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11 進化とは、下がることと見つけたり


 さて。

 ワニとの死闘のおかげで、新しい称号やらスキルやらが手に入った。

 その後にちょっとした不幸な事故もあったみたいだけど、いまは置いておこう。


 大切なのは、ひとつ。

 また進化可能になった、ってことだ。

 レベル5ごとに進化可能なのかね?

 刻み過ぎな気もするけど、まだ生まれて間もないからかな?


 この進化システムも謎が多い。

 そもそも生物がそうポンポン進化していいのかって話だよね。

 猿が人に進化するとか、当然のように言われるけど、落ち着いて考えてみると異常だよ。

 カニがエビになるのか、みたいな?

 あ、でも進化の順番としてはどっちが先なんだろ?

 カニの方が美味しい? 高級感もある?

 だけど食べ難いし、体も冷えるから調理方法には気配りが必要なんだよね。

 と、話が逸れたね。


 進化のシステムとかは、まあそのまま受け入れるしかないかな。

 ファンタジー世界の不思議に文句をつけるのも野暮だからね。

 というワケで、ボクも素直に進化をしておこう。


 進化して強い生き物になる。

 生き残るには避けては通れない道だね。

 そうなると、選択も慎重にするべきで……、

 まずは現在のステータス確認からしておこうか。



-------------------------------

魔獣 ティニィ・ロウ・ベアルーダ LV:5 名前:なし


戦闘力:646

社会生活力:-1490

カルマ:-2250

特性:

 魔獣種   :『毛針』『吸収』『変身』『破戒撃』

 魔導の才・極:『干渉』『魔力大強化』『自己再生』

 英傑絶佳・従:『成長加速』

 手芸の才・参:『器用』

 不動の心  :『我道』

 魔眼の覇者 :『治癒の魔眼』『死毒の魔眼』

 閲覧許可  :『魔術知識』


称号:

『使い魔候補』『仲間殺し』『悪逆』『魔獣殺し』


カスタマイズポイント:50

-------------------------------



 またズドンと下がったね。

 うん。社会生活力とカルマが。

 これ絶対、『死毒の魔眼』のおかげだよねえ。

 正確には、『悪逆』称号をもらった不幸な事故が原因かな。


 でも心外だなあ。

 あれはボクの所為じゃないのに。

 いきなり目の前にワニが現れたら、魔眼をぶっ放すのも当然だよ。

 誰だってそうする。ボクもそうした。

 はあ。

 まあこれはもう過ぎたことだ。

 気にしないでおこう。


 それよりも、あの事故でひとつ分かったこともある。

 この世界でも、川に毒を流すような行為は悪と認められる。

 つまりは、大きく常識が異なる可能性は低い、と推測も成り立つ。

 細かな文化の違いはあるだろうけど、そこは追々知っていけばいいかな。

 知る機会や必要があるかどうかも疑問だけどねえ。


《行為経験値が一定に達しました。『瞑想』スキルが上昇しました》


 さて、ひとまず考察はこれくらいにしておこう。

 魔力も適度に回復した。

 すでに周囲の草を操って、ボクの体をドーム状に覆って隠してある。

 どうやら進化すると意識が途切れるみたいだからね。

 以前は、それで木の上から落下して酷い目に遭った。

 今回は地面の上だけど、意識が無い時に何かが起こっても困る。


 まあそんなに長い時間じゃないとは思うよ。

 心配してたらキリがない。

 ってことで、進化しよう。

 候補が複数出てたけど、選ぶのはもう決まってる。


 ティニィ・レア・ベアルーダ。

 魔獣ベアルーダ種の中でもレアな存在、みたいな認識でいいのかな。

 ともかくも、レアだ。

 その先にスーパーレアとかウルトラスーパーレアとか、強そうな進化も期待できる。

 選ばない理由はないね。

 それじゃあシステムさん、進化をお願い。


《申請を受諾。進化を開始します》


 途端に、強烈な眠気が襲ってくる。

 逆らうことも出来ず、ボクは静かに目を閉じた。





《魔獣、ティニィ・レア・ベアルーダへの進化が完了しました》

《各種能力値ボーナスを取得しました》

《カスタマイズポイントを取得しました》

《進化により、『毛針』が『毒針』へと強化されました》

《進化により、『混沌の魔眼』スキルが大幅に上昇しました》

《条件が満たされました。『生存の才』が承認されます》

《『生存の才』取得により、関連スキルが解放されました》


 目を覚ますと同時に、システムメッセージが届く。

 え~と、ちょっと待ってね。

 どうやら無事に進化は終わったみたいだ。

 時間もたぶん、そんなに経っていない。

 だけど色々と情報が溢れてて、把握するのが追いついてない。


《行為経験値が一定に達しました。『情報把握』スキルが上昇しました》


 また情報が増えたよ!

 ああもう。

 この『情報把握』スキルも、けっこう謎なんだよね。

 いまのサバイバル生活、常に周りには気を配ってる。情報も大切だ。

 だから自然とスキルも上がってきてる。

 気がつくと、周りの物を簡略化して把握する癖がついてるね。

 『草』とか『土』とか『黒毛』とか。

 頭の中で名札でも付けてる感じだ。


 スキルが上がってきて、その名札に付ける修飾語が増えてきた。

 『ありふれた草』とか、『元気のない草』とかね。

 あと、『よく刺さりそうな黒毛、だけどふわふわ』とか。

 刺すこと前提なのかい、ってツッコミたくなるよ。


 いやまあ、そう評価してるのはボク自身なんだろうけどね。

 実際、毛針で飛ばすワケだし。

 って、そんなことはどうでもいい。

 ともかくいまは……えっと、まずはステータスを確認してみよう。



-------------------------------

魔獣 ティニィ・レア・ベアルーダ LV:1 名前:なし


戦闘力:678

社会生活力:-1660

カルマ:-2350

特性:

 魔獣種   :『毒針』『吸収』『変身』『破戒撃』

 魔導の才・極:『干渉』『魔力大強化』

 英傑絶佳・従:『成長加速』

 手芸の才・参:『器用』

 不動の心  :『我道』

 生存の才・壱:『生命力大強化』『自己再生』『苦痛耐性』『水冷耐性』

 魔眼の覇者 :『治癒の魔眼』『死毒の魔眼』『混沌の魔眼』

 閲覧許可  :『魔術知識』


称号:

『使い魔候補』『仲間殺し』『悪逆』『魔獣殺し』


カスタマイズポイント:250

-------------------------------



 …………。

 進化しただけで下がってる。

 うん。社会生活力とカルマがね。

 もうこれはマイナスが当然のものだと受け止めておこう。

 きっとあれだよ、プラス100くらいで聖人とか救世主とか、そういうもの。

 だからマイナスでも問題なんて無いはず。


 さて、他に気になるのは……とりあえずボク自身には大きな変化は無いね。

 相変わらずの黒毛玉だ。

 大きさはソフトボールよりも少し膨れてる?

 でもこれは進化っていうより、単純な成長かも知れないよね。

 ともかくも小型毛玉なのは間違いない。


 次に、やっぱり新しいスキルを検証しておきたい。

 『毒針』、『破戒撃』、『混沌の魔眼』、

 ここらへんは能力を把握しておくべきだろうね。


 まあ『毒針』は、名前のままのスキルかな。

 試しに、そこらへんの木に向けて毛針を飛ばしてみる。

 毒を込めるのを意識しながら。

 カカッ、と針が刺さると、そこから木の幹が少しだけ黒く染まった。


 ん~、これだけだと威力はよく分からないね。

 適当な草にも毒針を刺してみる。

 黒く染まって、そのままボロボロと崩れていった。

 と、わ、ぶぁっ!?

 破片が目に入った。

 目がぁっ、目がぁ~!?


 あ、これ本気でシャレにならない。目を開けていられない。

 『自己再生』、発動!

 潰れてない方の複眼を使って、『治癒の魔眼』も同時発動させる。


《行為経験値が一定に達しました。『毒耐性』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『魔力集中』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『自然治癒』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『苦痛耐性』スキルが上昇しました》

《条件が満たされました。『激痛耐性』スキルが解放されます》




 ぜぇぜぇ。

 あ~、死ぬかと思った。

 もしも『死毒』の方だったら、確実に終わってたね。

 自分の毒でも危険っていうのは覚えておこう。

 ちょうど耐性も手に入ったし、早目に上げておいた方がよさそうだ。


 しかしこれだけの威力なら、ウサギくらいは毒針のみで狩れるね。

 とりあえず『毒針』がメインウェポン、『死毒の魔眼』を切り札としておこう。


 『混沌の魔眼』は、しばらく後回しだね。

 もう魔眼も三つ目になるので、なんとなく使い方は分かる。

 でも、なんとなく危険な感じがするんだよね。

 嫌だよ、使った途端に名状し難きものが這い寄ってきたら。


 で、残ったのは『破戒撃』か。

 これは何だろう?

 名前の感じからすると物理攻撃系?

 だけど、どんな使い方をするのか分からないね。

 スキル発動、って念じても何も起こらない。

 まあ勝手に体が動いて技を繰り出すとかなったら、それはそれで気持ち悪いけど。

 この世界のスキルって、そういう”持っているだけで使える”っていうのとは違うみたいなんだよね。


 『変身』や『魔眼』にしてもそうだ。

 あくまで自分自身の能力で、スキルは補助的なものに過ぎない。

 ただ、本能的に使おうとすれば、手段が間違っていなければ効果は発揮される。

 だとすると、『破戒撃』も……、

 相手を睨むとか、力を込めるとか、何かしらの手順が必要なのかな?

 あるいは剣とか槍とか、特定の武器による技?

 あとは、普通の攻撃に『破戒撃』の効果が加わるっていうパターンもあるか。

 エンチャント系だね。

 魔法剣とかカッコイイから使ってみたいなあ。

 拳に雷属性を纏った格闘士とか好きだったね。


 と、話が逸れたか。

 反省しよう。どうもまだ、ゲーム感覚が抜けない。

 いまは『破戒撃』の検証だ。

 とりあえずスキルを意識したまま、『毒針』を飛ばしてみる。


 ズドンッ!、と。

 うわ、毛針が丸ごと木の幹に埋まったよ。

 明らかに威力が増してる。

 使い方はこれで正解みたいだね。

 ほんのちょっぴり、体内で魔力が流れる感覚もあった。


 効果は攻撃力アップでいいのかな?

 名前が『破壊』じゃなくて『破戒』なのも気になるところだ。

 戒。戒律。戒め?

 それを破るってこと? ルール無視?

 またゲーム的な考えだけど、防御力無視ってことかなあ。

 しばらくは要検証だね。

 いまは威力アップの効果があるって覚えておこう。


 さて、これで一通りのスキル検証は終わったね。

 ちょっと一息吐こう。

 魔力回復もしておきたいところだからね。

 落ち着いて、これからの方針を決めていこうか。



タグにも追加しましたが、基本的に人化は無しの方向でいきます。

その方が好みですしね。

あっても、かなりの制限を掛ける方向で。


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