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⑤父との別れ

プロローグを含む第1章(全6話)を投稿します。

もしも、面白いという評価があれば第2章に進みます。

どうか、好評化をお願いします。

 ジェロイドは息子ガジェットの姿を見て安心したが、3体のブルーレッサーワイバーンに追われて、その先には3体のブルーレッサーワイバーンが控えていることを目の当たりにした。


「ワイバーンボイス・・・うっ・・ぅわあぁ」


 ガジェットに位置を知らせる為にワイバーンボイスを放ったが、魔力枯渇状態での使用は激痛を生じさせた。しかし、それでも、自分の位置をガジェットに知らせることが出来た。


 しばし、頭痛が収まるまで活動できなかったが、ガジェットは自分の場所に気づき向かって来ていることがわかった。


「・・よし・・何・・とか‥‥間に合った」


 激痛が収まり、移動できるようになったが、高速移動はすでに難しく、通常での移動がやっとだった。


 こうして、ガジェットの方に向かうがワイバーンボイスを使用した為にガジェットの前に控えていた3体のブルーレッサーワイバーンがジェロイドの方に向かって来た。


 6対2か・・・。

 きつい戦いになるな・・・。


 ジェロイドは頭痛とめまいを抱えながらも、向かってきている3体のブルーレッサーワイバーンに向かって行った。


 結果、ジェロイドとガジェットの間に3体のブルーレッサーワイバーンが挟まれる形になった。


 間に入った3体のブルーレッサーワイバーンは挟撃される危険を回避するために逃げ出した。


 おかげで、無事にジェロイドとガジェットは合流することが出来た。


「よかった。父上・・まに・・・・・あっ・・・大丈夫なんですか?父上」

「・・・ああ」


 ジェロイドは小さく返事をしただけだった。


 そして、ジェロイドの表情を見たガジェットは苦悩した。ジェロイドは眉間にしわを寄せて苦痛の表情を浮かべ、正面に自分がいるのに視点も定かではない状態だったのだ。


 ガジェットはジェロイドの前に出た。


 正面には6対のブルーレッサーワイバーンに囲まれた状態だった。通常では絶対に逃げ出す状況だったが、今の父上の状態では逃げ出すのは無理だと判断した。


 父上はもしかすると魔力枯渇状態なのか!?


 ガジェットは父上の訓練で魔力枯渇状態にしばしばなっていた為、その状態をよく知っていた。しかし、父上が魔力枯渇状態になった姿を見たのは初めてだった。


 それに、おそらく魔力枯渇状態でワイバーンボイスを放ったなんてガジェットの常識ではありえないほど尋常ではなかった。


 しかし、正面のブルーレッサーワイバーンはそんな事情はお構いなしだ。


 父上の状態が回復する前にと一斉に攻撃を仕掛けて来た。


「ロードワイバーンボイスっ!!」


 ガジェットは通常では行わないワイバーンボイスを放った。


 ロードワイバーンボイスは通常のワイバーンボイスよりも強力で広範囲に展開できる咆哮で、ロードワイバーンのみ使用できる固有スキルだった。


 ブルーレッサーワイバーンはそんなことを知るはずもなく、正面から突撃してきた。6体による扇状攻撃だ。

 おかげで、右から4体まではロードワイバーンボイスを食らってバランスを崩していた。


 父上をちらっと確認して、状況は回復していないが、戦意は衰えていない事が分かったので、父上に向かった2体は父上に任せてガジェットはバランスを崩した4体に向かって行った。


「ロードワイバーンブレスっ!!」


 ガジェットは4体に向かってロードワイバーンブレスを放った。


 通常のワイバーンブレスよりも強力だが、今の状態でしようするとガジェットも魔力枯渇状態に近づく可能性があったが、まずは6対2の状態を何とかしなといけないと考えた。


「ガジェットっ。いい判断だ!」

「はい、父上。これで2対2ですね。いや、1体くらいはすでに倒していますか?」


 ガジェットは父上の元気な声で状況を回復したと考えた。

 そして、意気揚々と父上の方を向いた。


 ワイバーンボイスは使えないけど、ブルーレッサーワイバーンと1対1なら問題ないだろう。


 そう考えて父の方に進もうとして、その光景に唖然とした。


「父上・・・攻撃は・・・攻撃しないと・・・・早く・・・・早く・・・・そいつらを振りほどいてください」


 ガジェットが父上を見るとそこには、左右から父上の首筋を食いちぎっている2体のブルーレッサーワイバーンの姿だった。


「・・やめ・・やめろ・・・やめろよぉぉおお」


 その後の記憶はあいまいだった。


 ブルーレッサーワイバーンの攻撃を何度か受けていたが、怒りのまま敵を食いちぎった事だけは記憶に残っていた。


 ◇◆


 自分の手の中に父上がいた。


「父上、休養が必要ですね。食べ物はそこらへんにありますので、いくらでもお代わりできますよ」


 父上からの返事はなかった。


「父上、眠るのはまだ早いですよ・・・もう少し、日が暮れてからにしましょう。それとも・・・水でも飲みに行きましょうか?・・・・父上・・・父上・・・返事を・・・・返事をしてください・・・・お願いです」


 どんなに叫んでもゆすっても父上からの返事はなかった。


 現実を受け入れることが出来なかった。


 その後は、父上の亡骸と共にそのまま夜を明かした。


 記憶に残った父上の最後の言葉は『後2段階だ。裏と上だ。お前なら出来る。間に合わせろ・・・・すまない』だった。


 父上は何を急いでいたのか?そして、「裏」と「上」とは何のことかガジェットには分からなかった。


 そんなことよりも、こんなに急にいなくなった父上の存在の大きさにガジェットは胸を潰されそうな気持になっていた。

面白い!続きが読みたい!!

そう思ってくれるなら

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