強く抱きしめてきた。
体に流れる魔力の流れを少しいじると、
1日くらいは継続して成長した姿を維持できるけど、
もちろんデメリットもある。
魔力を無理やりいじってるから、
この姿でいる時は魔法が使えないのだ。
パパ曰く、もう少し訓練すれば徐々に魔法も使えるようになってくるだろうとの事。
ちなみに今の私は、元々のセレスティアの可愛さに、
体が膨らむ所は膨らみ、くびれるところはくびれた、
俗に言うボンキュッボン状態だ。
えっへん!
我ながら絶世の美女みたい。
「グルルルル……」
「ふふ、喉鳴ってるよ」
「嬉しいから仕方ないの」
大きな尻尾がブンブンと激しく揺れている。
私の胸に顔を埋めてグリグリ甘えてくる姿は、まるで大型犬だ。
「何か甘い匂いがする」
「私もレイグルから甘い匂いがするよ、優しい甘さの匂い」
「番だとお互い甘い匂いを感じるって言うからそれかも」
「お菓子食べたくなってきたから後で一緒に食べよう?」
「うん……そうだね……」
胸元から顔をあげたレイグルは、性急に私の唇に触れる。
触れたと思ったら離れて、次は鳥が啄むように、徐々に角度を変えながら深みを増すキスは、呼吸すら唇で覆ってしまう。
「レイ……グル……っ」
苦しくなり、胸を軽く叩けば
慌てて唇を離すレイグルは、驚きを隠せていなかった。
「ご、ごめん!何か甘い匂いで頭がボーッとしちゃって、キスしたいって衝動を抑えられなかった……初めてがこんなので嫌だったよね……ごめん」
「びっくりしたけど嫌じゃなかったよ。大丈夫」
頭を優しく撫でると、苦虫を噛み潰したような表情から、
ホッとした表情に変わる。
「ありがとう……」
「でも何で急にそうなったんだろうね?今までなかったよね?」
「それはその……」
「ん?」
「えっと……」
なんか言いづらそう。
獣人については私もまだ分かってない所が多いけど、無理やり聞きたい訳でもない。
「いいよ?言いづらかったら」
「……発情したんだ」
「……へ?」
「番だと認めた者同士が近寄ると、お互いがお互いを誘うフェロモンを発するんだ。あの甘い匂いはきっとそのフェロモンの匂い。僕も初めて感じたから、最初は分からなかったけど……」
「なるほど……」
確かに甘い匂いを感じた時に、少し体が熱くなるような感覚はあったけど、これが番の影響……。
何かちょっと照れちゃう。
「男の方が番のフェロモンに当てられやすいから……。実は今も結構やばいんだ……」
「え!じゃあ離れた方が……」
「それは……嫌だ……」
私を離すまいと体をよりギュッと抱きしめる。
レイグルから息を苦しそうに吐く音が聞こえた。
「苦しそうだよ?私がくっついてるからじゃないの?」
「もうさっきみたいにしないから……我慢するから……そばに……いて……っ」
苦しそうに私を求める姿に胸がギュッとなる。
何か私に出来る事はないのかな?
少しでも楽になるようにと祈って、レイグルのおでこにキスをした。
「……っ!」
一瞬硬直し、熱を帯びた瞳で私を見上げるレイグルは、
とても官能的だった。
「我慢しなくていいよ。ちょっと恥ずかしいけど、レイグルがしてくれる事なら何も嫌じゃないよ?」
「でもいくら大きくなってるとは言え、本当の年齢を知ってるから……そんな事はできない……」
「大丈夫。中身は元々18歳だし、今の私も18歳。心配しなくても今はレイグルよりお姉さんだから全部受け止めるよ。さっきレイグルがしてくれたように……」
その言葉を言い切る前に、私の頭を左手で支えながらされたキスは逃がさないという意志を感じるようで鼓動が早くなる。
空いた右手で、頬や首筋、鎖骨、腕、指、腰、足。
ありとあらゆる場所を撫でるレイグルはもう何も言わない。
夢中でキスをして、夢中で私の全身を撫でている。
あれあれ?
私が思ってた事よりも凄いスイッチを押してしまったかもしれない。
自ら押してしまった予想外のスイッチに驚きつつ、でも嫌じゃない私は、レイグルの溢れる思いをしっかりと受け止めた。
いつもご覧頂き、ありがとうございます!!
ブクマ数がガンガン上がってて嬉しい限りです。
評価してくださってる方もありがとうございます!
もしよろしければ、ブクマ、ランキングクリック、評価お願いします!!




