表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/185

11 アルラウネと災禍な毛玉

 アルラウネ観察日記。


 ここ何日か彼女たちの生活を眺めて、まずひとつ。

 彼女たちは、とってもマイペースだ。

 大らか、と言い替えてもいいかも知れない。


 いきなり畑の真ん中で居眠りを始める子がいた。

 前にクイーンと一緒に来てた居眠りっ子かと思ったけど、別の子だ。

 しかも、そう珍しくもないらしい。

 日向ぽっこをして、ぼんやりとしている集団もある。

 花畑の世話をしていて、寄ってきた蝶を追いかけて、危うく湖に落ちそうになった子もいた。


 なんていうか……全員が、ドジッ子か不思議ちゃん属性持ち?

 よくこの森で生きてこられたものだよね。

 思わず、空中で首を傾げちゃったよ。


 でも、アルラウネたちにも生きてこられただけの武器があった。

 それは”魅了”だ。

 彼女たちが育てている花畑の近くに、ふらりとイノシシが現れたことがあった。

 暴れたら生身の人間じゃ対抗できないくらいの、大きなイノシシだ。

 ボクが倒さなきゃダメか、と毛針を逆立てた。

 だけど様子がおかしい。

 イノシシはふらふらと歩くと、アルラウネの一体に擦り寄った。

 どうやら彼女たちは、普段から魅了効果のある花粉を飛ばしているみたいだ。

 後になって、ボクの『状態異常耐性』や『魅了耐性』が少し上がりもした。


 で、そのイノシシだけど、完全に我を失っていた。

 食べられても抵抗しなかったからね。

 うん。ぱっくりと丸ごと食べられたんだ。

 アルラウネの下半身にある大きな花が開いて、イノシシを丸呑みにした。

 そのアルラウネは膨らんだ花を撫でて、うっとりと目を細めていた。

 丸一日も経つと完全に消化したみたいで、元に戻っていた。


 ちょっぴり猟奇的だね。

 植物ってすごい。


 だけど別段、肉食という訳でもないらしい。

 土から養分を吸い上げて、あとは水と光があれば生きていけるみたいだ。

 果物や花を育ててるのは趣味みたいだね。


 湖には何本か川が繋がっているんだけど、その川から集落に水を引いた。

 工事はボクも手伝ったよ。

 お礼に、また果物を幾つかもらった。

 甘味はいいよね。心を和ませてくれる。

 けっして餌付けされてるワケじゃないよ。


 ともあれ、アルラウネはのんびりとした生活を送っている。

 クイーンにしても、いつも適当に集落をふらついているだけ。

 毎日、ボクのところに挨拶にも来るけどね。

 それ以外は、花や果樹を育てているだけみたいだ。

 きっと全員が警戒心の薄い性格なんだろうね。

 だからボクに対しても、一旦警戒を解いたら平然と接してくるようになったんじゃないかな。


 それを証明するみたいに、『植物の友』なんていう称号も貰えた。

 スキルの方は、『栽培』と『生命干渉』が大幅に上がったよ。

 っていうか、アルラウネって植物の分類でいいのかね?

 『鑑定知識』によると、魔獣らしいんだけど。

 案外、こういう分類っていい加減なのかも知れない。


 『栽培』と言えば、やっぱりアルラウネたちが得意としてる。

 花や果実をはじめとして、色々な植物を育ててるね。

 ボクが品種改良したリンゴやお芋も渡してみた。

 『鑑定知識』の読み上げによると、グドラマゴラとかいうやつだね。

 数日後には、何倍にもなって返ってきた。

 それどころか、小さなグドラマゴラが集落をうろつくようになってたよ。

 飼い慣らしたらしい。

 うん。やっぱり植物ってすごい。


 前にもちょっと見たけど、大きなイモムシの魔獣も飼い慣らしてるからね。

 そのイモムシが吐く糸を使って、布も織ってる。

 部分的には、本当に魔獣とは思えないくらいに文化的だね。

 だからといって、ボクが完全に警戒を解く理由にはならないけど―――。


 あ、幼ラウネがまた居眠りしてる。

 今日は陽射しも温かいからね。

 ボクは屋敷の周りに壁を作る作業をしてたんだけど、見てるだけだから退屈になったみたいだ。


 母子ラウネは、いつも揃ってボクに付き従ってくれてる。

 でも特別に頼むことは少ないんだよね。

 お茶や果物を用意してくれるのは助かるけど、空き時間の方がずっと多い。

 子供が飽きるのも当然だね。


 なので、母ラウネに面倒を見ておくように伝える。

 例によって身振り毛振りでね。地面にも絵を描いて。

 すぐに理解した母ラウネは、近場の芝生へと幼ラウネを抱えていった。

 二人してお昼寝を始める。

 アルラウネは植物部分がベッド代わりにもなるから、何処でも眠れるんだよね。

 そういう部分も、のんびりした性格に影響してるのかも。


 さて、それじゃあボクはどうしようかな。

 壁作りを続けてもいいけど、こっちも少し飽きてきた。

 ちょっと狩りにでも出掛けようか。

 久しぶりに、お肉も食べたくなってきたし。







 空高くへと舞い上がって獲物を探す。

 しかし、ボクも強くなったものだよね。

 ほんの少し前は、ウサギにだって怯えてたのに。

 今ならイノシシどころか、怪鳥だって狩れる気がするよ。


 でも、”魔眼”になってから本格的な戦闘はしてないね。

 そういえば検証せずに放ってあるスキルもある。

 『八万針』は、『九拾針』からの正統進化ってところかな。

 色んな種類の針が増えて、『徹甲針』みたいに強力なのも幾つかあるね。

 ただ、本当に八万種類あるかどうかは数えてない。

 っていうか、数えるのは無理でしょ。

 そこまでボクも暇じゃないよ。


 あと、『完全吸収』や『支配』も謎な部分が多いね。

 初期スキルが強化されたワケだけど、これまでとの違いが分かり難い。

 吸収速度が上がった感じはしない。

 魔力糸による干渉も、これまでと大差ないね。

 字面からすると……もしかして、他の生き物を”支配”できちゃうとか?

 有り得るのかなあ?

 あとでイモムシでも借りて試してみるのも―――と、獲物発見だ。


 木々の合間に、クマの姿が見えた。

 前にも遭遇したベーコンの材料、じゃなくて火吹きクマだ。

 前回は、危うく焼き殺されそうになったね。


 だけど今回は違う。

 空から一方的に攻撃させてもらおう。

 新しい魔眼も試したいけど、『死滅の魔眼』は後回しだね。

 お肉が食べられなくなると勿体無いから。

 もうひとつの方でいこう。


 眼の内側にある、新しくなった魔力回路を意識する。

 よし―――、

 『災禍の魔眼』、発動!


 途端に、クマの動きが止まった。

 ん? それだけ?、と思ったけど微妙に震えてる。

 直後、どさっと倒れた。

 紫色の液体を口から吐き出して。

 何事!?、とかボクが驚いていると、今度はクマが苦しそうな声を上げた。

 のたうち回って、煙も吐き出した。

 あ、燃えてる。

 体の内側から溢れてきた炎が、クマの全身を包み込んだ。

 ほどなくして動かなくなる。


 んん~……?

 なんだか酷い効果が発揮されたのは分かる。

 でも、具体的には何が起こったんだろ?

 『災禍の魔眼』って、『混沌の魔眼』が強化されたんだよね。

 元は混乱とか麻痺とか与えてたから、基本的には状態異常系?

 その認識で間違ってはいないはずだ。


 と、なると……体に変調を起こして、自滅するくらいの状態異常ってことかな。

 自分の炎で焼かれてたみたいだし。

 なんにしても、えげつない。

 戦闘力としては頼りになりそうだけどね。

 また使っただけでカルマが減ってるけど、もう気にしないでいいでしょ。

 開き直ろう。うん。


 ってことで、クマ肉を確保するために降下。

 随分と焼けちゃったけど、食べられる部分は残ってるはず。

 あ、でもこれって状態異常で仕留めたんだよね?

 『死毒の魔眼』がそうだったけど、もしかして―――。


《行為経験値が一定に達しました。『病魔耐性』スキルが上昇しました》


 逃げ出す。

 上空へ向けて。全速力で。

 また自分の魔眼で苦しめられるとか、冗談じゃないよ。

 だけど今回は大丈夫のはず。

 ちょっと近づいただけだし。

 『病魔耐性』はともかく、元から『状態異常耐性』は持ってるからね。


 体の変調もない。

 うん。ボクは元気だ。問題なんてない。

 でも念入りに『大治の魔眼』と『自己再生』を使って、と。


 クマの死体も消毒しておこう。

 『万魔撃』を上空から叩き落す。

 光に包まれたクマの死体は、跡形も無く消え去った。



今夜はここまでです。



-------------------------------

魔眼 ジ・ワン   LV:1 名前:κτμ


戦闘力:7480

社会生活力:-3220

カルマ:-6550

特性:

 魔獣種   :『八万針』『完全吸収』『変身』『空中機動』

 万能魔導  :『支配』『魔力大強化』『魔力集中』『破魔耐性』『懲罰』

        『万魔撃』『加護』『無属性魔術』『錬金術』『生命干渉』

        『土木系魔術』『闇術』『高速魔』『魔術開発』『精密魔導』

        『全属性耐性』

 英傑絶佳・従:『成長加速』

 手芸の才・参:『精巧』『栽培』『裁縫』『細工』

 不動の心  :『極道』『不屈』『精神無効』

 活命の才・壱:『生命力大強化』『頑健』『自己再生』『自動回復』

        『激痛耐性』『猛毒耐性』『下位物理無効』『闇大耐性』

        『立体機動』『悪食』『打撃大耐性』『衝撃大耐性』

 知謀の才・弐:『鑑定』『沈思速考』『記憶』『演算』『罠師』

 闘争の才・弐:『破戒撃』『回避』『強力撃』『高速撃』『天撃』

 魂源の才  :『成長大加速』『支配無効』『状態異常耐性』

 共感の才・壱:『精霊感知』『五感制御』『精霊の加護』『自動感知』

 覇者の才・壱:『一騎当千』『威圧』『不変』『法則改変』

 隠者の才・壱:『隠密』『無音』

 魔眼覇王  :『大治の魔眼』『死滅の魔眼』『災禍の魔眼』『衝破の魔眼』

        『闇裂の魔眼』『凍結の魔眼』『雷撃の魔眼』『破滅の魔眼』

 閲覧許可  :『魔術知識』『鑑定知識』

称号:

『使い魔候補』『仲間殺し』『悪逆』『魔獣の殲滅者』『蛮勇』『罪人殺し』

『悪業を積み重ねる者』『根源種』『善意』『エルフの友』『熟練戦士』

『エルフの恩人』『魔術開拓者』『植物の友』


カスタマイズポイント:300

-------------------------------


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ