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06 おとぎ話
この世界には、竜に関するおとぎ話がいくつかあった。
竜退治に出掛けた騎士が、竜を倒した話。
竜に魅入られた美しい少女が、竜と共に生きる話。
この世界の神として竜が生きていた話。
様々なバリエーションがある。
王子は自分の体についてこう述べた。
「誰も僕の体の変化の事は分からなかったようだ。だから、治療法も存在しないらしい。分かった事は一つだけ。感情が高ぶった時だけ竜になるけれど、それ以外に竜になる事はない」
城でも持て余されているようだった。
「だいぶ手を尽くしたみたいだけど、どの治療方法も効果なしだった。国を担う王子がこんな姿になってしまうのだから、困ったものだよね」
その話をした時の、王子は悲しそうな顔をしていた。




