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第3話 ルー姉は怒ると怖い?

ギルは冒険者ギルドの街に向けて走って2時間後に着いた。


「到着〜!」


「主人よ、早く着いたの」


「うん!勇者はこれくらい出来ないとね!」


「そ、そうであるな…」


本来ギルの住んでいる村からは走ってどころか馬車を使っても2日はかかる距離があるのだが、ギルは勇者訓練と称して色んな修行をした。しかし、子供であるギルがいくら鍛えようとこんな身体能力は得られない…ルシフェルの所有者は元の数十倍の能力が強化される為ギルはこの様な人間離れした事が出来るのだ。


因みにギルの中では大人ならこれくらい当たり前に出来ると思っているので、自分の異常なのかを気づいていない。


「それで主人よ、冒険者ギルドとは何処にあるのだ?」


「看板に剣が描かれてる所!」


「まぁ、見て回れば分かるであろう。それとこれを預かってきたぞ」


「お金?これから冒険者になるから要らないよ?」


「主人よ、登録とやらに使うと父君が言っておったぞ?それに宿、ご飯はどうするのだ?」


「あっ…忘れてた。7歳になったら見てきてもいいって言われたから」


(わらわ)がおって良かったの主人よ」


「うん!ありがとうルー姉!」


「妾に着いてくるのだぞ」


こうしてギルが時々してしまうミスをフォローする事がルシフェルのいつものパターンである。


「主人、どうやらここが冒険者ギルドらしいな」


「わぁ〜!やっと来られた!楽しみだなぁ〜!」


「ふふふ、主人は子供ぽいのぉ…子供であったな」


「早く行こう〜!」


「これこれ、主人よ、急いで行かなくても冒険者ギルドは無くならないぞ?」


「早く冒険に出たいんだもん!」


「主人が怒らない内に行くとするか」


「やった〜!」


待ちきれないギルの様子を見てルシフェルはギルドの中へとエスコートした。


冒険者ギルドでは、様々な依頼があり、討伐や採取、探索や物探し、お使いの様な依頼と多種多様でギルくらいの歳でも簡単な依頼はできる為子供も一定数いるのだ。


しかし、何処にでも素行の悪い奴が居るのは変わらない。


例に漏れずギルも絡まれたのであった。


「おぅ!坊主、ここに何の用ダァ!」


「へへへ、リーダー!隣の女なかなかですぜ!今夜の相手に」


「俺たちにも後で分けて下さいよ!」


「俺が満足したらなぁ!そこの女、坊主じゃ満足出来ないだろ?俺の相手をしな!」


ルシフェルは、人間の姿で羽などは出ていないが、それでも普通人間とは比べ物にならないくらいの美しさだ、王族と言われても納得するくらいの容姿である。


「何故、お前らと…」


「坊主が痛い目にあっても?」


「お前達!僕のルー姉に何かしたら許さないぞ!」


「ほぉ、坊主がこの女を守るってか!ははは!これは傑作だ!ついでに奴隷として売っぱらうか?そこそこの金になりそうだしなぁ!」


「あっ…そ、そんな事で、僕は勇者になるんだ!」


ギルは、ルシフェルを手に入れて強くはなっているが、心はまでそうではない…だから脅迫まがいの事をされると怖くなってしまう。


しかし、ギルが憧れた勇者はこんな事で逃げる様な人物ではないので、必死に逃げない様に言い聞かせているのだ。


因みに奴隷にすると言っているが、この国では決闘をして負けた者は全てを勝った者に譲渡しなくてはならないというルールがあり、なのでこの国では最も強い者が王となる事になっている。古い仕来りであるので平民はほとんど知らないのだが…


「俺はこう見えて貴族だ![希少・剣]の爵位を賜った次期当主だ」


「そういう事だ、大人しくしな」


「女さえ手に入れば、お前の事なんてどうでもいいからなー」


「貴族……」


貴族の位には神話>伝説>英雄>希少>名となる、又これにその家に因んだ武器をくっつけて呼ぶ。それは、家宝として持っている武器を示す物でもあるのだ。貴族とは武の強さを重んじる事が、昔から続く伝統、よって位は強さを示す値でもあり、権力の強さでもある。


因みに貴族は脳筋の集団ではなく、聡い者も多い。


「さて、決闘をして負ければお前の全ては俺の物だ…だが女を渡すならこの場を見逃す」


「………」


「決まったな、おい女を連れて飲むぞ!お楽しみは後だ!はははぁ!」


「おい、貴様ら…」


「なんだ?優しくしてやらから安心しな!」


その時ルシフェルの怒りが頂点に達した。ギルによって性格や容姿が変わったルシフェルだが、羽の一対だけ黒いままだった。これは怒りなどの負の感情が人並みに残った為である。

そして主人であるギル、ギルの大切な者を害する事を最も嫌うのだ。


「妾に触れるなクズ共が!」


「ひぃ!」


「な、なんだ!」


「ああぁ」


「ルー姉…」


「主人、約束を破る事を許して欲しい」


ルシフェルは手にはいつの間にか現れた剣を持っていた。


「ふむ、妾自身ではこんなものか…」


この剣は自身を模した物で、能力は8割ほどなのだ…しかし神話時代の魔神がかつて使っていた武器なので8割の能力でも国を滅ぼすほどの力がある。


「主人の物である妾に対する行い…そして主人を侮辱するという大罪…よって貴様らクズはこの世から消し去ってくれよう」


「て、てめぇら!怯むな!囲ってしまえば」


「お、おう!」


「ちょっと酔いが回っただけでぇ!」


「ふむ…」


ルシフェルが剣を軽く振るった、側から見たら軽く動かしただけであった、笑っている者・疑問に思っている者・興味無さそうに見ている者達は、驚く事になるのだ。


「へっ!勇ましいじゃねぇか!」


「剣も高価そうだから、ついでに貰っちまおう!」


「これでしばらくは金にそうでぇ」


「!妾としたことが…」


「今更…おせぇよ!」


次の瞬間、男達の後ろから爆裂魔法でも撃たれたような音が響き渡った。振り返ると扉の様な形に壁が消えていだのだ。


彼らには何が起きたのかわからなかった。周りを睨み付けているが、首を横に振って自分ではない事をアピールしている。


「だ、誰だ!俺に逆らう奴はよぉ!」


「?すまんな、外してしまった…次は当たるぞ」


「女、何言ってやがる?」


「久しぶりに力を振るったのでな、ザコに合わせて力を振るうのは存外大変でのぉ」


「へっ…女、寝言はベッドで聞いてやるよ!」


「愚かな…」


「ルー姉!ダメ〜!」


ギルはルシフェルがしようとした事を理解したので止めようと大声を出した。本来なら跡形もなく消えてしまう予定のクズであったが、その言葉により命は助かった。


しかし、四肢を折られたので無事とは言えないが…


「うわぁ!いっ、いてぇ!」


「いてぇおう!」


「このままじゃ、しんで!」


「…主人に感謝するのだな…本来なら身体ごと消し飛ばすつもりだったのだからな!」


クズ共に興味が無くなった様に翻し、主人の元へと向かった。そしてギルの前に跪き、剣を差し出した。


「主人、約束を破った事への罰を…」


「…ごめんね、ルー姉、僕が弱いから」


「妾の所為であり、主人は何も…なので如何様にも」


「…ルー姉」


色々な感情がギルの中でぐるぐると回って、ギルは目に涙を溜めて、ルシフェルに抱きついた。そしてルシフェルはギルをぎゅっと抱きしめた、まだ人間の感情を完全に理解していながこうするべきなのだと本能的感じたルシフェルだった。


「主人、これからも妾が側に仕える事を許してもらえぬだろうか?…」


「…ルー姉はずっと一緒だよぉ」


「ふふふ、流石は主人であるな、神の様に広い心…有難き幸せでございます」


「…強くなるから」


「かしこまりました、主人を最も強き、そして…」


「?な〜に?」


「何でもございませんわ、主人」


これがのちに「ルー姉事件」「主人に手を出すと…事件」

「もしかして、ブラコン?事件」などと呼ばれる事になる出来事であった。

読んで頂きありがとうございます。


この作品は基本ギル君とギル君の周りに強い者が集まります、しばらく苦戦もしないですが、ただ敵を倒していくだけの話にならない様に考えたいと思います(・ω・*)

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