表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜前線此処にあり  作者: 祀木 楓
第1章 夢現 ―京という街 ―
2/181

舞い降りた天女



「う……んっ。頭……痛ぁ……」




 目を覚ますと傍らには、先程の樹齢200年の桜の大木。




 …………には間違いない。



 が。



 明らかに景色がおかしい。

 

 

 大きさも形も、確かに同じ木に見えるものの……満開に咲き乱れていたはずの桜の花は……何故か、全く咲いていない。



 それどころか……そこには学校すらも無く、この大樹を中心にしてその周囲は同様の木々で溢れている。



 状況が掴めない私は、辺りを見渡す。


 そこで初めて、この土地が古いお屋敷の塀のような物で囲まれている事に気付いた。



「なに……コレ。私はどうして、こんな所に居るの? 学校……は? 桜は何処? こんなの、おかしい。これは……夢……だよね?」



 その時



 何処からか、足音が近付いてくるのが聞こえた。



 しかし……状況を理解しきれない私は、ただただ呆然とその場に立ち尽くすことしか出来ずにいる。



「こっちです! 早く来て下さいって! もぉ、土方さんってば体力無さ過ぎですよ。そんな風にのろのろと歩いていたら、天女が帰っちゃいますってば。土方さんは、天女に会えなくても良いんですか?」


「っるせーなぁ。わぁーったから、引っ張るんじゃねぇよ!」



 足音はすぐ近くまで来ている。



「マズイ! 早く隠れなくちゃ……いくら何でも、これじゃ不法侵入だよ」



 近付いてくる二人の男の声に、反射的に我に返った私は、とにかくその場から逃げようとした。




 その瞬間




「おい、お前……何処のモンだ?」



 見知らぬ男は、低い声で問いかけると同時に、後ろから私の肩を強く掴む。



 声の主の方へ、恐る恐る振り返る。



 刹那



 私は再び、先程同様の強い目眩に当てられ、意識を手放した。



 視界が暗転してゆく中……



 私はどこか安心していた。




「あぁ。やっぱり夢……だったんだ」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ