話し合い
「あの店員は一体何なの? そいて、ロドルフ。あなたは一体なぜあたしを止めたの?」
宿について部屋に入るなりローラが怒ったようにロルフに言う。
「急に態度を変えるにはそれなりの理由があるだろう。あそこにはあいつ以外誰もいなかった。つまり、誰かに盗聴されてる可能性があるってことだよ。あそこでもし言い続けていたらあいつが危ない。罠のことを話してくれているんだ。少なくとも敵ではないだろう。そんなやつをむざむざ殺されるのはこっちにとって都合が悪い」
あぁ、なるほど。
「なるほど。そっか。そうだよね」
「それで、ライラの兄がライラを狙っているって言っていたけど……」
「兄って……双子の兄ってこと?」
「あの極悪人ね。今すぐ殺しに行きましょうか。龍共々」
顔色を変えて飛び出そうとしたローラを慌てて三人がかりで止める。
「あの大罪の塊をさっさと成敗してやらなきゃいけないの! あたしのライラによくも手を出しやがって」
怖い。でも、嬉しいかも。
「成敗するのはいいけど、まずは作戦を練ろう。じゃないとやり返されるぞ」
「あたしは龍神よ。やり返されるはずなんて」
「ローラ様は龍神です。しかし、目覚めたばかりで力の制御もできていない。ライラはこの通りです。今戦いを仕掛けても負けるだけです」
「……わかったわよ」
「この通りってどういうこと?」
「龍は単独でも本気で力を出して攻撃することはできます。でも、そこにパートナーが加わることで攻撃の質が高まり、種類も増えるんです」
「相性が合えば合うほどいいんだ。でも、今のお前らは出会ったばかりで、ライラはこういうこと、知らないだろう。王宮に行けば無理にでも習わされるけど」
「だから、早く王宮に行きましょう。さっさと準備するわよ」
あぁ、私って何も知らないな。早く王宮に行っていろいろ学べればいいけど。このままじゃあローラに迷惑をかけてしまう。頑張らないとな。
買ったものを整えて鞄に入れていく。
「ねぇ、ちょっと買いすぎたかもしれないわ。鞄に入りきらない」
「新しい鞄を用意しなくちゃなりませんね」
「作ればいいだろう。飛び切り綺麗でおしゃれなやつを」
「いいわね。フェル。宜しく頼んだわ」
「はい! って、え!? どうしてですか!?」
「流行に疎いのよ。とにかく任せたから。私はこの間に毒を消しとくわ」
「えっ……あー、じゃあライラ。手伝って」
「えっ、あ、うん。いいよ。どんなのにするの?」
「ライラの趣味で」
「えっ……森って感じ、がいいかな」
「了解」
パッと蔓で作られた鞄が出てきた。花がところところに差し込まれていてとても綺麗だ。
「これ、すごくいい」
「毒、抜けたよ」
そんなこんなで旅行の準備が終わったので、寝ます。おやすみなさい。
次はちょっと休憩で短編を織り込もうかと思います。