表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢のような奇跡の恋  作者: 詩花
6/54

第6話「楽しい時間」

朝の騒がしい出来事から数時間後…

昼休みになり、桜羽(おとは)虹菜(れいな)と一緒にお弁当を持って屋上に向かった。

扉を開けて、近くのベンチに座ろうとすると誰かが声をかけてきた。


「お、おーい!良かったら一緒に食べようぜー」


声をかけてきたのは、朝に出会った夢也(ゆうや)だった。

その隣には奏海(かなた)も一緒にいた。

せっかくの誘いに2人は、奏海(かなた)達の元へ。

桜羽(おとは)奏海(かなた)の隣に座り、虹菜(れいな)夢也(ゆうや)の隣に座る。

すると、夢也(ゆうや)桜羽(おとは)のお弁当を見て…。


「可愛い弁当だな。もしかして、手作りか?」


「…うん…そんな上手じゃないけど…」


「そんな事ないぜ。すごいと思う。」


「そうかな…ありがとう…」


桜羽(おとは)って真面目なんだな。尊敬するなー」


夢也(ゆうや)に尊敬されても嬉しくない。」


奏海(かなた)は、すぐきつい事言うな…」


桜羽(おとは)夢也(ゆうや)と話してるのが嫌なのか、奏海(かなた)はまるで邪魔するかのように間に入る。


虹菜(れいな)のお弁当、カラフルだね。可愛い。」


「でしょ〜占いの本に載ってたデザインにしてみたの。」


虹菜(れいな)は占い好きなのか?」


「友達に勧められて読んで、気付いたら夢中になってた。」


「占いがなくても、虹菜(れいな)には良い奴会えると思えるけどな。俺は。」


「え……!?」


夢也(ゆうや)は、虹菜(れいな)に占いに頼らなくても素敵な人に出会えると思うというその言葉に虹菜(れいな)は驚いて一瞬固まってしまった。

その様子を見た夢也(ゆうや)が悪い事言ってしまったのではないかと思い虹菜(れいな)の方を向いて…


「悪い!俺、変な事言ったよな…」


「い、いや……そんな事ないよ…!その…そんな風に言われたの初めてだから…びっくりしただけで…」


「そうなのか?」


「うん…飛沫(しぶき)くん、ありがとうね。」


「お、おー…」


虹菜(れいな)の笑顔を見た夢也(ゆうや)は、あまりの可愛さに口元を押さえて興奮していた。

虹菜(れいな)はその様子が変だと思ったが、ここは何も聞かずに黙って見ているだけにした。


桜羽(おとは)、そのカップに入ってるの肉じゃが?」


「…うん。もしかして、肉じゃが好きなの?」


「幼い頃に母さんの作った肉じゃがを食べて好きになったかな。」


「…そうなんだ。もし良かったら…いる?」


「…いいの?」


「うん、いいよ。」


「ありがとう。」


奏海(かなた)桜羽(おとは)に大好きな肉じゃがを貰って、嬉しそうにパクッと一口食べる。

口の中全体に、優しい味が広がった。


「…美味しい…」


「良かった…嗎都(まみや)くんのお口に合って…」


奏海(かなた)はその肉じゃがが気に入ったのか箸も止めずにあっという間に食べたのだ。


桜羽(おとは)、ありがとう。美味しかった。」


「うん。こちらこそ、ありがとう…」


「良かったら、俺のおかずもあげる。何がいい?」


「………えっと…じゃあ…たこさんウィンナーがいいかな…」


「はい。」


目がクリっとしていて、あまりに可愛いたこさんウィンナーを奏海(かなた)に貰って見つめる。

見つめるだけで思わず笑みが零れていた。

奏海(かなた)は嬉しそうな表情をする桜羽(おとは)を見て自分も嬉しくなり笑っていた。


「ねぇねぇ、飛沫(しぶき)くん。」


「ん?」


嗎都(まみや)くんって、あんなによく笑う人だったの?」


奏海(かなた)は表情をあまり出したりしないけど、桜羽(おとは)と話してる時、一緒にいる時は笑ってるよな。」


「そうなんだ…。きっと、桜羽(おとは)と一緒にいるのが楽しいのかも。」


「そうだな。あんなに楽しく笑う奏海(かなた)見ると俺も嬉しいぜ。」


「私も同じだよ。」


そんな楽しく会話する2人を見ていた虹菜(れいな)夢也(ゆうや)

聞こえないように耳打ちで、嬉しい気持ちを伝え合っていた。

お互い息が合ってた事に、心が弾むくらい嬉しくなっていた。


「それ…食べないの?」


「なんか…可愛くて食べるのがもったいないな…って。これってあの神崎さんが作ってるの?」


「いや……俺が……作った…といっても、教えてもらってだけど…」


嗎都(まみや)くんって器用なんだね。」


「そんな事……」


「ううん、上手くて可愛いよ。」


「……ありがとう。」


「うん。もったいないけど……いただきます…っ!ん…っ!」


奏海(かなた)から貰ったたこさんウィンナーが可愛くて食べるのがもったいないと躊躇していたが、勢いよく口に運び食べた。

ジワーっと広がるその美味しさに蕩けたような表情をしていた。


「美味しい……っ!」


「……そう?」


「うん。」


「なら…良かった…」


「お、マジか。じゃあ…俺は唐揚げいただきっ!」


「あげるとは言ってない。」


「いて…っ!…んだよ…っ…だったら、俺の煮物やるから…」


「いらない。」


夢也(ゆうや)は唐揚げを取ろうとしたら、手をバシッと叩かれて弁当を遠ざけられてしまった。

素直じゃない奏海(かなた)に、交換で煮物をあげようとするがいらないと言われて断られてしまった。


「…ちぇ。奏海(かなた)は意地悪だよな…」


いじけながらも渋々と自分の弁当を食べ終えた夢也(ゆうや)

奏海(かなた)夢也(ゆうや)の掛け合いを見ていた桜羽(おとは)虹菜(れいな)は面白くて笑いが止まらなかった。


キーンコーンカーンコーン


賑やかな時間もあっという間、昼休み終了を知らせる鐘が鳴った。

食べ終えた4人は、午後の授業があるためお弁当箱を片付けて出口へと向かう。


「あ、虹菜(れいな)。ちょっとお願いあるんだけどいいか?」


「お願い?いいけど…」


「ありがとな。数学でちょっと分からないとこが…」


夢也(ゆうや)虹菜(れいな)は、一緒に並んで話しながら先に階段を降りていく。

そして、後から続いて奏海(かなた)桜羽(おとは)が降りてくる。

っと、その時…


「きゃ…っ!」


「危ない…っ!」


桜羽(おとは)が過って階段を踏み外して、落ちそうになった所を奏海(かなた)が腕を引いて受けとめる。


「はぁ……大丈夫?」


「……っ!だ…っ…大丈夫……っ」


桜羽(おとは)奏海(かなた)の問いかけにドキドキしていた。

それはなぜかというと…

勢いで奏海(かなた)桜羽(おとは)の腕を引いて受け止めたため、後ろから抱きしめる形になっていたからだ。

そのため、体も密着していて吐息も声も耳にかかりいつもより近くになっていた。

早くなっていく鼓動の音を抑えようとするが、落ち着かない。

勇気を出して、口を開いた。


「…ま、嗎都(まみや)くん……っ…その…そろそろ…離してもらっても……」


「え……あ…っ…ごめん…っ」


「私…先に行くね…っ!」


「あ…おと…っ!」


状況に気付いた奏海(かなた)は、慌てて離した。

しかし、桜羽(おとは)は整理がつかず振り向きもせずに行ってしまったのだ。


勢いで走り去ってしまった桜羽(おとは)……。

そして、残された奏海(かなた)の心に変化が…?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ