悪役令嬢は主人公がお好き
よろしくお願いしますm(__)m
「セーラ! こんな所でどうしたんだい?」
そんな風にとある少女に話しかけるのは、この国の王子様。
金髪碧眼で美しく、優しく、何もかもが完璧と評判だ。
その王子様がいつもよりも嬉しそうな笑みを浮かべて話しかけている人物は、とても貴重な癒しの魔力を持つ、王子様にもひけをとらない美しさを兼ね備えた美少女。
名はセーラ。
「クラレンス様!
いえ……その…………」
その少女は、顔を赤くして伏し目がちに自分の手元を見た。
その手にはバスケットが握られていて、中にはお菓子が入っている。
「…………これは……?」
王子様も気づいたようで、そう尋ねる。
「は、はい。
お裾分けにと思ったんです。
上手く作ることが出来た……ので」
「とても嬉しいよ。
一緒に食べよう」
「え?」
「さぁ」
そして、顔を赤くしたセーラさんの手を王子様はひいていく──
いやもう素晴らしいよね!
セーラさん可愛すぎません!?
女の子の中の女の子だわ!!
お菓子作りとか超女子力高いじゃん!!
照れ顔萌えました! ごちそうさまですっ!!
……あ。
取り乱してしまった。
気を取り直して。
私は、カトリーヌです。
先程の二人の様子を角から気配を完全に圧し殺し見ていた者です。
そしてなんとなく察したと思うけど、ここは乙女ゲームの世界……というわけではなくて、小説の中です。
主人公はセーラ。相手は王子様のクラレンス。
二人が結ばれるまでのお話を書いた人気小説の中なのです。
なんでそんなことわかるかっていうと転生者だから。
前世は日本生まれでした。
ちなみにこの小説を読んで歩いてたら車にひかれて死にました。
あるあるだよね。
……え? 私の立ち位置?
残されてるのって悪役令嬢くらいしかないじゃないですか。あはは。
…………その通り悪役令嬢ですよ、ええ。
最後がバットエンドで追放される感じの。
あるあるだよね!
最悪だよね!
死なないだけマシって思うしか無いよね!
……はぁ。
そんな私の生き甲斐はセーラさんです。
可愛いし、謙虚だし、本当に良い子。
過去が本当に可哀想で、人に嫌なこといっぱいされてたんだけど、それでも人が好きってところが……良い。
尊い…………。
クラレンス王子様?
……私、王子はあんまり好きじゃなかったんだよね。
なんか……セーラさんみたいだったら好きなんだけど、あんまり苦悩してない太陽属性キャラは好きになれないっていうか。
カトリーヌ?
小説の中のカトリーヌはマジでうざかった。
まぁそんな感じでわかったかな?
そう、私は今日も今日とてセーラさんを見守り、邪魔なんかせず、大人しく暮らしているのです。
そして王子様がセーラさんの手をひいた後ですけど。
王子様ナイス!
窓がある部屋に入ってくれるとは。
じゃ、失礼しまーす。
そう心の中で言って窓から少し覗くと、お菓子を食べる王子様と、嬉しそうに笑うセーラさんが見えた。
あああああ!! 可愛いっ!!!!
ありがとう王子様!! ありがとう!!
守りたいこの笑顔。
そんなことを思いながら、今日も今日とて悪役令嬢は主人公を見守るのです。
少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!
Copyright©️2020-どんぐり




