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初めての魔法

前回︰苦しそうな獣人を見つけた



「えっと……」

「あっ!ごめんなさい!すごくくるしそうだったから……」



彼は肩で荒く息をしていて、熱があるようにも感じた。



「おい、大丈夫か?」

「とーさま、すごくくるしそうなの」

「魔力爆発だな。魔力を過剰に使用したりするとなるんだ。こいつの場合は剣に付与させた魔力の使い過ぎ、だろうな」



確かに彼の近くに捨てられた剣には、魔力が目視できるほど強いものが付与されていた。

ゲームで攻略対象達も使いこなすのに時間がかかった技を、私とそこまで変わらない子が使うなんて無茶だ。



「確かお前、最近騎士団に入った見習いだよな?」

「みならい?」

「元々騎士団にねぇんだけど、こいつの場合は突然俺に斬りかかってねじ伏せて……」

「きりかかった!?」

「俺は怪我してねぇよ。で、本来は重罪なんだけど剣筋に見込みがあったのと、俺に斬りかかってきた度胸を買って見習いにした」



父様、器デカ過ぎない?

まぁ、父様も前騎士団長に平民から拾い上げてもらった経緯があるし、この流れになるのは必然だったのかも。



「魔力爆発には余分に出てきてる魔力を抑えてあげるのが効果的なんだけど、騎士団にそれができる人はいないから魔法師団から呼んでくるよ」

「頼む、キース」

「もうすこしでよくなるからね……いたっ!」

「ティア!」



彼の手にほんの少し触れた時に感じた弱い電流のようなものに思わず声をあげてしまう。



「だいじょうぶだよ、とーさま。すこしぴりっとしただけ」

「ごっ……ごめんなさい」

「あなたもきにしないでください」

「ティア」

「あれ?パパ?まほうしだんにいったんじゃ?」



魔法師団に行ったはずのパバが、私の前に腰を下ろす。

私の手を優しく掴んで、それでいて真剣な目。



「ティア。今触れた時に感じたものは魔力。彼から溢れ出たものだよ。本来ならピリッと感じたら倒れ込んでしまうような膨大な魔力が今流れ込んだんだ」

「うん」

「でもティアはピリッとしただけで何ともない?」

「うん、だいじょうぶ」

「それならティア。君に初めての魔法を教えよう。彼の魔力爆発を止めるんだ」

「わかった」

「おい、ティア!安請け合いしすぎだ!」

「でも、とーさま。わたしがやらなかったら、あのこはくるしいままだよ」

「大丈夫だよ、サリオン。ティアなら使いこなせる」



渋々了承してくれた父様にお礼を言って、私はパパから魔力爆発を止める方法を教えてもらった。


やり方はこうだ。

①魔力爆発者の両手を優しく握る

②手から感じる魔力の痺れを感じる

③その痺れを自分に伝染させるイメージを持つ

④手から感じる痺れが落ち着けば完了



「あの、あなたのなまえは?」

「レイグル。平民で孤児だから家名はない……です」

「わたしはセレスティア。ティアってよんでください。レイグルさま」

「……レイグルでいいよ……っ……ティア」

「ごめんなさい、くるしいのにおはなしさせて。ではレイグル。いまからあなたのちからをわたしにうつすね」

「危ない!そんなことしちゃだめだよ!」

「だいじょうぶ。パパがだいじょうぶっていうんだから。くるしいのなおしてあげるね」



まだ何か納得していなさそうなレイグルを無視して、彼の手を掴む。そこからは言われた通りに魔力を貰って、私の初めての魔法は終了した。



これはただの魔力の受け渡しでは?って思ったけど、パパ曰く魔法の初歩中の初歩なんだって。



私が貰った魔力の元であるレイグルは、苦しそうな表情が落ち着き、呼吸も安定していた。




「ありがとう、ティア」

「いいえ。よくなってよかった……」



私を見て優しく微笑むレイグルは、最初に見た時よりも何倍もかっこよく、何倍も輝いて見えた。

いつもありがとうございます!!


ブクマ登録、この短期間で30件以上突破、

評価も3桁以上でぐんぐん伸びています。

本腰を入れて始めた初作品を、こんなに早く色々な方の目に留まることが出来て嬉しいです。


それもこれも皆さんのおかげです。

ありがとうございます。


引き続き、ブクマ、評価、レビューお待ちしています!!

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