8話 〜ギル君に新たな仲間?〜
何とか間に合いました(・ω・*)
ライバルのノーラスと別れたギルはルシフェルと共に宿へと戻っていた。
「主人、そろそろ妾を使ってはくれぬか?」
「ルー姉はまだ僕には使えないよ」
「そんな事は無いぞ!」
「村にいた時に使ったら、木を切り倒すつもりが森がなくなっちゃったでしょ」
「う、うむ」
「ルー姉が元に戻したけど、やっぱりもっと強くなってからじゃないと…」
「そうであるか……、主人よ、あの武器屋に寄ってみてはどうじゃ?」
「少しお金も入ったし、見てみようかな〜」
ギルは武器屋という所に来たのは初めてであった。今使っている剣も村に来た冒険者から譲って貰った物だ、ルシフェルは激怒して剣を消滅させようとしたがギルが涙目になって止めた事によって事なきを得たのだ。
「…いらっしゃい」
「おぉ〜!武器がいっぱいある!」
「そうであるな…主人」
ルシフェルのこめかみがピクピクしている事にギルは気づいてはいないが店主は怯えていた。
「あ〜!これミスリルの剣だ〜、これって中々買えないって冒険者のおじさん言ってのに」
「おっ、おう、それは昔ある方に頼まれた代物なんだが必要無くなったらしくてな、代金とそれを貰ったんだが売る気にならなくてな」
「そうなんだ〜…綺麗だね」
「ミスリルは冒険者の武器の中でも憧れる奴は多いな、性能だけじゃなくて美術品としての価値もあるだ」
「あ、主人よ…そろそろ帰った方が良いのではないか?…そうであろう店主よ!」
「ひぃっ!その姉ちゃんの言う通りだぞ」
店主がルシフェルの威圧に耐えきれない事を全く気づいてないギルは樽に入っている安物の武器の中に何かを感じた。
「う〜ん、ねえこれいくら?」
「?その樽に入ってるのは1000ヤースだぞ」
1000ヤース、今回お金の単位が初めて出たが、パン一個50ヤース、安宿は500ヤースくらいだ。
安くは無いが武器としては、見習いが作った武器くらいの品質か余程の中古品というランクだ。
ちなみにギルの所持金2500ヤースである。
「……おじさん、これください!」
「お、おぅ…お姉さんにか、確認しなくてもいいのでしょか?」
「ルー姉〜…ダメ?」
「!主人の決めた事を否定する筈がないぞ」
「良かった〜」
「良かったな坊主…!それは売れない」
「え!なんで〜!」
「貴様!」
「ひぃ!それは所有者が何度も無くなってる曰く付きなんだよ!坊主には長く生きて欲しいから言ってるだけだ!」
ルシフェルはギルの持つ武器を見て
「店主、我がこのナイフをこの世から消してやる…よいか」
「ひぃ!命だけは!」
「ルー姉!このナイフはきっと寂しいだけだよ!」
「…主人がそこまでおっしゃるなら」
「ありがとう!」
「店主よ、これを貰ってゆくぞ」
「それなら、タダで結構ですよ…私も売物にするのは嫌でしたから」
「わかった…主人、宿に戻りましょう」
「おじさん、これ大切にするからね!」
「あ、あぁ、また何かあったら店に来てください」
二人の背中を見ながらまたあのナイフが戻って来ない事を祈った。
「主人、本当にそれを使われるのですか?」
「うん、きっと一緒に戦ってくれるよ」
「主人に仇なすならその時は…」
ギルはそのナイフを手に持ち喜んでいるが、ルシフェルは主人の無事だけを心配をしていた。
宿に着いて早速、部屋で武器屋から貰って来たナイフを抜いてみた。
「う〜ん、赤っぽいナイフだね」
「主人、このナイフには魂が入っています」
「魂?」
「…人の魂を武器に封じて呪いの武器を作る事が数100年前に流行っておったな」
「…それって」
「主人よ、このナイフは壊して」
「……そう、だよね、わっ!」
「主人!」
「…痛いよね、苦しいよね」
ギルの右手が少しずつ赤黒いモヤに包まれ始めた。ルシフェルは直ぐにでもナイフを消滅さると思ったが、ギルがナイフに封じられた魂に向かって話している為出来なかった、昔のルシフェル、ルシファーと呼ばれていた頃には考えられないと他の大罪武具から言われるだろう。
「…僕の身体を使ってもいいけど、悪い事はしないで欲しいな」
「主人よ、それは許容出来ん!」
[どうして…]
「ずっとこの中にいたんでしょ?楽しい事もいっぱいあるから知って欲しいんだ」
[他の人とは違うんだね…]
「今まで頑張ったね」
左手でナイフを撫でるとモヤは消えて、綺麗なピンク色の刀身に変わったのであった。