表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毛玉転生 ~ユニークモンスターには敵ばかり~ Reboot  作者: すてるすねこ
第4章 大陸動乱編&魔境争乱編
102/185

06 新たな仲間を得て次のステージへ

 コンガリとした匂いが漂ってくる。

 だけどまだ、ご飯の時間には早い。


 眼下には、魚竜がおよそ三十体。

 これまで簡単に狩ってた相手だけど、さすがに数が揃うと油断できないね。

 四方八方から水流ブレスが襲ってくる。

 仲間を置いて逃げ出そうとするヤツもいる。


 しかしボクは全方位視界持ち。

 乱戦になれば、むしろこっちに有利だ。

 逃げようと飛び立った魚竜を、『轟雷の魔眼』で撃ち落とす。

 その間にも、『爆裂針』や『氷結針』で敵の数を減らしていく。


 メイドさんたちも、怪我をしたスキュラを庇いながら戦ってくれてる。

 おかげで、こっちが味方だっていうのも伝わったらしい。

 適当にダメージを与えれば、後はスキュラがトドメを刺してくれる。


 一度、突撃した魚竜に喰い付かれそうになった時はヒヤリとした。

 だけど『障壁魔術』と『加護』で、二重防御を張ってるからね。

 ピンチってほどの事態は起こらなかった。



《総合経験値が一定に達しました。魔眼、ジ・ワンがLV18からLV19になりました》

《各種能力値ボーナスを取得しました》

《カスタマイズポイントを取得しました》

《行為経験値が一定に達しました。『轟雷の魔眼』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『八万針』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『鑑定』スキルが上昇しました》



 頭に響くアナウンスを聞きながら、あらためてスキュラたちを観察する。

 空中から見つめると、怯えた顔をされた。

 むう。

 無害な毛玉としては、そんな顔をされるとちょっと傷つく。


 っと、そういえば『威圧』がオンのままだったね。

 オフにして、『大治の魔眼』も発動させよう。

 怪我をしたスキュラを治療してあげると、ようやく安心してくれたみたいだ。

 メイドさんも重ねて説明してくれてる。


 今回の交渉は任せて大丈夫かな。

 企んだ訳じゃないけど、いいタイミングでの遭遇になったし。

 味方に引き込めるなら、それもまたいいタイミングだって言えるね。


 人間との関係が不穏になってきて、拠点の戦力を強化したかった。

 おまけに、湖方面の安全を図ってたところだからね。

 スキュラって、見た目からしても水辺に住む魔獣でしょ。

 湖の守りを固めてくれるなら有り難い。

 ついでに、黒狼も斥候役になってくれそう。もふもふでもある。


『ご主人様、彼女たちの代表が話をしたいそうです』


 おっと、上手く話が進みそうだね。

 まだまだ拙いけど、ボクの言語能力が試される時……、


 って、スキュラさんたちが揃って土下座してるんですが?

 触手まで地面にぺったりと伏せてる。

 なにこれ? もう話をするまでもなく決着がついてない?

 それに、やっぱり土下座文化って広く知られてるんだね。

 ここはひとつ、お決まりの台詞を。


『面をあげよ』


 文字で書いても見えないので、メイドさんに伝えてもらう。

 ちょっと締まらないね。

 だけどまあ、意思疎通は上手くいきそうだ。







 スキュラから得た情報は、だいたい予想してた通りだった。

 元の住んでた場所を追われたそうだ。

 現れたのは、強力な水竜と、その配下の群れ。

 小型の竜も含めて百体近く。

 スキュラの群れも数百名はいたそうだけど、対抗できるものじゃない。


 百体の竜とか、ボクだって相手したくないし。

 飛竜とは戦ったことあるけど、数体相手までなら安全に狩れるくらいだね。

 十体以上だと厳しいかも。

 全力稼動のメイドさんズがいても、百体の竜相手だと負けちゃいそうだ。

 話を聞くと、一段強いのがボスになってるみたいだし。


 だけどまあ、その水竜たちが脅威になることはなさそう。

 スキュラたちの元住居は、ボクの城から西南方向。

 海までは、そこそこの距離がある。

 ファイヤーバードから逃げる時も、辿り着く前に焼かれるんじゃないかとヒヤヒヤものだった。


 よほどの事情が無い限り、水竜がやって来ることもないはず。

 住み分けが出来るってことだね。

 スキュラたちも、逃げ出した後は追われなかったみたいだし。


 海沿いに逃げるのは水竜がいたから無理だったらしい。

 それで海に流れ込む川を伝って、この辺りまでやってきた、と。

 ちなみに、一旦サバンナ方面に出て、がっくりさせられたそうだ。

 あっちは砂漠もあるし、魔獣も厄介なのが出るからねえ。

 その点、ここら辺りはずっと安全でしょ。

 問題は、彼女たちが住居にできる場所があるかどうか―――。


『結論から申し上げますと、湖で暮らしていけるようです』


 ひとまず、ボクは城に戻ってきた。

 スキュラたちの前では偉そうにしてたけど、さすがに魔力の消耗もあったし。

 魚竜も数が揃うと、そこそこ怖いからね。


 で、いまは屋敷の部屋でゴロゴロしてる。

 アルラウネが作ってくれたクッションが、ふかふかで居心地がいい。

 そのうちにソファも作りたいね。

 スプリングとかの加工も、メイドさんの技術なら可能だとは思う。


 でもいまは、あんまり贅沢に掛けてる余裕も無い。

 鍛冶なんかを任せられる職人集団が欲しいね。

 スキュラがそういう技術を持ってれば嬉しかったんだけど、残念ながらそこまで都合良くはいかなかった。


『スキュラの生態は、少々特殊なようです。食事としては魚や水草を好みますが、触手での『吸収』によって、草木があれば事足りるそうです』


 ほうほう。あの触手には、そんな機能もあったんだ。

 そういえば吸盤があったし、そこから針も生やしてたね。

 毒とかの状態異常も持ってたりする?

 だとすると、黒狼と一緒だと実はけっこう強いのかも。


『狼も、同じ食事を?』

『いえ、基本的には肉食だそうです。魚は食べますが、森での狩りも行うと言っていました』


 ふむふむ。全体としては両生類っぽい?

 生物学とか、あんまり詳しくないけどね。

 ともかくも湖に住んでも問題なさそうだね。お肉なら提供してもいいし。


 いやほんと、サンドワーム肉が山ほど余ってるからね。

 美味しいんだけど、処分にも困ってたから、むしろ食べて欲しい。

 黒狼とも仲良くしたいし。

 シベリアンハスキーみたいで可愛いんだよね。もふもふ。


『その狼ですが、成体であるスキュラから生まれ、また狼が幼体のスキュラを生むそうです。幼子を育てるのも、基本的には狼の役目のようですね』


 え。ちょっと待って。

 なんだか、ややこしいことを言われた気がする。


 スキュラが狼を産んで、狼がスキュラを産むってこと?

 随分とミステリアスな生態に思えるんですが。

 まあ、魔獣だからアリなのかな?

 深く考えず、そのまま受け入れた方がいいか。


『珍しい、けど、問題はないよね?』

『はい。彼女たちに湖の管理を任せるのは、良い案かと判断します。周辺の哨戒には、狼も役立ってくれるでしょう』

『この城との、いざという時の連絡は?』

『見張り塔を建て、緊急連絡用の魔術装置も渡せば充分かと』


 うん。こっちの苦労はほとんど無いね。

 スキュラに管理してもらえば、美味しい魚とかも獲れるようになりそう。

 任せちゃって大丈夫でしょ。


『では、スキュラたちへの対処はそのように』

『うむ。よきにはからえ』


 新たな住民を迎える。決定を下して、細かい処理は部下に任せる。

 段々と君主らしくなってきたね。

 面倒な仕事は避けたいけど、これくらいなら楽しめる。


 あとは、アルラウネやラミアとの対面もしておいた方がいいのかな。

 一緒に暮らすっていうには少し離れてるから、問題はなさそうだけど。

 まあ、些細なことだよね。

 いま一番の問題は、やっぱり人間との関係だ。

 ギルド全滅の件で、相手がどう動いてくるか―――、

 出方を待ちつつ、しっかりと体勢を整えないといけない。







 スキュラと遭遇した翌日、ボクはまた城の外へ向かった。

 湖まで様子を見に行く、っていう訳じゃない。

 そっちはしばらくメイドさん任せで。

 もしも何かマズイことでも起きたら、スキュラたちを追い出すのも仕方ないとは思うけど、順調に事が進むのを期待しつつ放置。


 ボクはボクで、やるべきことがあるからね。

 前回の魚竜狩りで、けっこうな経験値も稼げた。

 現在、LV19。

 たぶん、LV20で進化できると思う。


 そのために狩りに行ってもいい。

 戦闘をして、獲物を狩るのが進化への近道なのは分かってる。

 でも、他にも経験値を得る手段はある。

 自己鍛錬でも、実戦ほどじゃなくてもレベルアップは望めるみたいだ。

 内政担当のアルラウネが、それを証明してくれてるからね。


 実際、クイーンラウネは地味に進化してる。

 体に咲く花とかが豪華になってるし、それに伴って、栽培技術とかも上がってきてる。

 食卓を彩る野菜や果物も増えてるし。

 最近は、香辛料っぽいナニカの栽培にも成功した。踊るけどね。

 黒い粒を生やした植物が、華麗なステップを見せてくれたよ。


 ともあれ、自己鍛錬だ。

 あんまり拠点から離れたくない時期でもあるし、丁度いいと思う。


 そんな訳で、城の近くにある広場までやってきた。

 あれこれと試したいこともある。

 新しく覚えた魔術を練習したり、さらに便利な魔術を開発したり。

 『万能魔導』に関連したスキルも、ボクの生命線のひとつだからね。

 それらを中心に鍛えていく。


《行為経験値が一定に達しました。『深闇術』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『重力魔術』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『連続魔』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『魔術開発』スキルが上昇しました》


 それと、防御関連も忘れちゃいけない。

 メイドさんにも協力してもらって、各種耐性も鍛え―――ぶえっ!?

 棍棒のフルスイングを喰らった。


《行為経験値が一定に達しました。『下位物理無効』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『炎熱無効』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『障壁魔術』スキルが上昇しました》

《行為経験値が一定に達しました。『極道』スキルが上昇しました》


 好みとしては、『裁縫』やら『細工』も鍛えたいんだけどね。

 そっちはもうちょっと余裕がある時に。

 他にも基本的な体力訓練とかも行いつつ―――、


 黒狼と遊んだり。幼スキュラに怯えられたり。

 これまでも最初の内は、幼女に怖がられたりしてたからね。

 別段、心が傷ついたりはしてないよ。

 お菓子を持っていったのだって、ただの気まぐれだし。


 ともあれ、スキュラたちとも仲良くやっていけそう。

 触手と黒毛で握手ができるくらいにはなった。

 あとやっぱり、魔眼の鍛錬も忘れちゃいけない。

 新規の魔眼のアイデアも、いくつかあったんだよね。


《条件が満たされました。『重圧の魔眼』スキルが覚醒しました》

《条件が満たされました。『静止の魔眼』スキルが覚醒しました》


 ふっふっふ。

 我ながら恐ろしい魔眼を手に入れてしまった。

 まだ実際に役立つかは微妙な威力だけど、今後の成長が楽しみな魔眼だね。

 さすがに一朝一夕で修得、とはいかなかったけど。


 街へ向かったメイドさんたちが帰ってきて、それからまた十日以上が過ぎた。

 そして、少し焦れたところで、期待してた声が頭に響いてきた。



《総合経験値が一定に達しました。魔眼、ジ・ワンがLV19からLV20になりました》

《各種能力値ボーナスを取得しました》

《カスタマイズポイントを取得しました》

《条件が満たされたため、魔眼、ジ・ワンは進化可能です》

《進化承認後、新たな固体を設定します》



-------------------------------

魔眼 ジ・ワン   LV:20 名前:κτμ


戦闘力:9980

社会生活力:-2630

カルマ:-8120

特性:

 魔眼種   :『八万針』『完全吸収』『変身』『空中機動』

 万能魔導  :『支配』『魔力大強化』『魔力集束』『破魔耐性』『懲罰』

        『万魔撃』『加護』『無属性魔術』『錬金術』『生命干渉』

        『上級土木系魔術』『障壁魔術』『深闇術』『連続魔』

        『魔術開発』『精密魔導』『全属性耐性』『重力魔術』

        『炎熱無効』

 英傑絶佳・従:『成長加速』

 手芸の才・極:『精巧』『栽培』『裁縫』『細工』『建築』

 不動の心  :『極道』『不屈』『精神無効』『恒心』

 活命の才・弐:『生命力大強化』『頑健』『自己再生』『自動回復』『悪食』

        『激痛耐性』『死毒耐性』『下位物理無効』『闇大耐性』

        『立体機動』『打撃大耐性』『衝撃大耐性』

 知謀の才・弐:『鑑定』『精密記憶』『高速演算』『罠師』『多重思考』

 闘争の才・弐:『破戒撃』『回避』『剛力撃』『疾風撃』『天撃』『獄門』

 魂源の才  :『成長大加速』『支配無効』『状態異常大耐性』

 共感の才・壱:『精霊感知』『五感制御』『精霊の加護』『自動感知』

 覇者の才・弐:『一騎当千』『威圧』『不変』『法則改変』『即死無効』

 隠者の才・壱:『隠密』『無音』

 魔眼覇王  :『大治の魔眼』『死滅の魔眼』『災禍の魔眼』『衝破の魔眼』

        『闇裂の魔眼』『凍晶の魔眼』『轟雷の魔眼』『重圧の魔眼』

        『静止の魔眼』『破滅の魔眼』

 閲覧許可  :『魔術知識』『鑑定知識』『共通言語』

称号:

『使い魔候補』『仲間殺し』『極悪』『魔獣の殲滅者』『蛮勇』『罪人殺し』

『悪業を積み重ねる者』『根源種』『善意』『エルフの友』『熟練戦士』

『エルフの恩人』『魔術開拓者』『植物の友』『職人見習い』『魔獣の友』

『人殺し』『君主』『不死鳥殺し』


カスタマイズポイント:300

-------------------------------



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ