表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/185

05 毛玉vs魚竜②


《行為経験値が一定に達しました。『高速魔』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『土木系魔術』スキルが上昇しました》




 あ、あぶなぁー……。

 死ぬかと思った。

 短い毛玉生で生命の危機は何度も覚えたけど、こうも短い間に連続ってのは初めてだよ。


 巨大魚竜のミサイルアタックに対して、ボクは逃げるのも防ぐのも不可能だった。

 だから隠れた。

 潜ったとも言うね。地面の中に。

 毎日のように拠点作りで穴を掘ってたのが役に立った。

 急いで土木系魔術を発動させて、ボクの真下に縦穴を作ったワケだ。

 後は、そこに飛び込むだけ。

 かなりの深さだったけど躊躇してる暇なんてなかった。

 『空中機動』もあるから、着地の心配はせずに済んだけどね。


 そうして地面を味方につけた。

 ボクには無理でも、大地の壁がミサイルアタックを防いでくれた。

 地中貫通弾(バンカーバスター)じゃなくてよかったよ。

 さすがに凄い衝撃が伝わってきて、生きた心地がしなかったけどねえ。

 生き埋めにされたし。


 でも、埋められた状態でも魔術は発動できる。

 さっさと脱出するとしよう。

 折角生き延びたのに、窒息なんて嫌だよ。

 ってことで、横穴を掘って戦略的撤退。

 あの巨大魚竜と戦う?

 ないない。アレは手出ししちゃいけない類の化け物だよ。

 『死毒の魔眼』さえ効かないんだもん。


 威圧感だけでも、圧倒的な強者だって分かる。

 推測だけど、戦闘力にしたら一万は軽く越えてるんじゃないかな?

 あ、そういえば湖から出てきた時に、咄嗟に『鑑定』だけはしたんだよね。

 後で『鑑定知識』にも目を通しておこう。


 それにしても、地面の中だと方向がいまひとつ分からない。

 もしも湖側に出ちゃったら、自爆的に水攻めを受けることになっちゃうね。

 なので、少し慎重に掘り進めていく。

 まあたぶん、木の根が多い方向に進んでいけば大丈夫でしょ。

 湖の畔辺りは、樹木が少なくて拓けた感じになってたからね。

 地中の様子を探るためにも、五感を研ぎ澄ませながら進もう。

 そう思った矢先だ。


《行為経験値が一定に達しました。『危機感知』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『五感制御』スキルが上昇しました》


 咄嗟に飛び退く。

 と言っても、狭い穴の中だから短い距離だけどね。

 それでも真っ二つになるのは避けられた。


《行為経験値が一定に達しました。『衝撃耐性』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『打撃耐性』スキルが上昇しました》

《条件が満たされました。『打撃大耐性』スキルが解放されます》


 穴の天井から水が噴き出した。

 いや、これきっと巨大魚竜のブレスだよね。

 直撃は避けられたけど、衝撃で吹っ飛ばされたよ。

 掘ってた穴もけっこうな規模で崩れた。


 マズイ。地下にいるのに、巨大魚竜には感知されてるみたいだ。

 そうでなければ、こんな正確な攻撃はしてこない。

 というか、ブレスを吐いてくる意味がないよね。

 確実に、ボクのことを狙ってる。


 どうやって? 音? あるいは魔力感知?

 だったら、何もせずに潜んでいれば―――。

 なんて考えたのは一瞬だけで、ボクはすぐにまた横穴を掘る。

 慎重に、なんて考えずに、一気に遠くまで。

 隠れていても、無事で済むかどうか分からない。

 それに、空気だって長くはもたないと思う。

 だからボクは急いで逃げる作戦へと切り替えた。

 横穴で斜め上方を目指す。一気に地上を目指すと、登る時に動きが鈍るからね。


《行為経験値が一定に達しました。『高速魔』スキルが上昇しました》


 いまのボクなら、かなり素早く広い穴も掘れる。

 地下を駆けながら魔術発動。なるべく単調な動きにならないようにも気を配る。

 また水流ブレスが降ってきた。

 二発、三発と。こっちを追ってくるみたいに。

 直撃したら終わりだけど、狙いが荒いのに助けられる。

 だけど衝撃だけでも痛い。

 ちょっと足を捻った。壁に叩きつけられて、副眼が幾つか潰された。


 『自己再生』と『大治の魔眼』で応急処置をしておく。

 ひとまず動きに支障はない。

 痛みはあるけど、『激痛耐性』もあるので無視できる程度だ。

 さらに穴を掘り進めて、ようやく地上から光が差した。


 全力疾走で飛び出す。

 直後、背後で長い首をもたげている巨大魚竜の姿が見えた。

 ブレスを吐く直前の”溜め”の姿勢だ。


 うん。分かってた。

 やっぱり姿を現した瞬間を狙ってくるよね。

 だからこっちも準備して”溜めて”おいたよ。


 巨大魚竜が口を開く。

 ボクも空中で身を捻りつつ、『万魔撃』を発動。

 水流ブレスと、魔力ビームがぶつかり合う。

 もしも最大威力の水流ブレスだったら、『万魔撃』も貫かれていた。

 だけど、逃げている最中に分かった。

 少しずつ威力が落ちている、と。

 推測になるけど、体内の水を高圧縮して吐き出しているから、その水が少なくなると威力が落ちるんじゃないかな?

 あるいは、単純に疲労したのか。


 どちらにせよ、いまの水流ブレスは僅かながら威力が落ちていた。

 『万魔撃』は拮抗―――いや、押し勝って、巨大魚竜の口内へ一撃を叩き込んだ。


《行為経験値が一定に達しました。『万魔撃』スキルが上昇しました》


 さすがにこれは効いたらしい。

 攻撃の瞬間には無防備になる、ってやつだね。

 口から煙を上げながら、巨大魚竜は甲高い声を上げた。


 だけど致命傷じゃない。

 身じろぎしただけ。ほんの掠り傷程度だね。

 この程度じゃ倒せないのは、ボクだって分かってるよ。

 だから『闇裂の魔眼』発動。

 巨体を闇で包み込む。

 その闇の中では無数の斬撃が放たれるんだけど、きっと鱗で防がれるね。

 だけど目的は目眩ましだ。すぐさまボクは逃げ出す。


 辺りは湖畔から少し離れた森だ。

 今度こそ身を隠せれば―――なんて考えは甘かった。

 闇の中から巨大魚竜が飛び出してくる。

 低空飛行して、木々を物ともせずに打ち倒すと、ボクの正面に降り立った。

 甲高い、怒りを感じさせる吠え声が大気を震えさせた。

 戦意を滾らせた眼光で、こちらを見据える。


《行為経験値が一定に達しました。『恐怖大耐性』スキルが大幅に上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『精神耐性』スキルが大幅に上昇しました》


 相手は完全に殺る気だ。

 その眼光だけでも、ボクにとっては凶器みたいなものだ。

 今更ながら、圧倒的な力量差がひしひしと伝わってきた。

 身が竦む。足もがくがくと震えた。

 全身の毛が逆立っていたのは、けっして戦意を湧き上がらせたからじゃない。

 本能が最大限の警告を発していたんだ。

 逆らっても無駄。どうしようもない、と。

 理性で考えても分かる。

 頼みの綱である魔眼も、万魔撃も通用しない。

 あの硬い鱗の前では、毛針だって当然のように弾かれる。

 つまりは、打つ手が無い。


《行為経験値が一定に達しました。『恐怖大耐性』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『精神耐性』スキルが上昇しました》


 はあ。仕方ないね。

 この巨大魚竜は、絶対にボクを逃がすつもりがない。

 逃げられない。殺される。

 だったら、こっちが先に殺せばいい。

 それしか生き延びる手段は無いんだから。


《行為経験値が一定に達しました。『極道』スキルが上昇しました》


 巨大魚竜が一歩を踏み出そうとする。

 でもそれより早く、ボクの方が前へと駆け出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ