表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍姫乱舞  作者: 月見草
序章 龍姫誕生
2/18

真夜中の赤子と満月の狼男

ロドルフとライラ(王女ダイアナ)の出会いです。

ロドルフ視線です。

その日は満月だった。


フォスター家は昔、王家の次期国王だった。だが、就任式の日に狼人に襲われ、狼人になったことで王家を追放された。王家特有の黒髪に、狼人特有の琥珀色の目。人々には気味悪がられ、動物には逃げられる。仕方がないことだ。赤子でも泣くほどだからな。でも龍にしたら所詮は人間で。だからこんな人もどきにもパートナーができる。


「ルディ。赤子がいる」


「わかっているよ、フェリシア。大丈夫」


全く。人が心地よく夜の森を散歩しているというのに、この相棒は。月さえ見なければ大丈夫なんだ。心配するほどのことじゃない。


「違うよ、ルディ。赤子だよ」


「だから大丈夫だって。……え?赤子だって?」


「だからそういっているじゃないか。人の話を聞けよ」


まさか。そんなはずはないだろう。真夜中の森に赤子を捨てるなど、正常な人間のすることじゃない。それも、満月の日に。


「こっち。ついてきて」


夜目のきくフェリシアに案内されたのは、大樹の根元。くぼんでいるところに毛布で包まれた赤子がいた。黒髪だ。


「そういえばいたな、正常じゃない人間がこの国のトップに」


正確には正常じゃない人間の血筋だが。しかし、王家の人間がわざわざ跡目となる子供を捨てるはずがない。狼人に噛まれたか、双子が生まれたかしなければ。


「狼人に噛まれた可能性はないよね。だってルディがルディ以外の狼人をみんな殺しちゃったんだから。……たぶん」


「たぶんってなんだよ。……はぁ。それにしても可哀想だな。どうする?」


「どうするって、ルディが決めなよ。天敵の子供。王家に送り返すもいいし、育てて双子が生まれたと世間に知らせてもいいし、もちろん殺してもいいんだよ?」


「……」


助けるっていう選択肢はないのかよ。


「あれ?なんだか不満そう?あぁ、助けたいのか。なるほど。助けてもいいんじゃないか」


「お前はいいのか?」


「あたい?別にいいよ。何の恨みもないからね」


「わかった。後で不満を言っても聞かないからな」


ふんっと鼻であしらわれた。それにため息をついて赤子に近づいた。抱き上げると目を開く。しまった。今に泣き始めるぞ。大声で。そう思った直後、赤子が嬉しそうに笑った。


「珍しいねぇ。笑ってるよ、ルディを見て。それにしても珍しいね。金と紺色のオッドアイ。禍と幸運が同時に付くとは。まぁ、この子だからか」


「そうだな。……ん?どうかしたか」


フェリシアを見ると少し様子がおかしい。


「別になんでもないよ。大丈夫。早く帰るよ」


はぐらかされたが俺は特別気にせず、急いで帰った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ